エレガンスの本質
こんばんは♪レコールドムジークの講師です(*^^)☕
今回は「エレガンス」についてです。
エレガンスとは
エレガンスは、ラテン語の「eligere」(選ぶ)に由来し、センスをもって選ばれた洗練さを指します。これは、見た目やファッションだけでなく、立ち振る舞いや会話、問題解決の仕方にまで及ぶ、総合的な品位を表現するものです。
例えば、フランスやイタリアのような宮廷文化が発展した国々では、エレガンスは人間の立ち振る舞い全般にわたる洗練さを意味し、単に服装の選択だけでなく、その人の内面や生き方、具体的に申しますと、心の持ち方や知性の表現、対人関係における気配りにも及びます。
更に、フランス語の「élégance」は、問題解決における「美しさ」を指す場合もあります。数学の世界で使われる「エレガントな解法」という表現は、簡潔かつ的確で無駄のないアプローチを賞賛する言葉であり、効率と結果が求められる現代にも通じる概念です。
外交における「エレガンス」
複雑な国際関係を調和のとれた方法で解決し、相手国との関係を築くための知恵や配慮も含まれます。フランスの外交術は、しばしば「エレガンス」と結びつけられ、そのスタイルは対話や協調を重んじることで知られています。これには、対立を避けつつ双方にとって利益となる解決策を見つける能力が求められます。
ナポレオン時代の外交家タレーランは、その巧妙な交渉術で知られています。
彼は冷静かつ控えめに自らの意見を伝え、相手国に対しても敬意を払いつつ、自国の利益を守ることに成功しました。タレーランの外交スタイルは、単なる技巧や策略ではなく、相手を思いやる心と高い知性を持ち合わせた「エレガンス」が基盤となっていました。
このように、外交におけるエレガンスは、単なる形式的な礼儀や振る舞いにとどまらず、相手を尊重しつつ、自国の利益を守る知恵と調和の力を象徴するものです。フランスの外交術にも見られるように、エレガンスは「対立を避けつつ、双方の利益に叶う解決法を見つける」アプローチに関連づけられ、交渉のスタイルをも指し示します。
//ちなみに日本にも『粋(いき)』というエレガンスに通じる概念が存在しますが、『粋』には軽妙さや遊び心といった独特の要素があり、エレガンスが持つ優雅さや洗練さとは異なる趣が感じられます。
エレガンスは多面的な概念であり、その奥行きを理解するため『表面的なエレガンス』と『真の奥深いエレガンス』の二面性を考えてみましょう。
表面的なエレガンスの価値
表面的なエレガンスは、第一印象を形づくり、日常に優雅なひとときをもたらします。たとえば、商品の名前におしゃれなフレーズやフランス語の響きが付随していると、エレガントな空気感を生み出します。
それから、カフェで少しエレガントなデザインのカップを使うだけで、日常のひとときが特別なものに変わります。そうした小さな贅沢が、日常に華やかさや気分の高揚をもたらすことがあり、ほんの一瞬の「少し特別な気分」が心に小さな喜びをもたらし、それが感性を豊かにすることもあります。
奥深いエレガンス
一方で、真のエレガンスは、物事の本質や、裏にある哲学、細部へのこだわりに根ざしています。前述のように立ち振る舞いや表現の美しさに対しても使われ、その背景には相手を思いやる心がありました。
エレガンスは決して一時の表面的な魅力ではなく、持続的に人々の心に響き、長く愛され続ける姿勢であると言えます。
奥深いエレガンスは、ただの見た目ではなく、信頼関係の基盤を築き、関わる人々と長期的な関係を育みます。
また、エレガンスは物事の表面的な美しさにとどまらず、長い時間をかけて関わる人や物と深い関係を築くことに価値を見出します。たとえば、江戸切子のような手作りの工芸品に対しても、見た目の美しさだけでなく、作り手のこだわりや技術、歴史が込められています。使い始めたときには、その色合いやデザインの美しさに惹かれ、時間とともに使い込むほど、細部の意図や手触りの良さがわかり、その奥深さに気付かされます。
日常に溶け込みつつも、手にするたびに少しずつ新たな発見があるため、飽きることなく長く愛されるのです。
このように、エレガンスとはただの美しさだけでなく、物や時間に寄り添い、理解が深まるほどに愛着が増すような側面もあると言えます。
時代や文化を超えるエレガンス
私が考えるエレガンスとは、 美しさと知性が調和したもの です。それは、単に外見的な華やかさや魅力だけではなく、 内面の成熟と深い思考が伴うものだと感じます。エレガンスを持つ人は、常に落ち着いていて、柔らかな態度で人に接し、 相手の心にゆとりや安心感を与えます。相手の話に耳を傾け、相手の立場を尊重する姿勢や、控えめでありながら自分の意見をそっと表現できる人には、エレガンスを感じます。
私がレコールドムジークで生徒様に伝えたいエレガンスとは、もちろん外見や技術としての弾き方だけでなく、心から人を思いやる気持ち、知性に裏打ちされた優雅さです。いつも通ってくださっている素敵な生徒様たちから良い刺激を受けつつ、私自身も、自分を磨き続けたいと思っております。