激辛の鏡【毎週ショートショートnote】
上村さんが唐辛子を学校に持ってきているのに気付いたのは、体育の授業のあとだった。
「上村さん、それ何?」
「鏡。見てみる?」
そう言って彼女が見せてくれたのは、どこからどう見ても真っ赤な唐辛子だった。
「僕には唐辛子にしか見えないけど」
「ブート・ジョロキアは毎日食べ続けると、鏡になるの」
それはかなり重症なのでは…。その言葉は出さずに、相槌を打つ。
「キャロライナ・リーパーは櫛に、ドラゴンズ・ブレスは歯ブラシになるわ。ペッパーXはペンになるの」
やばい子が隣にいた。知らなか