新川和江詩集「わたしを束ねないで」
わたしの好きな女流詩人、新川和江さんの詩集を今日は紹介したいと思います。詩集のタイトルになっている詩「わたしを束ねないで」の冒頭をまずは読んでみてくださいね。
「わたしを束ねないで」より
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡す限りの金色の稲穂
「わたしを束ねないで」
新川和江
童話屋
わたしを束ねないで ということばに
この詩に出会ったとき、この言葉の力に驚きました。わたしを束ねないで、ということばはなんてわたしの心を代弁してくれるんだろう。誰といっしょにいても、誰を好きでいても、誰を愛していても、私の心は自由でありたいと願い続けてきた、ということが、はっきりと分かった瞬間でした。
わたしはわたし、勝手に束ねたりしないで、
思っていてもなかなか口にしたりできない言葉です。ああ、いいなと思われた方はぜひこの詩を読んでいただきたいです。
人の心には、そうしたはっきりと形にならないのに強い望みのようなものが眠っています。なにかのきっかけでそれは輪郭を表して、その人の心の大切な核のようなものになることすらあります。
新川和江さんの感性に心震える
新川和江さんのこの詩集は、彼女の女性としての人生が詰まっていて、それが同じ女性としてとても共感できるもので、さらに、その強さがしんしんと伝わってきて背筋が伸びる気持ちがします。
他にもこんな作品のこんな一節があります
「歌」より
はじめての子を持ったとき
女のくちびるから
ひとりでに洩れだす歌は
この世でいちばんやさしい歌だ
そして、巻末の「ふゆのさくら」は大変難しいひらがな詩になっていますが、驚くほどに作品とひらがながぴったりあっていて、無駄のないとても美しい静かな灯りのような詩です。抜粋してみます。
「ふゆのさくら」より
あなたがうたのひとふしであるなら
わたしはそのついくでありたい
あなたがいっこのれもんであるなら
わたしはかがみのなかのれもん
そのようにあなたとしずかにむかいあいたい
一応、詩人として、みなさんにぜひ読んでいただきたいなと思う詩集をこれからも紹介していきたいと思います。
実は、詩人としては別のペンネームを使っています。
日本詩人クラブの会員だったりもしちゃったりして(笑)
**きょうのゆめ****
英語で詩が書けるようになった!
ジョンキーツのお墓参りにいこう。
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