見出し画像

Monthly 読書days 文月編

今月1ヶ月の読書の感想と共に本を読んでくれる人が増えればいいなという思いで記録をつけています.選書の参考程度になればいいなと思っています.僕のTwitterの方で付けている記録を元に一部改変しながら書いています.下記にリンクが僕のアカウントになります.(よかったらフォローして友達になってくれたら嬉しいです.)それでは、

新書,単行本編

クリス・アンダーソン著のLONG TAIL

ロングテールはニッチが主流商品を上回る需要を産んでいる市場形態を指していますが、近代社会以降のグローバル化が顕著にした概念だと思われます.
インターネットが生み出す供給の自由化と効率化が新しい形の需要を生み出すのです.

AIを加えるなら,さらに個別最適化された製品,サービスが供給されることになる未来線であり、より細分化されたニーズ、場所を問わない商品利用が可能になっていきそうです.

菊池 正典著の『教養としての「半導体」』

日本の半導体産業の衰退原因が日米半導体協定だと理解してる人は多いが今は過去を悔やむ時間はないんだと理解できる一冊.
ムーアの法則が限界を迎えていると言われる中,三次元LSIの研究は進んでいるし1nmへの研究も進んでいます.現在、日本の半導体企業Rapidusが目指しているのは2nm規模の量産で量産が可能になれば世界の半導体産業の中核に日本企業が大きくスポットライトを当てられる事になります.

実は日本の半導体産業は1990年代、2000年代にピークを迎えているんですよね.
IDM企業(設計から生産まで全てを一社の企業内で完結する企業)が主流だった頃に注目されていましたが、NVIDIA、AMD、TSMCの企業を見ればわかるように、ファブレス企業とファブを持つ企業での分業形態が現在の主流になっている事がわかります.

そんな半導体産業の歴史を辿っていきながら現在の半導体産業の状況、半導体の概要を理解できる一冊です.

今、読んでおきたい一冊です.

日引 聡、有村 俊秀著の『入門 環境経済学』

最近全自動コーヒーメーカーを買いまして時間に問わないコーヒー生活を送っているこの頃.

そんな私生活の消費が間接的に環境に影響している事やゴミ処理問題、大気汚染問題に法整備が追いついていない事.
我々,消費者の利益を最大にしながら経済的利益も最大化しようとする学問の体系を学ぶことができます.

僕がコーヒーを飲むのにもコーヒーメーカーを動かすための電力やコーヒー豆を得るために使う車の燃料、コーヒー豆を手に入れるための水分など間接的に消費は環境と大きな関係を持っています.

システムが精緻化した今、個々人に合わせた税制制度の検討と法律化も検討されるべきことで環境保護へのアプローチが多様化している事が理解できる一冊です.

徳川 宗英氏著『江戸は世界最高の知的社会』

個人的に後半部分の江戸の建築技法の素晴らしさに胸を打たれました.
筑後川に存在する山田堰や洪水時に海岸の侵食を食い止める蛇籠工や柳枝工の技術がアフガンの用水路に用いられているらしいのです.

まさか江戸時代の技術が21世紀のアフガンで活躍してるのか、と

実際にこれが、アフガンの「マルワリード用水路」で画像から分かるように用水路の周りに柳を植えています.これによって、根を地下に張り巡らせ、蛇籠工の強度を高めているわけです.

齋藤 貴子氏著『肖像画で読み解くイギリス史』

帯にはヘンリー8世と権力と金の亡者と言われたバーバラ・ヴィリアーズが、、

バーバラ・ヴィリアーズとチャールズ・フィッツロイ

宮廷画家のピーター・リリーの描いたバーバラ・ヴィリアーズと息子のチャールズ・フィッツロイの肖像画は聖母を想起させるタッチで描かれている.これは正に、バーバラという女性が神格化に近い形で権力を握り,神への冒涜をも免れるほどの力を感じさせる.

肖像画が示すのは絵の中の人の性格かもしれないし時代かもしれない.
近代には画家の性格,デザイン,主張を中心とする、

肖像画の人物<画家

が出てくるなど肖像画だけでも色々な顔を持っている.

岡部 伸氏著『イギリスの失敗』

事の発端はキャメロン首相による見切り発車のEU脱退賛否の国民投票.
その後のメイ氏が奮闘するも涙を流す結果に.
ポピュリストで有名になったボリス・ジョンソン首相がEU脱退を実現させる事に成功.

しかしアイルランドと北アイルランド間に国境を設ける事になり『北アイルランド議定書』を作成するも宗教観での対立に火がつくのではないかと緊張状態を保っている.

北アイルランド ベルファストの平和の壁


さらにEU脱退を支持していたイギリス独立党の党首ファラージ氏は選挙の際の裏金問題が明るみとなり,拠出がロシアではないかという疑惑がある.そうなればEU脱退騒動はロシアの手によって果たされた可能性もあり、民主主義の崩壊とも言える問題に発展する.

果たしてEU脱退の民意は正しいものだったのか,と疑問が残る.

民意」とは何を指すのか分からなくなってくるのが今の世界.

文庫本編

カミュ作の『ペスト』

人々の愛,宗教,政治が加害者になり,また人々自身も無意識的な加害者に陥るのがペストであり疫病だった.
コロナ禍で注目を浴びることになった著書は人間を聡明に上品に映し出し、流刑された人々への贈り物を表現したカミュの文章に惹かれていきます.

椎名誠作の『さよなら、海の 女たち』

例年の夏が異常な暑さに照らされる中少しでも涼しさを求めた一冊.

「グンジョー色の女」が照らされた雰囲気と気性が滲み出て面白いくらいに乱暴な性格な訳です.

椎名誠さんといえばSF作家のイメージが強いですが、本書は人間の生々しい部分を残しながら登場人物をミステリーの雲に覆っています.
読むのは簡単ですが、とにかく想像し辛い.
一体何を求めているのか.夏のミステリーです.

東野 圭吾作の『探偵倶楽部』

僕最後の殺人は結構推理通りいったんですよ.
でも最後に“まさか”が声に出てしまいました.

この本の面白さは話の最後と最初が繋がる伏線回収にあります.
とにかく犯人の動機が気になって時間を忘れてページを捲ることになる一冊です.

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集