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光と影のデスパレートパレード

デスパレートはやけくそじゃない、
━━━━━ 死に物狂いのパレードなんだ。
ハロウィンのおどろおどろしく
          華やかな行列の陰に、
━━━━━ 怪物(フリークス)たち
       ひとりひとりの生き様がある。


私がモノムジカファンになってから二度目の本公演。前の本公演からなんと四年振り!? 時が経つのは早いなーと目を細めつつ、第12回本公演のときはまだファンになりたてだったので、今となって観る本公演に期待は高まり。そしてそれをしっかり越えてきてくださいました!!とっても楽しかった!!!!!
色々考えるというより、直感的に楽しめるエンターテイメント作品に仕上げてきたのが、コロナ禍を乗り越えてきた今のモノムジカなんだなと。
千秋楽にはアフタートークあり、終わってからも作品絡みのハロウィンイベントありと手厚いのよ。続く供給ありがたし。心の栄養ごくごくぱっくん。

毎度のことながら、拙い文章力と記憶力を駆使して書いております。そして高まると失われる語彙力・・・ご容赦いただきながら、最後までお付き合いいただけると嬉しいです!
推しへの愛と素晴らしさを伝えたいだけなんだ!!!!!(重)


ひとつ、音楽×歌×ダンス×芝居

華やかなステージを夢見るエルザ(演・ずぅさん)は、今日も顔の傷を理由にオーディション落選。すると妖精シー(演・文音さん)のチェンジリングによって、怪物(フリークス)たちの集まる酒場へ連れてこられてしまう。
・・・というのが導入なんですが、なんとここまでほぼ音楽で進みます。
上演時間約100分でミュージカルナンバーが15曲。しかも全てオリジナル楽曲。作曲は小劇場界隈ではお馴染みの小林成宇さんということで、クールでエンタメなわくわくする楽曲目白押しです。

モノムジカファンとしてはついつい当然のように受け取りがちですが、この規模でここまでのクオリティのものを確実に作り上げて提供できるって、これ、ホント、すごいことだと思うのです。さすが結成18年。惚れ直す。すき(突然)
物語の本筋はしっかり積み重ねつつも、ショーのような視点でも楽しめる作品で、舞台慣れしていないお客さんのことも置いてけぼりにしない作りだなと感じました。最初が大事!ミュージカル難しくないヨ!小劇場こわくないヨ!(布教)

海外ミュを彷彿とさせるパワフルでエキサイティングな歌い上げ曲から、ジャジーな曲、民謡系、和テイスト、モノムジカファンなら待ってましたの(何パートにわかれてるん・・・?)な厚く繊細なハーモニーが堪能できる大曲など、場面毎に様々な情景を彩っていきます。
アンサンブルというキャストはなく、全員が個々の聴かせどころがあるのも嬉しい!狼女ハティ(演・ジュンさん)の歌声が遠吠えのようであったり、鵺(演・しひろさん)の楽曲が空を切り裂いて飛び立つ様だったり、とキャラクターのイメージにもぴったりなのです。

勿論ただのショーではなく“ミュージカル”なので、物語を追っていく上でも歌詞やダンス含め音楽の内容が大切な要素になっていきます。

ダンスの振付のほとんどはジョンドゥ役のマナさんが担われていて、一部マナさんの依頼によりジュンさん振付となっているようです。
やはり広い会場ならではのフォーメーションや踊り方は、新鮮さと高まるものがあり。特に幕開きの足踏みと手拍子からの立ち上がりは、はちゃめちゃにテンションだだ上がりでした(前の本公演ファントムシップの幕開きを思い出したな・・・同じぐらいだだ上がりした思い出)
場面毎のそれぞれの振付に明確なイメージがあって、物語や心情を的確に何倍にも膨らませるダンスなのが観ていてとても気持ちよく。ご本人のジョンドゥの踊りに関してはフリーな部分も多そうだけど、そもそもジョンドゥという特殊な役について、なんぞやと稽古から本番までひたすら考え続けて感じてその場に出たものが、とても本質的に“ジョンドゥという役の踊り”なのではないかとも感じられて非常に興味深かったです。

ちなみに個人的なお気に入りは、主題歌の『DESPERATE』(最初と最後に二回歌われるのがまた違って良いんだ)と、『I dreamed of』と『月夜の森』。
15分の4って・・・頑張って絞ってコレだから!!選べん!


ふたつ、キラキラの奥にある物語

と、音楽が大きな役割を果たす作品ではありますが、当然メインはお芝居です、ストーリーです(まあミュージカルなんで歌もダンスもお芝居してるんですけどね)
エルザは顔の傷というコンプレックスを持っていますが、怪物たちからしたらそんなの「あるのかないのかわからないような傷」なのです。
あーわかるわーってなる方多いかと思うんですが、私もコンプレックス沢山ありますし、たぶん他人からしたらどうでもいいようなことだとも知ってます。でも、わかっていても、ふとした時によぎって、足を止めさせたり、心を固くさせたりするもんです。
そういう生き方、心の歩み方みたいなものを今一度思い返させてくれるような、但しそれは土足で踏み荒らすような荒療治ではなく、あくまでも優しく手を差し伸べてくれてこちらがその手をとるかどうかを決めさせてくれるような、そんなあたたかさと距離感がある作品だと思うのです。

この作品に出てくる怪物たちはそれぞれに過去を背負いながら、それでも未来を投げ出さずに生きています。
もう既に覚悟や決意のもと、歩き始めた人。
未だに迷いや揺らぎのある人。
100分という凝縮された上演時間の中ではありますが、一人一人の足取りが見えてくるような気がします。

印象的な場面があるんだけど、あまり詳しく書くとネタバレかなぁ。
吸血鬼アルカード(演・みきさん)がエルザに向かって言う「心に従うこと」のくだり。むいてるとか強みとかではなく、心に従う。
正直簡単なことじゃないと思うけど、アルカードは確かにそれを体現してるから私たちにちゃんと言葉が届くのだろうな(ファン的には中の人ともリンクする感じが胸熱なのよ)
そもそも“心”がどこまでわかっているか。自分自身を思うと、自分の心なのにわからないことって色々あるな、と。たぶん大人になったふりをしてやり過ごしてきたことや流れにのってきたツケが回ってきてるんでしょうが。でもそんな自分も悪くないと凪いだまま過ごすか、心に従い別の道へ歩きだすかは、その人の選択次第なわけで。ムムム。

おっと、話が逸れました。
ジャック、メロウ、ホンモノの鵺(も入れていいのかな)・・・“不在を描く”というモノムジカらしいストーリー展開にも触れたいと思いましたが、こりゃ文字数オーバーですね(自制)
とにもかくにも、楽しくキラキラとした外見の奥にある物語が、いつの間にか観ている私たちの心に染み入ってくる。私が作演出の団長ヤマケイさんを創造神とお呼びしたくなる所以です。


みっつ、美怪物なキャストたち

どうにも長くなってしまいがちなので(通常営業)、キャストそれぞれにさくっと触れていきたいと思います。
今回は客演なしの全キャスト、モノムジカメンバーということで本当に個々の特性を生かしていて信頼度抜群でした。

エルザ/ずぅさん

今回ミュージカル好きな友人を引き連れていったのですが、ずぅさんの歌声絶賛。エネルギッシュさが遺憾なく発揮されていて、聴いてるだけでめちゃくちゃ気持ちいい。バイタリティに溢れていてチャーミング(でもきっとどこかに孤独も抱えていたのかなぁ)モノムジカは基本当て書きなのですが、これはずぅさんでなきゃ生まれなかったホンだし、楽曲だなと。笑いのネタも好みです(これ大事)

鵺/しひろさん

過去話でもう一作番外編が書けそうなので、鵺のビジュアルにピンと来た人はそのへんのことを配信かパンフレットで知ってほしい(ネタバレ回避)初の男役とは思えぬ美しカッコよさ。垣間見えるしひろさん節。重々しく見えて突然の身軽パンプキン。長尺アドリブシーンと過去を見せる独白シーンは必見。

シー/文音さん

鵺に心情を吐露する場面がカッコよすぎるんだわ貴方・・・!絵画から飛び出てきたようなまさしく妖精の透明感溢れるお姿と、ハティ相手に想いを募らせる硬派なカッコよさがたまらん。かと思えばチョケる。可愛い。高音美声。お気に入りは魔女セイラムに振り回されまくるところ。可愛い(再)

ハティ/ジュンさん

いなくなってしまったジャックを想い続ける心と諦めなければならないという心との葛藤を抱えながら迷い苦しむ姿を、つい応援したくなる。幸せを願いたくなる(マギー@マダテレでも同じようなこと思ったなぁ)そしてハティをそっと見守るシーちゃん・・・尊い。あと、この衣裳はジュンさんにしか着こなせないですわ、マジですごい。美。

セイラム/ヤヤさん

シーの涙を収集する為にぶん殴ったり、お酒好きだったり、甘ったるい口調でボディタッチ多めのマイペース魔女さん。だけど過去にはデカいものを背負っていて、それを背負う覚悟も生き方もちゃんと消化して実行してきた強い人。ヤヤさんの台詞回しが絶妙なんですよ、可愛いと思える甘さと、過去を語る際のバランス。お友達になりたい。

ヤオ/まなむさん

やんちゃ人魚ボーイかと思いきや、好きな人を想う時は爽やかな風と潮の香りを背負ってくるんだもの。反則。『月夜の森』の歌い出しでがらりと空気が変わるのが大好きなんです。正直初見はイイ人すぎて物足りなさあったんですが(もっとしんどいのくださいのヤツ)(貪欲)、心配御無用するめキャラでした。この人も覚悟を持った強い人。魔女との契約であれほどきっぱりと失うことを選択できるってすごいなぁ。潔くて、まぶしい。まぶしいけど、見ていたい。

アルカード/みきさん

当て書きにもほどがある!というくらいアルカードがみきさんでみきさんがアルカードでした。演じるとはどういうことなのか、と考えたくなるほど。出てくる言葉が嘘偽りなく届く。中の人をある程度知っているファンだからこその感覚なのかしら。初めての体験で面白かった。技術的にも改めて安定と信頼の方。長尺アドリブシーンはくるぞくるぞ案件でした(にやにや)

ジョンドゥ/マナさん

この人こそが何ものでもなく何ものでもある。観る人の想像力を掻き立てられる存在だなと。いつも言ってますが、この異質さはマナさんならでは。かといって影なので出すぎず、いつの間にかそこに在る。めでたしめでたしで終わらせない。怪物たちだからじゃない、人間誰しもある白黒つけられない心の内を表すような。かわいいにこにこジョンさんもいっぱい観れて嬉しかった(からの、ギャップなんだよなぁ)


おわりだよ

さくっとはどうしたんだ、さくっとは(汗)
すっかり長文となってしまいました。最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!!
つい語りたくなってしまうのはヲタクの性でしょうが、少しでも推しミュージカル、推し劇団への愛が伝われば幸いです!そしてチラッとでも興味が湧いたら、是非とも配信で!
感想の共有はときめきの供給でもあるのです(?)

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