⑰父の導き
いったい、何が起こっているんだろうと思い始めました。
そもそも、最初の電話で断ることができたはず。なのに、私はそれをしなかった。なぜ?
あんなに私と真反対の意見を言う夫なんて、見たことがない。
断るつもりで行ったのに、なぜまたペンディング?
私の中では答えが出てるはずのに、いったいこれはどういうこと?
オカシイ。
これは、何かの状況に似ている。
見えない何かが後押ししている時には、「あれよあれよという間に」ということがよく起こりますが、その状況に・・・似ている気がしました。
ひょっとして・・・
今回の入居のオファーのタイミングというものが、もしも母を守護する人々が、母のために導いてくれたものだったとしたならば・・・
夫の正論は心情的に受け入れられないけど、これが何かのサインであるなら・・・
私はもうこの時、これはサインだということは、多分わかっていたんだと思います。
でも、受け入れたくありませんでした。
きっとまたいいタイミングが来るでしょうと言ってほしくて、またも信頼する占い師さんに、この状況について聞いてみることにしました。
しかし、占い師さんの見立てはこうでした。
何かあってから慌てるよりも、今このタイミングで入居する方が安心と、お母様を守護する方々が仰っているように思います。特にこのタイミングを導いたのは、お父様のような気がします。
今まで散々占い師さんに色んな悩み事を聞いて、色んな助言をいただいてきましたが、この時は初めて、その鑑定に大泣きしました。
父だったのか。
そういえば父は死ぬ前、「父さんがいなくなっちゃったら私はどうすればいいのよ!」と泣きながら訴える母に、「母さんは、家を売って、施設に入ればいいんだよ」と何度も諭すように言っていました。
幸いにも、家を売らずとも、父が遺したもので全て賄うことができます。
何の支障もなく、今すぐ入ることができる。
でもそれは、私にとっては、母との別れを意味していました。