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SaaS営業で得られるものとは?人材業界出身者が語るSaaS転職のリアル

2022年12月にウェビナー「お金、やりがい、スキル?SaaS営業で得られるものとは?人材業界出身者が語るSaaS転職のリアル」が開催されました!
スピーカーとしてLeaner FSの高橋と、モデレーターとして同じくFSの山下が登壇し、皆様から貴重な知見を共有していただきました。

このnoteでは、当日のトークを余すことなく、お届けします!

登壇者

梅田 翔五 @job_and_life
|株式会社セレブリックス 新規事業開発室 ゼネラルマネージャー

大手製薬会社の営業、大手転職エージェントのCAマネージャー、SaaSスタートアップ株式会社iCAREの営業マネージャーを経て、セレブリックスの新規事業開発室にゼネラルマネージャーとして入社。営業パーソンの"営業スキルを視える化"し、転職・キャリアの支援を行うSQiL Career Agent事業の責任者を務める。

富澤 仁 @tomizawa1988
|株式会社カミナシ VP of Sales

2010年 青山学院大学 国際政治経済学部 卒業。新卒で帝人ファーマ株式会社へ入社し、医薬品事業においてMRとして5年間従事。2015年株式会社エス・エム・エスにて、介護業界向けの新規事業立ち上げや求人広告事業のマネジメントを経験。2020年株式会社カミナシに入社し、インサイドセールス・フィールドセールス・B2Bマーケの立ち上げを担う。現在は VP of Sales として組織拡大と共にチームビルディングに奮闘中。

河本 慎也 @shinya_kawamoto
|Ubie株式会社 Ubie Customer Science VP

大手法人営業を経験した後、リンクアンドモチベーションに転職。ベンチャー企業向けの採用コンサルティング、自社採用、グループの営業責任者を経てUbie入社。UbieのScale組織(Ubie Customer Science)にてFS Mgr、CS Mgrを経て、現在はVPとしてMkt、IS、FS、CSを統括。

高橋 健太 @KentaTakahash20
|株式会社Leaner Technologies 営業責任者

新卒で三井住友銀行に入行。その後、パーソルキャリア株式会社に転職し、転職メディア事業部にてdodaサービスの法人向け提案営業とカスタマーサクセス業務を担当。歴代最速でのゴールデンプレイヤー賞、半期MVP、パーソルアワードなど、社内の表彰にて多くの賞を獲得。 2020年8月より株式会社Leaner Technologiesに1人目のセールスとして参画。入社後は、Leaner見積のプロダクト立ち上げを最前線で牽引。1社も実績のないプロダクトの立ち上げを、バーニングニーズの特定・ターゲット選定・MVPの開発・販売戦略まで幅広く行ってきた。 現在は、Leaner見積事業の営業責任者を担当する傍ら、ローンチ前の新規プロダクトの事業開発も兼任している。

SaaS業界の概要

山下:まずパネルディスカッションを始める前に、少しだけSaaS業界についてご説明します。SaaS業界は皆様ご認識のとおり、順調に伸びている状況で、成長トレンド、急拡大のフェーズにあります。

そもそもSaaS(Software as a Service)はクラウドサービスで、Webブラウザやアプリを介して様々なサービスを使えるプロダクトになります。そこには大きく2種類あり、1つがHorizontal(ホリゾンタル) SaaSといって業界を問わないサービスです。Slackやteamsなどが身近に挙げられます。もう1つがVertical(バーティカル) SaaSと言われる、特定の業界に特化したサービスです。

今日の登壇メンバーでいうとユビーさんはバーティカルですね。ホリゾンタルとバーティカルでは、営業戦略なども変わってくるはずなので、今日はそのような点も深堀り出来たらと思います!

人材業界の経験が活きた場面、苦戦した場面

梅田:私の場合、人材業界において転職エージェントのCA(キャリアアドバイザー)をしていました。おそらく今日ご参加の方の中には、キャリアにおいてCAはTo Cの経験と判断されて、法人営業経験が無いとみなされることにハンデを感じる方もいるのではないでしょうか。私もそのように考えていたのですが、実際に自分自身はSaaS営業のフィールドで活躍することができて、1万名を超えるエンプラからも受注することができました。
では、CA経験の何が活きたか?と考えると、「人の転職支援は、複雑性が高い。」この複雑性に本気でアプローチしてきた経験が活きたと思います。人の人生は情報が多く、お金、やりがい、その人の内定を取りやすい方向など、変数が非常に多いです。それを整理して、その人が納得感が得られるキャリア支援をすることは、企業の課題を導き出し、整理し納得してもらい、決裁を得ていくというアプローチと似ているんです。CAという職種を本気でやれている人は情報処理能力が高いと思います。一方で、CAに比べて法人営業はステークホルダーの人数がとても多いです。これについては経験のないことだったので、苦戦しましたね。相手企業の組織に対する働きかけ方はステップアップして身に着けないといけないところでした。

河本:梅田さんがおっしゃるように、「誰に何をどのように」というプロセスの磨きこみはSaaS営業に活きていると思います。人材業界における、候補者(ターゲット)は誰で、ターゲットに対して自社のポジショニングはどこで、それをどのようにメッセージとして訴求していくんだっけ?というプロセスを、SaaSでもやって来ています。手数を踏み、検証して、結局このサービスは「誰にど真ん中なんだっけ?」という施策を繰り返すことは、人材業界の経験が生きています。

富澤:人材業界ってプロセス管理を鍛えられますよね。予算から逆算し、KPIと照らし合わせて、商談数は何件必要か。というプロセス管理です。その考え方は普遍的で、SaaS業界でも絶対活きます。カミナシに入った際にも、まずそのバリューを発揮できたと感じています。
もう一つは、SaaSってThe Modelで分業制でプロセスカットでやっていくことが多いと思うんですけど、自分が求人広告を扱っていた時は、自分で全プロセスやることが多かったんですね。自分で受注もするし、お客さんのケアもする。そういう体験から全体像をちゃんと理解しているのは重要だと感じています。この先、The Modelが主流になっていくと、よりこの全体像を把握している人は貴重になっていくと思います。全体像が分かると隣の部門の立場が分かるし、それによって部門間連携もしやすくなる。そういった感覚を持つ人材は貴重だと思います。

高橋:プロセス管理・KPI管理はとても活きていますね。僕は前職において中途人材のメディア営業をしていて、エンタープライズを担当していました。人材業界特有なことは、とても競合が多いところだと思います。つまり「シェアの奪い合い」をしている環境が特徴だと思っていて、ライバルは同じメディアだけではなく色んな手法(メディア以外)のライバルがいるんですね。このような環境においては、営業の「課題設定力」で勝負が決まることが多かったです。プロダクトの差分は出にくいので、お客様に対してどういう課題の設定ができて、それが解決につながるものかどうかを考える必要がありました。Leanerにおいて新しいプロダクトを作るにあたっても、「お客様に課題を設定していく」というのは超重要です。
ただ、今のLeanerでの仕事のほうが少しレベルの高いことをやっています。当時はいくつか課題がある中の1つを設定する感じだったのですが、今は「無い」ものからas isを見せて、To Bとの差分を見せて、というようなことをやっています。今思い返してもHRの営業はすごく大変だったけど、Leanerでの仕事に活きていますね。

人材業界にいるうちに、こんな業界を積んだらよい、という経験やスキルはありますか?

梅田:大前提として、人材業界はニーズが鬼のように強い。社会全体が人手不足なので、「どこのエージェントを使うか?」という議論はあっても、エージェントを使うかどうかという議論は起こりにくい。
一方、スタートアップは何か作っても「そのプロダクト欲しいです!ください!」とすぐにお客様には言ってもらえないんです。だからこそスタートアップなんですけど(笑)なので、人材業界で「自分めっちゃ売れる!」と思っていた人が、スタートアップにジョインして苦戦する可能性があるとしたら、「そもそもまだ必要がないものを売る」ということへのギャップが大きいと思います。この質問に対する答えとは少し異なりますが、SaaSスタートアップで営業を始める場合は「自分がこれまでやってきた営業はニーズが強いものだったんだ」「これからニーズがないものを売るんだ!」という覚悟がないと、最初に顎にパンチくらうような感覚だと思います!(笑)

高橋:確かに、僕もLeanerに入社したばかりの頃、2人目のセールスと朝のサウナで「なんで億でモノ売っていた僕らが、月5万円のプロダクト売れないんだろうね」とよく話していましたね(笑)あの時は面食らっていましたね…。

富澤:経営課題の理解、上位課題の理解は人材業界でもSaaS業界でも必要だと思います。人材業界の場合は部門課題の理解だけで売れてしまうことも多いですが、SaaS業界、特にスタートアップのプロダクトでは経営課題まで登って理解しないと売れないです。人材業界の営業でもシチュエーションによっては経営まで登って予算を大きく持つような経験をすると、SaaS業界の経営まで登って複雑性の高い提案をしたりとか、課題訴求をするところに繋がってくるので、そういう経験が重要なのではないかと思いました。

高橋:確かに僕は、Leanerに入って相対するレイヤーがぐっと上がりましたね。前職では課長が予算を持っていて、承諾されてぱっと売れちゃいました。今お会いするのは社長や、1000人規模以上の会社であっても取締役と商談しています。

梅田:今までと全然ちがう観点ですが、人材会社の多くは離職率が高いです。理由としては職業柄、転職リテラシーが上がったり、求人情報を常に見ているので転職を模索しやすいという業界特性があると思います。さらに、ごりごりの営業会社が多いので働き方がシビアというのもあります。業界全体で離職率が高い。僕はこの点をポジティブに捉えているんです。スタートアップにおいては、いくらでもハードシングスがあり、人が辞めていくことが多々あります。出身の業界によって人が離職していくことへの耐性基準が異なると思うのですが、「こんなに辞めるの?!」って毎回ショックを受けるのは結構辛いことです。人材業界出身だとこのあたりのメンタルも鍛えられているのではと感じます。

河本:そうですね。人やマネジメントの観点で言うと、人材業界ではチームを築くにあたって結構なエネルギーが必要になると思っていて、前職では1on1のような人と向き合う機会を沢山いただけたので、今に活きているなと思います。この経験が無かったら、何か不協和音が起きたときにぷっつん(キレて)してしまって、「会社がこう言ってる!」「組織がこうだから事業のためにこうやるんだ!」という感じで、従業員目線を失ってマネジメントしてしまって、組織を瓦解させるような状況を作ってしまっただろうと思います。

富澤:確かにマネジメントで言うと、人材業界は方針の移り変わりも激しくて、社内の戦略や戦術も揺れ動いていたんですよね。それを現場まで落とし込んで動かなきゃいけないとなると、戦略のディレクションや言語化、メンバーの気持ちを汲んで丁寧に伝えていくとか、そういう所を鍛えられたと思います。さらに、若くてもマネジメントの経験を積める機会が多い業界だと思うので、この経験は良かったと思いますね。

高橋:確かに若手でも大手企業を担当させてもらう機会があったりして、経験を積みやすい業界ですね。

企業フェースごとに求められる役割

山下:スタートアップは、会社のフェーズ、シリーズABCD・上場、によって会社の組織の大きさや営業戦略が変わったりすると思います。今日の登壇者だと、Leanerは一番若いフェーズ、ユビーや、iCAREさんは一番後ろのフェーズだと思います。それぞれのフェーズでどういう役割が求められて、移り変わってきたのか、聞かせてください。

高橋:入社したときはシードフェーズ、プロダクトが無い状態から始まったので、「PMFを見つけること」が最初に乗り越えなくてはいけない壁でした。5名ほどの社員で、お客さんの課題を見つけて、それをどうやったら解決できるのかを探る0→1をやっていました。僕がこの時一番大事だったと思うのは、突破力です。お客様を引き込みながらこじ開けつつ、お客さんの課題を言語化しながら型にしていくとか、プロダクトを作っていくにあたって仮説を作って社内エンジニアと協業するとか。突破しつつ、形づくるフェーズです。お客さんに「去年できた5人の会社」とだけ言ってもなかなか期待してもらえないので、我々にいかにビジョンがあり、どんな世の中にしていきたいのか伝え、ファンになってもらい、困っていることを聞く。という、お客さんに気に入ってもらい信頼してもらい、その繋がりを生かしながらプロダクトを0から作っていく事をやってきました。これからのフェーズでは、会社も自分ももっと成長して変化していかなければと思います。

富澤:自分がカミナシに入社したのはセールスが2人目というフェーズでした。今は20名ちょっとのセールスが居るので、この2年間でかなり増えましたね。最初の2人の時は売り方が決まっていないので、自分で色々実行して、言語化して、他の人にも出来るようにするという0→1のフェーズでした。そこから特に自分が求められるようになったのは、採用とチームビルディングの2つです。どんな人を採用するかはチームを作る上でとても大事なことなので、特に採用に時間を使いました。チームビルディングについても、セールスが2、3人の時に作った型を誰でもできるようにしなければスケールしないと思うので、スケールするための仕組みづくりに時間を割きました。あとは採用したメンバーがカミナシの中で成果を上げられるようなマネジメント、支援についても注力してきたので、この2年間でフェーズに応じた変化があったと感じています。

河本:カミナシさんと近いフェーズではありますが、お二人の言っている事、よくわかります。高橋さんの言うように、初期フェーズでは突破力と手数をこなすことが大事だなと思います。1つでも受注する、1つでもアポを獲得していく、そういう所ですね。その後の中期では、富澤さんのおっしゃるように、高橋さんのような戦闘力の高い人だけじゃなくて、皆でできるようになる。そのために、どういう仕組みと型でやっていくのかという型作りですね。さらにその後だと、生産性です。作った型を「1度で、2度3度おいしい型」をつくっていくにはどういう風にすればいいんだろう?という議論です。チームビルディングであったり、組織の編成であったり、正社員でやっていた業務を整理してアロケーションしたりと、どうしたら投資している額に対してリターンが最大化するんだっけ?というところが大事なんじゃないかと思います。人材の話とはかけ離れてしまいますが、そういった一点突破→型づくり→生産性を高めるための仕組み・組織づくりとアセットの使い方。という段階を経た成長が大事なのではと考えています。

梅田:僕は、前職のiCAREに入社した時セールスが2人目で、辞めた時には営業組織全体で20名ほどいました。河本さんが全体像を話してくださったことと対局に、個人寄りの話をさせていただきます。最初の数人のときは、すべて自分で考えて実行することが必須なので、強いメンタリティが大事です。テレアポももちろんしますし、テレアポ先を選定することも自分でやります。話すときの内容、提案資料、契約する内容も考えて自分で作ります。リーガル担当者が居なければ自分で法律を調べたりもします。まさにゼネラリストなので、そうやって調べながら「わかんないけどやってみよう」というスタンスが取れることが大事です。これが、組織が大きくなればなるほど、前例があり、先輩が経験者として教えてくれ、責任を上がとってくれますので、良くも悪くも責任が減ります。だから、「成長したい!」という気持ちでスタートアップに転職する人は多いですが、200人のスタートアップに行くのか、5人のスタートアップに行くのかは別世界なので、そこは気を付けると良いと思います。

河本:今日も富澤さんがnoteを書いていらっしゃいましたが、

スタートアップに限らず、先人がどうやっているのか調べて追体験することは大事ですね。いまはnoteとかにも色々なスタートアップの経験が載っているのですごい有難いです。

高橋:僕もLeanerに入るまではnoteもTwitterもやっていなかったのですが、活用するようになりました。先人たちに学ぼうと思いすぎてLinkedinで某大手SaaSの執行役員の方にDMを送ったら、飲みに連れて行ってくれたこともありましたね(笑)今日集まったメンバーもTwitterがきっかけで繋がりご一緒できましたし、待つのではなく自分から何かするというのはめちゃめちゃ重要ですね。

富澤:確かに、自社と他社とか、社会に対する垣根がめちゃくちゃ下がったなと思っていて、外に情報を取りにいかないと自社で学べないと痛感します。それから「こんな人に話聞けるんですか?!」というところにすぐアクセスできたりと、これは本当にスタートアップで働く魅力だなと思うし、今の企業フェーズに求められているところだなと思いますね。

梅田:スタートアップに入社した当時を思い出すと、まじで分からない事がいっぱいあるじゃないですか。例えば、僕がiCAREに転職したころから「セールスイネーブルメント」という言葉が流行りだしていて、「セールスイネーブルメントってなんだ…?」だとか、他にもスタートアップ界隈で流行る単語とか、こういうのやったほうがいいという流行とかが定期的にやってくる。僕が意識していたのは、GogleのSEOの1-20位くらいは全部読むようにしていて(笑)自分で調べて学んで実行するというのはすごく意識していましたね。組織もだんだん人が増えてくると、後から入ってきたメンバーはそういう危機意識が低いことが多くて、能動的にはやらない人が増えてくる。それが組織というものなんだろうなと思います。

富澤:そういう意味では、社内に「分かる人がいない」ほうがいいんですよね。自ら情報を取りに行くから。

河本:間違いないですね…。圧倒的当事者意識が高まりますからね。

リアルタイムで3つの質問にお答えしました!

社外との差別化のために、経営課題を理解して訴求しなくてはいけない。というのはわかるのですが、それをどうやったら分からないです。

山下:新卒社会人の方からです。正に、こういう機会にこのような質問をしていくって大事ですよね。

高橋:僕の経験で話すと、企業の社員さんが自分たちが自認できる課題って、基本は中期経営計画とかに書いてあると思うんです。僕らができることは、お客さんが自分で分からないところに気が付くことです。例えば経営層の方は、現場で起こっていることを知らなかったりするんですよね。僕らは、特定の業界や部門に特化して海外の先進的な事例なども知っているので、そういった事例と比較したときに問題かどうか?というas isをTo Bで見せてあげて、今は感じていない・認識していないけど、「本来こうやるべき」という課題を設定していくことが重要だと思っています。そのために大事なのが、自分達がやっているサービスの「より進んでいった時に、どういうことが待っているのか」っていうのを明確に伝えられることと、今の現場では何をやっているのかというのをファクトベースで理解して、経営と現場を繋いであげるということです。Leanerの場合だと、最初に取締役に会いに行って、「この領域が大事で、こういうことやるべきです。」ということを啓蒙します。そこを理解していただいたら現場に降りて行って、現場の問題点をヒアリングして、さらに両者を交えて話すということをしてみると、取締役の方が「え、そんなことが起きてるのか!知らなかった。」という風になることがあるんですね。だから、経営層だけじゃわからないとか、社内の人だけだと見えてこないような所を課題設定してあげることができるのは、外部じゃないと出来ないですし、SaaSスタートアップとして新しいことをやっている価値だと思います。
想いが溢れて色々言ってしまいましたが、経営と現場をつなぐことと、as isを見せて行くということが大事だと思っています!

SaaS業界に営業職として転職したとして、その先のキャリアビジョンはどういうものがあるでしょうか?次に新しいことをやる。となったときにどういうことができるでしょうか?

富澤:色々な選択肢があると思いますが、SaaS内でいうと、そのまま営業職のマネージャーロールに上がっていくという道があると思います。他には、職種の幅を広げて、FSからCSやISにもチャレンジするというのもありますね。ここで、セールスから入る価値は何かと考えると、「プロダクト理解がめちゃくちゃ進む」ということだと思います。これは自社理解と顧客理解の深さでもあります。これがあると、社内のどこでも活躍できる条件が揃っていて、例えば新規事業を作る上でもその知識が足がかりになるし、マネジメントでも後輩の支援ができる。さらに、プロマネをするにも必須の知識ですね。なのでセールスとして培ったものは汎用性があると認識しています。社内でも、営業は顧客に関する質問をされる立場だと思います。「この業界はどうですか」とか「このお客さんはどういうこと言ってますか」とか。それだけ貴重な情報を持っているし、それを自ら提供できれば社内での価値も上がり、色々なところから声がかかると思います。純粋にセールスの仕事に向き合うことで、キャリアステップの道は開けるんじゃないかと思います。

高橋:僕は、こういうキャリアビジョンとかの話はとても苦手で…。Leanerという会社が世の中を変えてくれたらいいなと思っているだけなので。ただ、今の富澤さんのお話を聞いていて、確かにプロダクトに寄って行くなとは思いました。顧客のペインを見て、解くために行動すると、実際にモノ(プロダクト)が出来る=エンジニアと一緒に新しい価値を生み出せるので、セールスから入ったとしてもプロダクトと顧客を最も知っている立場になれると思います。

河本:多くのSaaSスタートアップはThe Modelを実践していて分業化しているので、見れる範囲が狭まってしまいしたよね。僕らみたいなワンストップで一人で全部やっていたという経験がある人は、希少になりつつあって、分業型は場合によっては機会損失してしまっているんです。セールスの担当者の方であっても、その前後の工程はぜひ意識して見ていって、全体的な視点を持って欲しいと思います。マネジメント・スペシャリストどちらに進むにしても、一緒に働く人という観点でありがたい存在になると思います。

梅田:今のThe Model型の分業による変化って、思っているよりも深刻なんじゃないかと思っています。現職でヒアリングしていて分かったことなのですが、コロナ禍で就職した殆どの新卒2年目の方々は、対面の訪問営業をしたことがないんです。FSでもオンライン商談のみだったり、ISにアサインされて2年間やってきたから商談をしたことがないとか。もちろん商談したことがないからキャリアがだめになるということではありませんが、20代は色々な経験を積んで、自分の得意なことを見つけて、「自分の得意はこれだから伸ばしていこう」と30代のキャリアを進める。というあり方が良いとしたときに、20代からThe Modelの型にはめてしまうと専門性を磨き始めるのがちょっと時期尚早すぎる気もします。ぜひ、今日ウェビナーを聞いている方のうち、部下を持っている方がいらっしゃったら、若者には色々な機会を提供してあげてほしいと思います。

河本:企業によっては、同じような危機感を既に持っていて、社員に全工程を一人でやってもらうというミッション設計をしていたりするんです。良い取り組みだと思います。分業化させることは、リソース配分や組織運営への効果は高い一方で、個人のキャリアという観点では狭まっているという前提は持っておいたほうがいいと思います。マネジメント側もそういう意識をもって置かないといけないですね。

富澤:そういう意味では、SaaSセールスのマネジメントの難易度は上がっていると思います。人材の流動性を担保するために仕組みをつくらないといけないし、一人ひとりのキャリアに寄り添って考えないといけないから、そこにチャレンジして向き合っていかないといけないと思います。

梅田:小規模な組織ではゼネラリストが求められて、人数が増えるほどスペシャリストになっていきますよね。上場している企業に勤めると、キャリアステップとして営業の中で昇格していく、マネージャーや部長といったポジションになる確率が高まると思います。逆に数人のスタートアップに行くと、営業として入社しても、やることは事業開発じゃないですか。なのでそちらよりのキャリアになったり、営業の傍らでマーケティングもしていたりするのでマーケターに転身する方もいると思います。「だからスタートアップに行け」というわけではないですが、スタートアップで営業した先のキャリアは幅広いと思います。

投資フェーズではSaaSバブルは弾けたと思います。この状況をサラリーマン目線で見たときに、給与水準が上がっていくと皆さんは考えていらっしゃるでしょうか?

山下:確かに時価総額が下がっている企業も多いですね。

富澤:短期でみるとYESとは言えないですが、中長期で見ると不安視はしていないです。

高橋:僕は給与をあまり気にしなくて、全身ユニクロタイプなんですけど…。シンプルにお客様に価値を返していけているので企業価値は上がっていくと思います。資本市場の影響を受けて下がる時もあるんですけど、長期的には良いと思います。

河本:間違いないと思います。SaaSバブルはあると思っていて、自身も留意しているのですが、「SaaSだとバリエーション高くつくよね」という投資・金融市場の目論見も少し前まではありました。今後は勝つところと負けるところ、はっきり分かれて淘汰されていくと思います。バーティカルSaaSも今後M&Aが活発になると思いますし、ホリゾンタルSaaSも生き残りをかけてバチバチの勝負になっていくと思います。そういった中で生き残る企業は、給与なども含め、お客さんに提供するものの価値が高い分、返ってくる対価も高く、給与水準の高さにつながると思います。長い目で見ると、勝てる企業は良い状況になると思います。

梅田:そんなに心配はいらないんじゃないかというのが僕の回答です。たしかに投資のバブルははじけたと思います。これって「SaaSだったら全部可能性があるんじゃないか」みたいな投資判断だったのが、「SaaSの中でもちゃんと儲かりそうな所と、そうじゃない所はしっかり判断しましょうね」という変化の話だと思っています。そういう意味で、勝つ会社・勝てない会社という明暗は分かれるでしょう。ただ、心配がいらないと言っているのは、「死んだSaaSにいたことが、その人個人のキャリアにとってデメリットかというと、全然そうではないから」です。そもそもIT営業という市場価値はまだ上がっていくと思っていますし、人材の流動性も高いです。さらに業界の変遷もめちゃくちゃ速いので、会社が仮につぶれたり給与が全く上がらないということがあったとしても、積んできた経験を活かして転職したりステップアップしていくことは大いに可能だと思います。

おわりに|視聴者のみなさんへ

富澤:今日のトークを踏まえて、改めて、SaaSは不安もあるかもしれないけど面白い業界だと思いました。世間的には「SaaSってもう出尽くしたんじゃないの」という意見もありますが、自分のようにノンデスクワーカーという領域で仕事をしていると、「クラウドってなんですか」とか「SaaSってなんですか」という言葉はまだまだ当たり前に聞かれます。先人たちが作った勝ち馬に乗っかるというのではなく、まだまだ自分たちでやってやるぞ!という市場だと思いますので、そういう方々と働いていきたいです!

河本:SaaSに限らず個人の時代だと思うので、自分がどうしたいか?という欲望に従順になるのが大事だと思っています。不安もあるとは思いますが、やらない後悔よりやった後悔のほうが絶対に良いと思いますので、もしキャリアに関するお悩みがあれば、セレブリックスの梅田さんに言っていただければなと思います(笑)

高橋:Leanerはまだまだこれからのフェーズの会社ですが、個人的には一番イケてるSaaS企業だと思っていますので!転職を考えている方もそうでない方も、ガンガンご連絡をいただければなと思います。TwitterのDMなど大歓迎です。よろしくお願いします!

梅田:SaaS営業は、営業職を目指す方にとって良いキャリア選択の一つだと思っています。業界の売り上げが落ちていく市場では営業は必要なくなりますが、だからこそ、営業パーソンがキャリアを積んでいくには、どの業界に張るのかがとても重要です。この先、日本の人口が減る中で労働生産性を上げるとなると、ITに張るというのは王道だと思っています。ただ、IT営業は意外と門戸が狭く、いきなりSIerへ転職するなどは難しいと思います。一方、SaaSはすごく伸びていて経験者を採用するだけだと人手不足を賄えないので、未経験の人たちも沢山採用しています。これは色々な人のキャリアを広げている活況のフェーズです。今日メンバーが参加しているLeaner、カミナシ、ユビーをはじめとして、SaaSスタートアップは非常に魅力的な企業が多いので、転職を検討したい方はぜひご相談ください!


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