AIと教育のデータドリブン
近年注目を集めているAI市場.その市場は限りなく無限に存在し、既存に存在する市場から未開拓の市場まで多くの場面で影響を及ぼしていくだろうと予測される.そこで今回はAIによる教育の変化と実際の教育サービス市場のデータを解析しながら未来の「教育」について少し考えていきたいと思う.
教育市場の変化
まず初めに教育サービスを手掛ける米国の「チェグ」の株価変動を見ながら考えていきたいと思う.以下のグラフでは5月1日に行われた株式市場の変動が記載されている.データから分かるように米株式市場時間外取引で一時38%急落する事態が起こった.
これの原因についてチェグのCEOダン・ローゼンズヴァイク氏は「宿題支援サービスの成長を脅かしている」と警告した。この成長を脅かしている存在こそがAIなのである.大規模言語モデル(今後はLLMと略称を使用)であるOpenAI社が開発、リリースした「ChatGPT」がサービスの代替となるのではないかと懸念が広がっている.
テストや小論文など学生向けの教育サービスを提供するチェグでは今季の4半期の売上高と利益率がアナリスト予測を大きく下回ると見通しを立てた.チェグは月15.95ドル(約2200円)のサブスクリプション制を導入しており、今後サービスの代替としてAIが登場した場合、収益獲得が難しくなるとされている.今回の株式市場にはそういった懸念が投資家たちに広まり大きく影響が出たと思われる.
今回の問題に対しダン・ローゼンズヴァイク氏は既存の加入者の維持率は依然として高く、「積極的かつ即時にAIを採用していく」と述べた.
実際にチェグの第1四半期の決算発表資料の中で3月以降から学生たちのAIに対する関心が著しく高まり新期加入者に影響を及ぼしていると説明した.
2日の株式市場ではチェグの他にピアソン株が一時14%安、デュアリンゴが10%安、アドタレム・グローバル・エデュケーションが10%安になると業界全体で売りが先行しているのが見れた.
AIが教育する 「子供の未来」
ここまでは教育市場の株式変化を見てきたが、ここでは子供の未来を考えていきたいと思う.AIによって可能になる教育とはなんだろうか.少し哲学的で抽象的かもしれないが考えていこう.
確立された未来
中学生の時に書いた将来の夢の作文.その夢通りの将来を進む者もいれば、現実とは残酷で夢を諦めるしかない人もいただろう.人それぞれかもしれないが、そんな未来を考えずに済むかもしれない.それが“#1ニューロダイバーシティ“の考え方である.
ニューロダイバーシティを個人レベルで理解するためには、個人が膨大なデータから自分の特性を見つけ出し、能力を活かしていく必要がある.しかしAIによってそのデータ処理を代替できる可能性がある.例えば、勉強面で言えば、中学生の中盤あたりから考える事になる自分は理系なのか文系なのか.それらは小学校のテスト結果や作文などデータから判別する事ができる.文系化理系かでは個人が半強制的にデータを取得できるため、AIが代替するから必要がないかもしれない.
しかし、将来の夢の話になると変わってくるはずだ.自分が得意とする分野は何なのか?自分は将来どんな人間が1番最適な人生を生きていけるのか?それは日に日に蓄積されるデータでしか判断する事ができない.要は、小学校レベルから自分の将来は描けないという事だ.
しかし、AIでその常識も変えられるかもしれない.AIが持つデータから作文の特徴や行動を分析し、将来何の職業が1番の最適解なのか分かるかもしれない.しかしここには膨大なデータが必要となり、個人の小学校から大人までを集めたデータを分析させる必要がある.何十年間ものデータを集める必要があるが、代替100万人のデータがあれば確立的には十分な分析ができる.
そのためには学校という施設でAIを活用し、個人データを取得するけど必要があるため、子供のデータというのは今後多くの場所で議論が展開されてくるかもしれない.
別れる意見
今の話を聞いて「嬉しい」と思う人もいれば「倫理的な観点からどうなの?」と疑問を持つ人もいると思う.倫理的な面から言えば、AIの分析した間違いの存在しない回答を人生として送るわけだから、何も面白くないし、生きている意味を見出せないと思う人はいると思う.
別に間違った意見ではないとここで述べておきたい.実際にAIに関する考え方は世界全体で進んでいるが、対策に関しては世界全体でバラバラである.OpenAIが作り出したChatGPTの規制を例に出してみるとイタリアでは世界中のどの国よりも先に規制に乗り出した.
そこにはプライバシー的な問題や個人情報の不当取得の問題、混乱などのリスクから行われた.このテクノロジーの使い方は本当に難しい、人間がコントローラーを無くせばたちまち暴走し始める.そうなれば人類の滅亡も視野に入ってくる.テクノロジーの進化には大きなメリットが存在する反面、メリットを上回る程のデメリットも存在しているのである.
こういった意見の分裂が今世界全体で起こっているのである.しかし全体で足並みを揃えない限り、このAIに対するルール作りや経済システムの構築ができないため、今後日本で行われるG7で大きな変化が現れるのではないかと期待が集まっている.
教育市場 予測
先ほどチェグなどの教育支援サービスを手掛ける企業のAIによる懸念について述べたが、実際に今後の教育市場はどう変化していくのかデータから見ていきたいと思う.
グローバルインフォメーションは2022年8月5日、EdTechおよび#2スマート教室の世界市場は、2022年の1,253億ドル(約16兆8600億円)から、年平均成長率(CAGR)13.2%で成長し、2027年では2,329億ドル(約31兆3400億円)規模まで拡大すると予測されている.
ペンシルベニア州立大学のCIE(Center for Immersive Experience)では、学業や研究プロジェクトの一環として、学生が様々な仮想現実や拡張現実の世界を体験できるようの360度ビデオ撮影、VR・ARヘッドセット等が用意され、高等教育におけるEdTechの可能性を示唆している.この動きは特に北米に見られ、社内研修目的だけに限らず、学習技術を採用している組織が年々増えており、EdTech市場最大のシェアを誇っている.
分析からわかる変化
ここまでの教育市場の変化から分析してみると、教育システムでは人間が教えるというよりも教育に特化したAIが教える.という方向へシフトしていく可能性が高いと見て取れる.近年注目を集めているAItuberと呼ばれるAIによる教育は十分代替されていくと考えられる.他人に物事を教えるというビジネス構造ではAIによって代替が可能になるが教育に関するデータ管理などにおいてはサービスの充実性を確保できる余地があると感じられる.教育サービスにおいてはAIを取り入れた次世代型の教育システムが主流になっていくのかもしれないと仮説が立てられる.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?