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やせ薬のメカニズムとは

私は本業は分子生物学者なわけであるが、最近、分子生物学の分野で熱いのはやせ薬である。元々は糖尿病治療薬であった薬が、肥満に苦しんでいる人々の体重軽減においても臨床的に使用可能であるというデータが蓄積してきている。私自身は、このあたりのメタボリック症候群の専門家というわけでもないのだが、やせ薬はとても興味深く、本稿ではまずは血糖値とは何か、そして血糖値が高まると何がまずいのか、そして糖尿病や肥満についても解説し、さらにはそれを改善する薬剤についてなるべく平易な言葉で作用機構を解説していきたいと思う。本稿は全文を読むには500円かかる。


1. 背景となる代謝メカニズム

さてまず痩せたり太ったりすることに関わる根本的なメカニズムについて説明したいと思う。

1-1 血糖値
そもそも血糖値とは一体なんなのか。血糖値が高いと何がまずいのか、読者諸氏で医師や研究者、糖尿病患者以外でどのくらいの人たちがこのあたりを知っているであろうか。

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