おあとがよろしいようでを読んで : 読書感想文
大まかなあらすじ
この物語は、特にやりたいこともない、望んで入った大学とも違うと、新たに始まる大学生活になんの希望も抱いていない新入生がひょんなことから落語研究会に入ることから始まる。
魅力的な人柄の部長と同じ落研の仲間と触れ合ううちに様々な世界が広がり、新しいことを学んで成長していく姿が描かれている。
自身の大学生活を思い出させると同時に、自分も学生生活を送っている気持ちにもなった
完全に個人的な感想ではあるが、最初の主人公の姿が私自身の大学生活の始まりとかなり重なった。
もちろん状況が違う部分はある。
それでも当時の私は希望の大学ではなく、1年前の失恋を引きずっていて、親との関係もオープンなものとは言えず、色々なことが重なって体調不良を起こしていた。
主人公同様、大学に何の希望も持っていなかった。
もし大学生活の始めのこの時期にこの本に出会っていたら、私の大学生活はもっと違うものになっていたと思う。
響いたポイント1:父との関係
まず親とのギクシャク。両親に対して変に気をつかう関係が続いていた。親もまたそうだったかもしれない。
この本でも親との関係が扱われている。特に働く父に対する見方の変化が書かれている。
これを読んだ後、あまり好きではない働いている父の姿が目に浮かんで、見方が少し変わった。
意見が合わないことが9割9分の父だが、もっと話しておいた方がいい気がしてきた。
幸か不幸かわからないが、まだ私は実家暮らしである。父とすぐ話せる距離にいて、親孝行もまだできるのは幸運かもしれないと思った。
響いたポイント2:行動して広い世界や本物を見ておくべきということ
この本では主人公は落語にハマって寄席に行き、本物の落語を見て衝撃を受ける。
そして新しい世界をどんどん見にいこうとする姿勢へと変わっていく。
これが私は大学生活においてできなかった。
体調面もあるが、気持ちが落ちてしまっていて何か行動を起こす気になれなかった。
(その後うつ病と診断されたのだが)
それがすごく今でも無念で心が痛む。
30歳の今からでも遅くないと思いたい。
今も闘病中の身で治らない病も抱えてはいるが、もっと行動して広い世界を見るべく療養に励みたいと思う。
響いたポイント3:楽しいことは自分で創るということ
これは本当に共感する。本の中身と形は違えど、私もnoteを始めて本当に毎日が楽しくなった。待っていても向こうからやってきてくれることはほぼない。自分で人生は創っていきたい。
響いたポイント4:出会う人間関係の大切さ
今いる友人、これから新しく出会うであろう職場の仲間、上司、新しい友人、これらの人たちとの出会いを本当に大切にしたいと思う。
この本の主人公の自分の居場所と思える落語研究会の場は本当に羨ましいなと思う。
総じて自分の傷を癒す本になった
たまたま喜多川泰さんの本が何を読んでも好きで気に入り、新しく出たものと手にした本がこれだった。
まさかそれが自分の人生の心の傷のようなものに光を当てるとは思わなかった。
響く部分が多すぎて、得意なはずの読書感想文を書くのに今まで1番難儀した。
でも逆を言えば、これまで読んだ本の中で1番響いた本だった。必要なことをたくさん教えてくれた。多分また何回も読み返すだろう。
そして落語に完全に興味を持った。
どこで聞けるんだろう。
ちょっと寄席に行ってみようかな。
和風で渋いもの好きな私に、茶道、和菓子と続いて、落語という新たなアンテナが立った。
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