皆さんの「探求の根」は?~「13歳からのアート思考」を読んで~
皆さまお疲れ様です!マツドロップです。
さて、私の中で最近読んだ中で一番影響を受けた本が「13歳からのアート思考」です。
2020年発売の本ですが、本当に面白かったですので、紹介させていただきます。
「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考末永 幸歩 (著)
私はなぜ美術が苦手だったのか
実は私は学生時代、美術が苦手で、どちらかというときらいな教科だったかもしれません。
小学校2年生までは、絵が好きだったんです。
水族館の絵で展覧会の佳作になったこともあったのですが、
その後「見た通りに描写する」がどんどんできなくなり、
また絵自体は好きなのですが、美術史にあまり興味が持てず、どんどん興味が離れていきました。
この本を読んでみると、どうやら「あるある」みたいですね。
写実的な絵が価値を失った「写真」の登場
ルネサンス期から20世紀までの、遠近法を駆使した写実的な名画の数々。
ちなみに最高傑作の1つはやはり「最後の晩餐」でしょうか?
これらの技術はいかにリアルに描写するか、という部分が重要となっています。
パトロンの肖像画を描くため、あるいは宗教を広めるため、という背景があるそうです。
そこに「写真」が登場したことで、「リアルに描写する」は価値を失い、
アーティストたちは自身の絵の価値や「存在意義」を問われることになったようです。
・・・このお話は、20世紀のアーティストだけでなく、
いまの我々にも突きつけられている問題かもしれません。
「AIが登場」したことで、「正確な記憶力」や、「過去の事例から判断を導く能力」は価値が低下しているかもしれません。
1人1人が考えなければいけない問いを、この本を読んで改めて認識しました。
「興味のタネ」、「探求の根」、「表現の花」
13歳からのアート思考では、アートを植物に例えています。
すなわち、「興味のタネ」があり、「探求の根」を育み、そして「表現の花」を咲かせる。
そしてもっとも重要視されているのが、探求の根です。
作品=表現の花 の背景に、どれだけ充実した「探求の根」があるか、
ここが重要であり、また
アートを鑑賞する際にも、「探求の根」に目を向けることこそが重要
という部分は非常に感銘を受けました。
さて、13歳からのアート思考には様々なアートが登場し、アート鑑賞の際のアプローチについて「ワーク」も行いながら分かりやすく解説してくれています。
その中で私が印象に残った2枚をご紹介させていただきます。
松林図屏風
安土桃山時代の絵師・長谷川等伯の代表作。紙本墨画、六曲一双、各縦156.8cm横356.0cm(本紙部分のみ)の屏風画である。「美術史上日本の水墨画を自立させた」と称される、近世日本水墨画の代表作の1つ。(Wikipediaより)
あえて「描かない」ことで想像を膨らませる技法。
そしてこれほどまでに大胆に空白をとる技術。
それにより広大な森林を想像させてくれます。
ジャクソン・ポロック 「ナンバー1,1949」
これは最初見たときびっくりしました。
が、歴代5番目の超高額で取引された超重要アート作品です。
様々な見方があると思うのですが、この本の解説によると
・我々は「窓を見て」と言われ、窓を見たとしても、「窓そのもの」ではなく「窓の外の風景」を無意識に見ている。
・同じく「絵を見て」と言われても、絵に描かれた何かしらの「イメージ」を見ている
・ポロックの絵画は、キャンバスに描かれた絵の具などの「物質としての絵そのもの」に目を向けさせた
とのことです。なるほど・・・
この絵を見たとき、
私ははなまる学習会の高濱正伸先生の息子様Joさんのアートを思い出しました。
かっこいいですよね。
私の感想ですが、
Joさんもポロック氏も
絵を描くことの楽しさを体現している
のではないか、と思いました。
●表現は素晴らしい。
●何かしらのイメージではなくても、
「表現している行為そのもの」が素晴らしい。
だからこんなに記憶に残るのかな、と思いました。
未来の子供たちも、今後どんな表現方法かわかりませんが、
自由な思いと楽しさで、自分なりの「表現の花」を咲かせることがあると思います。
そのときに、我々大人たちも、その背景にある「興味のタネ」、「探求の根」も含めて一緒に楽しめる人間でありたいな、と思いました。
とても素敵な本でしたのでご紹介させていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました!