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シンママの詩
やんちゃな貴方(あなた)のことだから
また擦り傷を連れて帰ってきそう
心根優しい貴方だから
この前は仔犬と帰ってきてびっくり
ママとしては
帰ってきてさえくれたら二重丸◎
あの人みたいにはならないでね
ええ解(わか)ってますとも
すべてはママしだいなんでしょ
家庭の庭って文字
そこが勤め先ならぬ努め先
ママのお仕事はいつだって全身全霊
つつがなく毎年をこなし
貴方がここを巣立っていくまでは
これっぽっちも手が抜けません
廃れた庭になんかしてやるもんですか
あらまあ座敷童(ざしきわらし)ちゃん
いらっしゃい
やんちゃとわんこの居る
お家(うち)でよかったら
どうぞ好きなだけ寛(くつろ)いでいって
頑張り方を忘れた頃にやってくる困り顔
「完璧じゃなくたっていい」
貴方にそう言えるのはママの権利であって
ママ自身は完璧を求められるもの
ずるい人が大勢いる社会でも
ママはずるくあっちゃ失格(だめ)
それでも願うときがある
特別な人が隣に居てくれたら
常にいつものママであれるのにって
貴方だけでは不足なのかしら
困り顔を隠し通せず
はつらつな貴方の元気を
ちょっぴり減らしてしまう
貴方という存在がありながら
やっぱりママも女なの
庭に咲く花にもいろいろ必要でしょ
太陽に照らされて“私”は輝きたい
誰かの人生に実りをもたらしたい
いいでしょ?
完璧じゃなくたっていいでしょ
胸にお腹に本気の熱を感じ
情にほだされた髪が生身の真実と溶け合う
美しいを奏でる楽器になるの
嬉しいをさえずる雌鳥(めんどり)になるの
貴方からは見えざる庭の外で私は歌う
疲れたママは眠らせて
波のまにまに流されてゆく
あの人の気持ちが解ったような
解らないような
いい加減な白濁が私を支配してゆく
ああぁ…………
そろそろいつものママを起こさなくちゃ