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子どもへのまなざし

本当に大切な本を一冊紹介します。
何度か、子育てのお話を書く中で紹介したのですが、今回は詳しくご紹介しますね。

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「子どもへのまなざし」
児童精神科医 佐々木正美 著
山脇 百合子 挿絵
福音館書店


この本に初めて出合ったのは娘が一歳になったころ。その時の話はこちらで紹介しています。

私は子育て本ってあまり読みませんでした。耳年増になって、あれもこれもと欲張ってしまいそうだったから。

実際、この「こどもへのまなざし」が肌に合わない方もいらっしゃるとおもいます。ですから、いいとこどりをお勧めします。

私は本当にこの本に救われました。いつも手さぐりで不安だった育児が一気に明るいものになりました。この本の考え方は原点のようになって、何かあるたびに戻っていく場所になりました。

良いお母さんになるためでも、良い子を育てるためでもない、子育てを楽にして、こどもも楽に育っていくための本だと思ってほしいなと思っています。この本を読んだことで、お互い人間として一緒にうまくやってこれたというかんじです。

娘が20歳になった今でも

いきなり大きくなっちゃいますが、娘が20歳になった今でも、この本の記憶が私を支えてくれます。それは、わかっちゃいるけど、なかなか難しい親の心と心掛けについて、はっと思い出させてくれるからだと思います。

この本を読んだ中で、特に私が心に掛けてきたことをご紹介します。

① 待つ こと
   「親の仕事はできる日を楽しみにして待つこと」

 待つ、って子育てでも恋人どおしでも難しいですよね。
 時々、待つことがとっても上手な人がいますが、
 そういう人は自分に夢中になって、人との距離をとるのが
 上手なのかなと思います。
 私はそれがあまり上手じゃなかったので、  
 かえって距離をとらなくちゃと必死になりました。
 で、距離感を見失っていたようです。
 「そうか。待っていたらいいんだ」と
 思うようになって本当に楽になりました。
 今でも、何かあると
 「この子が答えを出すまで待って居よう」とか
 「大丈夫だよ、待ってるからね」とか思っています。
 実際待っていると、答えってでてきます。
 そしてその答えがどんな答えでも受け入れようと
 思う覚悟をその間にできるようになりました。

② 自立ということ
 自分の力で立つから自立であって、
 無理やり誰かから立たされたら
 それは他立なんですよ、ということばを聞いて
 これも「その日を待つ」だなと思いました。
 人ってそれぞれだから愛おしいのに
 つい、他の子と比較して心配したりします。
 親も試されているんだなと思っちゃいますよね。

③ 失敗した時が親の出番
 自分が失敗したときにどうするかって
 結構憂鬱ですよね。
 自分でもそうなんだから、人が失敗したとき
 そのフォローってさらに大変です。
 こどもが失敗した時こそ、親の出番ですって
 佐々木先生は言い切っています。
 わたしはこの言葉は特に胸に刻んでいました。
 何かあったら私がまず謝ろうと。
 だから今でも、負けるが勝ちが私のモットー

後悔していることがある

実は私は後悔していることがあります。娘が生まれて1か月たち、実家からもどりほぼワンオペ、すごく不安でした。泣き虫だった娘は何やっても泣いていてどうしていいかわかりませんでした。

「抱き癖が付く」という恐ろしい言葉を信じて(いまなら、抱き癖最高!と思える)泣いてもすぐに抱っこしてあげなかった。

今もこれを書いていて、泣きたくなります。それくらい後悔していて、巻き戻せるなら巻き戻して、抱っこしてあげたい。

抱っこといわれたら抱っこしてあげるようになってから、私たちの親子関係、いや、私の気持ちは激変しました。本人が望んだことをいつでもやっていいんだ、と思ってから、できることは何でもやってあげましたし、無理な時でもいったんは手を休めて、とりあえず、やってあげて、少し待ってねと伝えていました。おおらかにやればよかったんだなといまならわかりますが、当時は今これやらなくちゃが強すぎたのかなとおもいます。

でも一生懸命だったんですよね、わたしも。だから、それはそれで充分だったとおもいます。今のママたちもすごく忙しいし、孤独だと思います。がんばってるね、大丈夫だよ、って言ってくれるパパが増えるといいなと思います。

わがままになる心配

なんでもやってあげたら、わがままになるんじゃないの?そう思いました。でも、お互い居心地がよかったから、やり続けました。

考えてみると、こどものわがままって大したことないんですよね。小さい子が本当に怒られるようなことするかっていうと、そんなことほとんどしません。

じゃあ、私が怒っているときってなんなのかって

自分に余裕がないとき

これにつきました。はっとして反省する、そして、余裕がでるように行動するように心がけてきました。そうすると怒らなくて済むから、私も娘も幸せです。

理想論だけどそんなに難しくない

ここまで書いてきて、理想論なのでは?と思いました。
でもそうでもないんです。ポイントは「適当さ」です。
私は私なりにここだけはというポイントを決めていました。
男の子と女の子でも違うだろうし、兄弟姉妹がいたり、おじいちゃんおばあちゃんがいたりするとまた変わってくると思います。

①まいっかって思うこと

失敗してもいいんです。まずは自分を待ってあげる気持ちで。
怒ってもいいんです。ただ、ごめんね、って素直にいいたい。
②手は上げない
私は娘の友達にたたかれたことがあって、その時に、ああ、こんなに怖いのかとおもいました。小さな子が大きな大人から手を挙げられるのってかなり怖いです。体験してみてください。
③反省の仕方を考える
あらまと思うようなときには反省方法を決めて反省してもらいました。
「お部屋のすみっこに椅子を置いて、そこに1分座る」
というものでした。私もその場を離れます。
でもあれもやらなくてもよかったかなと今思っています。
押さえつけるようなことは一切したくなかったのに、そうなっちゃったかも。
④自分へのご褒美をおしまない
私の場合は「Haagen-Dazs」でした。一人で食べました(笑)
そしてこどもが昼寝しているときは絶対に家事はしないようにしました。
余裕がなくなったらおかずが一個減っても別にいいと思います。

「待つ」ことは本当に難しいけれど「待った」喜びは何にも代えがたい

最近、娘がけがをして、心配していましたが、やっぱりここで登場するのは
「待つ」ことでした。今でもその難しさを感じていますが、できることはたったひとつ、それだけなんですよね。彼女の人生だから、口を出すことすらはばかられると思っています。

昨日娘とラインで話して、彼女が今回のケガによって自分が経験したことを大切に思っているという言葉を書いてきたんです。

そのときに、ああ、彼女の望むようにさせてきて本当によかったなと思いました。そして待っててよかったなって。大人になったんだなって。

彼女自身、待つことの苦しさや切なさを今回本当に感じたんだとおもいます。そのうえで、喜びを本当に強く感じて、それを忘れずに生きていくんだと思います。それだけでも、生きていく上での大きな糧になるだろうなと思いました。

佐々木先生にお会いしたこと

実は私は生前の先生にお会いしたことがあります。
講演会で近隣のホールにいらしたときに、友人が誘ってくれて講演を聞きにいきました。そして、楽屋を訪ねさせてもらえたんです。
それが今気づいたことに2003年11月27日でした。
まるまる17年前です。娘が3歳のときだったんですね。

サインをいただいて、お礼をお伝えしました。
先生のおかげで子育てが楽しくなりましたって。

本当に優しそうなおじいちゃん(失礼かな)でした。
こどもたちが幸せに育つように、と心を砕かれた方だと思いますし、同じように、お母さんたちも幸せに子育てできるように、と思った方だったと思います。

心から先生のご冥福をお祈りいたしております。

待つことの応用編

トラオくんは難しい性格で、私は彼はこどものころとても厳しく育てられたのではないかと思っています。私もそうでしたが、私は娘を育てながら、またその後、いろいろと自分を癒すすべを知って、心が修復しました。トラオくんの不安定さはここからくるのかなと思いますから、私はひたすら待つことを心掛けています。待ってたらトラの穴からでてくるしね。

でもトラオくんは私のこの気の長さにヤキモキもするようです。ま、でも負けるが勝ちだから「待っててくれていつもありがとう」っていうようにしています。応用編ですね。あ、のろけか。

まとめ

いろんなことを書きましたが、私の結論は

仲良くできる居心地の良い方法をぞれぞれ見つけてほしいなということです。子育てだって向き不向きがありますし、気の合わない親子だっていますからね。何が大切って、居心地、です!

私は佐々木先生のおかげで居心地の良い子育てをする手立てを見つけました。そしてくれぐれも、いいとこどり!をわすれないで参考にしていただけたら嬉しいです。

今日の夢***

トラオくんがすっかりごろにゃんねこのようになりました。
あ~~らくらく。(笑)