【SS】かぐや姫【ボケ学会】
その翁が斧を振るう速さは、まさしく鬼のそれであった。凄まじい形相は般若の如く、竹ではなく世界を両断しかねないほどであった。
岩かと見紛うほどの腕の筋肉をしならせ、翁は次の竹を両断した。
鮮血が吹き上がる。だがそれは錯覚であった。あまりにも強すぎる翁の力が、竹さえも震え上がらせたのだ。
「危ねえ…」
どこかから幼子の声がする。断面を見ると、小さな小さな女子が、にやにやと笑いながらこちらを窺っている。
「やるねぇ、爺さん。昔は相当に人を斬ったと見える」
「…童。貴様何者だ