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咲き乱れていた源平桃

桜がとても美しい公園の隅っこに源平桃が咲いています。

源平桃は江戸時代からある桃の品種で、一本の木に白い花と紅花、紅白の絞りの3色を咲かせる桃です。

桜を眺めながら歩いた行方にあるその不思議な3色の競演に、私は毎年魅了されます。

平日の午前中で人も少なく、私は花粉症ですがその日はそうしたくてマスクをしないで歩いていきました。
日光のシャワーが気持ちいい♡🙂

桜はあっという間に姿を変えていく。
満開の時は震えるほどの美しさで、次第に花びらが風に舞っていきます。

源平桃は一昨日まで揺らがない存在感で咲き乱れていましたが、こんなに変わってしまうのかと思うほど様子が変わっていました。

私は一昨日の源平桃の美しさを思いだしながら、一昨日のこの公園での印象的な出来事を思い浮かべました。

幼稚園くらいの元気がみなぎる男の子とお父さんが鬼ごっこ?をしていて、つかまえられた男の子がとても楽しそうに大きな口をあけて笑います。
お父さんは「マスクどうした」と聞きます。
男の子は「なくした」と言います。
お父さんは「帰ろう」と言いました。
男の子は満開に笑顔を咲かせていたのに、心をぱたんと閉じたような何とも言えない哀しい顔をしました。

なぜかそんなことを思いだしながら、私は源平桃を見つめるうち涙があふれました。
涙は久しぶりです。
周囲に人はいませんでした。
なんで泣けてきたのか半分くらいはわかるけど、あと半分は自分でもよくわかりません。

父が珍しく風邪をひき、夕方付き添っていくと主治医の先生が「喉が少し赤いね。あとは大丈夫」と言ったあと、
「こんなことを言うと驚かれると思うけど、コロナも風邪のウイルスの一種なんですよ」と笑顔😉でおっしゃいました。

私はとっくにその事を知っていました。

でも世の中はまだ変わらないのです。