#28 「光安建設事件」大阪地裁
2004年3月3日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第28号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【光安建設(以下、M社)事件・大阪地裁判決】(2001年7月19日)
▽ <主な争点>
会社の携帯電話の私用利用等による解雇、電話料金相当額の損害賠償など
1.事件の概要は?
本件は、M社の工事現場監督であったAが、解雇は無効であるとして雇用契約上の地位の確認および未払賃金の支払を求め(甲事件)、M社はAが会社所有の携帯電話(以下「本件携帯電話」)を私用に用いて電話をした相手(Aの妻の友人I)に迷惑をかけたことを理由に即時解雇したとして、Aに対し、同社が負担したAの私用電話による電話料金相当額の損害賠償金の支払を求めたもの(乙事件)。
2.前提事実および事件の経過は?
<Aについて>
★ Aは、平成10年11月、土木施工技術者としてM社に入社した者である。現場監督であったAの業務は工事現場における施工の管理、監督等と工事の見積もりなどであった。
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<Aによる会社の携帯電話の私的利用、本件解雇に至った経緯等について>
★ M社はAに対し、業務のために使用する目的で携帯電話を貸与していたが、Aはこれを私用で利用したことがあった。
▼ Aは妻の友人であるIに本件携帯電話から私用電話をかけたが、Iは電話の相手が誰であるか判らず、不審を抱いていた。その後、電話が本件携帯電話からかけられていることが判ったIは、電話の所有者であるM社に連絡をした。
▼ 12年5月、IはM社を訪れ、取締役のUと面会し、本件携帯電話の使用者がAであることを知った。
▼ AがIに本件携帯電話を利用して電話をかけていたことを知ったM社は、Aが本件携帯電話を私用に使用し、Iに迷惑をかけたことを理由に、Aに対する信頼がなくなったとして、12年6月27日、Aを即時解雇(以下「本件解雇」)した。
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<M社と組合との団体交渉等について>
▼ Aが所属する労働組合(以下「組合」)はM社に対して団体交渉に応じること及びAの解雇を撤回することを要求し、組合と同社との間で話し合いが行われたが、Aの解雇については円満に解決すること、解決まではAの身分を現状のままとして賃金を保証することを互いに確認した。
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