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そして学んだことは無駄にはならない

時間がないので急ぎ筆を執りました。
何の時間かって?
「花粉が飛び交い始める」時間です。
観測開始は二月一日からなので数字は出ていないが花粉は飛び始めている、という情報も聞きました。
時間がありません。

ひと月ほど前、私はある手術を受けました。
勿体つけても仕方ありません。
痔の手術です。
初めて診療を受けた日先生は言いました。
「1週間薬で様子を見て改善されないなら注射をしましょう」
と。
それから1週間、真面目に薬を飲んだり入れたりしながら過ごしましたが自分の肛門のことなので誰より何よりしっかりと自覚がありました。

全然良くなっていない。これは注射コースだな、と。

当然です。肛門をギリギリまで騙し、なだめすかし過ごしやっと医者に行ったのですから薬などでは太刀打ち出来ないところまで来ているということは予感というより確信がありました。
何も知らないのも怖いけど、全てを知りすぎても怖い。
注射コースを確信した私はネットでそこそこ程度に「痔の注射」についての情報を集め、打たれる箇所や痛み、その後の経過などを学び覚悟を持って「来い」と言われた1週間後に再診したのです。

そうしたら注射を飛び越え手術になりました。
「来週以降がいいですか?いつがいいですか?あ、今日なら16時からなら出来ますよ」
誤解のないよう言いますが、私の肛門の先生はとても優しく丁寧な方です。
なのでその物言いは一瞬
「手術なんてイヤだよぅ」
と拒否出来そうな雰囲気がありましたが拒否したとて痔は変わらずそこにあり痛み続けることに変わりはありません。私は「話が違う」という思いを飲み込み16時の手術を受け入れたのです。
12月のある日、日曜午前中のことでした。

採血と手術の承諾書を先に済ませ、手術の16時まで時間が有り余るので一度クリニックを出てまた16時に戻ってくることになりました。
承諾書の説明をしてくれた看護師さんか事務員さんかが用紙を示しながら
「もうご存知だと思いますが手術は〜」
と手術に枕詞を付けます。
すみません、注射についてはある程度予習してきたのですが手術については全くの素人、無知の痔人です。
心で謝罪し文中の「10分から20分で終わります」の一文に
「え!すごく早いんですね!!」
と安心のあまり口に出してしまったので看護師さんか事務員さんにも無知の痔人であることは知られてしまったと思いますが構いません。

16時クリニックに戻ると名乗る前の私の顔を見た受付のお姉さんが
「おかえりなさいませ」と微笑んでくれました。上等のホテルのようでした。

手術は麻酔の針が一番痛かった、とだけ記しておきます。
伝えたいことはそこではないのです。

その後、処方箋を手にした私は前回薬を手に入れた調剤薬局へ向かいました。

日曜日、時は16時半過ぎ。街はすでに薄暗くなっています。
調剤薬局はお休みでした。
盲点です。クリニック自体は土日営業を謳っていますが隣接する調剤薬局はそうはいきません。働き方改革。

処方箋を握りしめグーグルが教えてくれた少し離れたドラッグストア兼調剤薬局へ向かいます。
歩くのが辛いです。横断歩道を青のまま渡り切れません。だって数十分前に手術を受けたばかりなのですから。
国会に投入したらいい働きをするお手本のような牛歩で閉店4分前の薬局に辿り着き何とか薬を手に入れました。抗生物質と痛み止めは絶対に今日中に手に入れないと命取りになるので必死でした。

ここからです。前置きが長くてすみません。
痔の術後で一番痛く、辛かったのはクシャミの瞬間です。
普段意識しますか?クシャミの頻度。
私はその時1日、2クシャミ程度でしたが地獄でした。本当に本当に痛いのです。切ったばかりの肛門に響きます。
「クシャミが出てしまうっっ!」と覚悟と諦めの後の劇的な響きと痛み。

痔を患う花粉症の方がいるのなら今がもう最後のチャンスかもしれません。本格的に花粉が飛び交う前に、今すぐに肛門科へ向かうのです。術後のクシャミは地獄です。

これが私が今回伝えたかった一番のことです。ギリギリで生きていくのはおやめなさい。

そうして私は回復し、術後の確認に3週間後先生の元へ向かい再び肛門を晒しました。
今回は大丈夫、手術は成功し傷みも違和感もなくなったと分かります。
触診を終え先生が微笑み言います。
「切った箇所は大丈夫そうですね。残りの2個は注射をしましょう。2週間後どうですか?」

終わってはいなかったのです。
ボス痔のせいで忘れていましたが私の肛門に居座る痔は3個でした。残り2個。


先生は優しいので「注射はイヤだよぅ」と言い逃れ出来そうな雰囲気でしたが諦めました。逃げたとて何も解決しないのです。
そういう訳で私は注射も受けます。
大丈夫です、注射のことは既に勉強しているので。学んだことは無駄にはならないんですね。




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みつい
気に掛けてもらって、ありがとうございます。 たぶん、面白そうな本か美味しいお酒になります。

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