#536 「ザニドム事件」札幌地裁苫小牧支部(再々掲)
2021年4月28日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第536号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ザニドム(以下、N社)事件・札幌地裁苫小牧支部判決】(2020年3月11日)
▽ <主な争点>
固定残業代に関する合意の有無など
1.事件の概要は?
本件は、XがN社に勤務していた平成28年7月1日から29年10月31日までの時間外労働、休日労働および深夜労働に対する割増賃金の未払がある旨を主張し、同社に対し、雇用契約に基づき、各割増賃金の合計349万7521円および遅延損害金の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金および遅延損害金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<N社およびXについて>
★ N社は、ゴルフ場等スポーツ施設の設置運営、ホテル等宿泊施設の設置運営を業とする会社である。
★ Xは、平成28年3月1日から29年10月31日までの間(以下「本件請求期間」という)、N社に勤務しており、顧客および従業員の送迎等の運転業務を行う車両部に配属され、ドライバーを務めていた者である。
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<Xの業務内容、業務時間の記載方法等について>
★ Xを含むドライバーは勤務日前日の夕方頃、車両部を統括していたマネージャーから翌日の業務内容、業務時間等の予定が記載された車両日程表の交付を受け、予定を把握していた。車両日程表にはドライバーが従業員らの乗車を開始すべき時間や送迎先に到着すべき時間等が記載されている。
★ Xを含むドライバーは運転日報に自身が実際に行った業務内容、業務時間等を記載して、マネージャーに提出していた。
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<Xの賃金、退職に至った経緯等について>
▼ Xは28年5月、契約期間が同月1日から10月31日まで、日額1万円の日給制、日給の内訳として基本日給が6112円、割増分日給が3888円、日給額には所定外労働に対する割増賃金を含むことなどが記載された、N社作成の「雇用契約書兼労働条件通知書」に署名押印した。
▼ Xは同年9月、時間外労働および休日労働に対する割増賃金が契約賃金に含まれることを承知している旨等が記載された「申出書」に署名押印するとともに、Xが期間満了により退職すること、XとN社との間に何らの債権債務がないことなどを定めた退職合意書に署名押印した。なお、Xは退職に当たり、N社から従前と同様の条件で繁忙期にスポット的に勤務してほしい旨を告げられて、これを了承した。
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