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ツィゴイネルワイゼン



時ほど無慈悲なものはなく
 
瞬きの間に暗転するせかいも
時の為せること

凪の如き時を求めても
目の当たりにするのは
雨に打たれる水面の如き狂騒 

情念の灯点したとて
凍える心に抗う術には為らず

縛られた時の中
いつか
聞こえた
あの声こそが
真実を告げていた


誰に告げていたのか
誰が告げていたのか
何を告げていたのか
何故
その時告げたのか

何もわからない

ただ
あの声こそが
真実
なのだ


そうでも思わないと
私という
容れ物

維持出来ないではないか






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