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読み書きが苦手な子の母であるST&OTの本音トーク

10月は #ディスレクシア月間  です。

10月限定!「学校とのやり取りどうしてますか?」Xスペースの二人の会話を連ねたnoteです。
「ポイントだけでも知りたい!」という方に向けて
言語聴覚士・サキと作業療法士・みねこがポイントを凝縮した
以下のまとめシート3枚をプレゼント中です✨
・保護者から学校への伝え方
・保護者から子どもに伝えること
・学校とのやりとりまとめ
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この機会にまとめシートを手に入れてくださいね。


vol.1「学校とのやりとり、どうしてますか?」

自己紹介(2023年12月9日時点)


ST・サキ 小学3年生の娘が読み書きが苦手です。お子さんのことばの育ちを見守るSTとして働いていますが、学習障害・学習支援についてはほとんどわかりません。学習のベースになる社会性を育むとか、ライフハックを身につけることを大切にしています。娘には「わからない」「やりたくない」「手伝って欲しい」「こうしたらできる」と声に出していいことを伝えています。
@watashipalette
OT・みねこ  小学4年生の息子が読み書きの苦手さがあります。 出産育児を挟みながらリハビリテーション病院(小児・成人)、デイケア、訪問看護センター、福祉センターでOTを続けてきましたが、現在は子どものフォローのために在宅で医療ライターをしています。 教材やノート、文房具などの工夫や学習する際のノートとドリルの配置、わかりやすい提示の方法や手順などを子どもと一緒に考え、学校や自宅の学習で行っています。
@ifumiq_writer

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「学校とのやりとり、どうしてますか?」をテーマに選んだ理由

保護者の立場として、学校とのやりとりの難しさを2人ともが痛感。

OT・みねこ
過去に、OTとして保護者の方に「園や学校にこういった風にお伝えしていただけるとよいかと思います」と言っていたことがあったのですが、実際に自分が学校とやり取りする立場になって、本人の状況や理由とともにこの方法がよいと「伝える」ことの難しさ、大変さを痛感しています。

ST・サキ
私も普段は、学校の先生側(支援者側)にいますが、母の立場がこんなに大変だとは思いませんでした。
保護者とセラピストは対等、お子さんの成長を一緒に見守っていく大人のひとりと思っていましたが、今は保護者の方をリスペクトする思いがとても強いです。

OT・みねこ
何が大変かというと、まず、どう伝えればよいかというところです。
セラピストと保護者の中では共通の認識を持ってお話しできているのですが、その話した内容を学校の先生にお伝えするときに「このまま話して伝わるだろうか」「どこから、どのように話したら伝わりやすいのだろうか」ということを考えなければなりません。

ST・サキ
そうなんです。そこが難しいなと感じています。
娘は通常級の在籍なので、先生方が学習障害についての理解や配慮に明るくなくても仕方ないと思っています。1回の説明で、娘について知ってもらうことはできますが、理解してもらうことは難しい。

「学習障害の子ってこうすればいいんでしょ?」と一緒くたに捉えられてしまうときもあって「娘にはどういう対応がよいか」がゴッソリ抜けたままになってしまうときもあります。
その都度、その都度、繰り返し、対話を重ねていかなければならないと感じています。

OT・みねこ
学習の困難さって「できるか、できないか」「 苦手かそうじゃないか」という基準でみられやすくて、学習障害の理解は得られにくい、伝わりにくいというのは非常に感じるところです。

学習障害といっても、それぞれのお子さんが困っているところは違います。まず「保護者が学習の苦手さに気づく」→「具体的にどういうところでつまずきがあるのかを保護者が理解する」→「本人がわかりやすい・取り組みやすい方法を家で試してみる」→「良さそうな方法を学校の先生に伝える」といういうステップを踏まなければなりません。

ST・サキ
そもそも、親が子どもの読み書きの苦手さに気づくのも難しいですよね。私は、夫や祖母にわかってもらうまで1年かかりました。
学校にも、1年生の夏頃から読み書き・計算の苦手さがあると思うと伝えていましたが、読み書きを専門に見てくれる施設を利用するまでは、娘の弱さをわかってもらいにくかったです。

「配慮も支援も必要のない子」もしくは「知的障害のある子」とみられてしまっていましたね。
医療受診は「診断をつけるため」「検査をするため」「処方箋を出してもらうため」に利用する場所と思われがちですが、娘の今の状態を知って、周りが同じ方向を向いて支えていくために、考えをまとめる場所だと実感しています。

OT・みねこ
考えをまとめる場所。それは私も実感しています。
療育は「自分が子どもにこうした方がよいかな?」と考えていることが、果たしてベストなのかどうかを答え合わせをする場所になっています。
小学5年生になると、そろそろ中学校の進路を決めなければならない時期に入ります。高学年の間に学習しやすい方法を定着させて、中学校でも継続できるように学習環境を整えたいという思いがあります。

さらに、高学年になるにつれて、授業の内容は情報量が増え、より複雑な内容になっていきます。今「ノートを書けているか・書けていないか」でいうと書けています。しかし、120%の力で書いているノートです。
この負担をできるだけ減らし、授業の内容の理解に比重をおいた方法に変えていく必要がある。そう思ったので「ICTを使ったノートテイクを練習しに行こうと思います」と学校の先生に伝えました。すると「本人、ノート書けてます。困ってないと言ってます」と言われてしまいました。

「私が先走りすぎたのかな?」と不安になったのですが、フォローを受けている機関のSTの先生も同じ考えだったので、本人に合う方法を色々試していこうと思いました。同じ目線で考えてくれる、相談できる場所がもう少し身近にあればいいな、それが学校だったらいいなと思います。

ST・サキ
娘は今3年生なので、すごく興味のある話題です。
学校と一緒に考えていきたいのに、どうもその関係が築きにくい。親発信が多く、先生方からの発信が少なくて学校の様子がわかりにくい。
それに加えて、私がSTなので「お母さん、プロだから大丈夫でしょ」と言われてしまうジレンマ…

対等な関係で対話がしたいのに、立場が逆転してしまう。
だからもっと、先生の味方になってくれる専門職が学校に入ってくれたら学校の先生にとっても保護者にとっても、そして子どもにとっても幸せだと思います。

学校とのやり取りで困った経験はありますか?

支援の意味・目的を先生と共有する困難さを経験

ST・サキ
今週にあった出来事です。担任の先生とは連絡帳でこまめにやりとりしていて「学校での娘の様子を教えてほしい」旨も伝えていました。にもかかわらず、“漢字の小テストが毎回0点”だったことが「漢字の小テストが嫌」という娘の告白から発覚したのです。

学校の先生は忙しいので一人の生徒に目を向けるのは難しいと分かっています。でも「なんでいつも0点なんだろう?お母さんに家での様子を聞いてみようかな」と思って欲しかったです。
私が「一緒に考えていきたい」と繰り返し伝えたとしても、「どうすればいいんだろう?」と先生自身に想像してもらえないと対話に繋げられないんだと感じました。

例えば、国語のテストや配布物には、スラッシュを入れてもらったり、ひらがなをふってもらっています。だからといって、テストの点数が上がるわけではありません。
私の説明不足が招いたことですが、先生から「その配慮は必要なんですか?」と確認されたこともあります。

OT・みねこ
「配慮は必要ですか?」という先生の質問は「テストの点数が上がった」という目に見える変化がないから「本当に必要な配慮?」と先生が疑問に思って尋ねてきたということでしょうか?

ST・サキ
そうなんです。「あ、そっか。なぜスラッシュやひらがなをふるのが必要なのかも言語化しないといけないのか…」と学びました。

あと、先生には娘に「このやり方はどうだった?と確認してもらって大丈夫です」と何度も伝えたのですが、聞かれる娘の気持ちに配慮して、声をかけてくれるようになるまでしばらくかかりました。

そもそも、スラッシュやひらがなをふる配慮も「まわりと違うことで傷つきませんか?」という考えで。「もし、何かあっても家庭でフォローするので大丈夫です」と伝えてお願いし続けました。

OT・みねこ
そうなんですよね。点数が上がるとか、結果として表れるかどうかではなくて、その方法で本人が前よりも行いやすくなったかどうかというところが大事なんですよね。
そこがなかなか伝わりにくいなというのは本当に感じます。

息子の場合は「困ってる?」と聞かれても「困ってる」と言わないというか、頑張ればできているので、先生も「本人は困っていない」となるんですよね。
でも 、字を見たら明らかにものすごく努力して書いているというのがわかるので「今よりも 楽にできる方法はないかな?」という目線で一緒に見ていけるといいなと思います。

ST・サキ
努力してるからよい、というわけではないんですよね。みんなと同じ方法で学ぶことは難しいけれども、学び方の選択肢がある環境であれば、その子の持つ困り感も減らせるし、楽に楽しく学習することができますものね。

「娘が読み書きが苦手だと知っている先生が気にかけてくれているという事実が、娘に安心感を与えるので、どんどん声をかけて欲しい」と伝えています。

OT・みねこ
子どもが安心できる環境。自信を持てる環境、大切ですよね。息子は自分の考えを書くことが難しくて自信を失うことが多かったのですが、去年のクラスはパワーポイントで発表する授業スタイルが多かったので、調べたことや考えをスライドにしてみんなに見てもらえるという経験が「自分もできるんだ」という自信につながりました。

苦手さを追求される学習方法ではなく、苦手さをカバーして取り組める学習方法を選べるようになるとよいなと思います。

ST・サキ
それと、将来に必要な学び方ができるといいなとも思っています。例えば漢字。大人になって書くことが減ったので、私はますます漢字が書けなくなりましたが、漢字が思い出せないときって、スマホとかで検索しません?

将来に役立つ学びであれば、漢字は読めること・正しい漢字が選択できること、ができればいいんですよ。ですので、3年生からは、それを念頭に入れた漢字テストを取り入れてもらえるようにお願いしています。

単元が変わったり、学年が上がったりすると困り感は変わってくるので、配慮や支援を継続してもらうための対話を重ねていく大切さも学んでいます。

OT・みねこ
配慮や支援を継続してもらうための対話。先生に「○○の方法にしてもらえたので、本人がやりやすかったと言ってます」と、支援に対してどうだったかを伝えるのは大事だと実感しています。

ST・サキ
これは支援者側に立つときの私の素直な気持ちなのですが、そういう言葉をもらうとやる気が湧くんですよね(笑)
お子さんの全体像が掴めないまま支援をしていると「これでいいのかな?」と、迷子になるときもあるんです。だから、一緒に考えてくれる保護者の存在はすごくありがたいと感じます。

学校とのやりとりで心がけていることはありますか?

一緒に取り組む姿勢を見せて、感謝の気持ちを伝えること

ST・サキ
家庭もですが、学校にも「できること・できないこと」があると思います。
運良く、校長先生ができない理由を挙げるのではなく、どうしたらできるかを考えてくれるので、家庭も一緒にトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、娘にあった支援・配慮を一緒に考えています。

OT・みねこ
とても寄り添った考え方をしてくださる校長先生ですね。
「こういう方法がいいんじゃないかな?」と 思いついたとしても、実際にやってみないと本当によいかはわからないですし、家でうまくいったからといって、学校でも同じようにうまくいくとは限らない。

うまくいかなかったときも、うまくいったときも、学校での子どもの様子を先生に聞いてみるのは大事なことだと思います。

ST・サキ
そうです。トライ・アンド・エラーでいいんです。
「どうして上手くいかなかったんだろうね?」と一緒に考えてくれるのは母としてはすごくうれしいことです。

基本的には、連絡帳や電話で娘の得意なこと・苦手なことを伝えつつ、大人がどのような配慮や支援を行えばよいかということ。それから、わかること・できることをおうかがいする形でやりとりしています。
話の内容によっては、担任や校長先生と時間を設けてもらい面談することもあるのですが、そんなに多くはないですね。

OT・みねこ
おうかがい...。わかります。家でこういう風にやっていてうまくいっているので、学校でもこの方法でお願いできませんか? というおうかがいですよね。

ST・サキ
そうですね。クラスにはいろいろな子どもたちがいるので、娘の細かいところまで、先生の目が行き届かないのは仕方ないと思っています。
そのために、できるだけ、娘と一緒に宿題に取り組む時間を確保するようにしています。働き方も変えました…。家庭でも頑張るので、先生たちと協力していきたいという姿勢を見せるようにしています。

OT・みねこ
家で一緒に宿題をして、学校で学習しやすい方法につなげていくために働き方を変えられたのですね
子どものフォローをするために、今までの働き方を変えたり、お家にいることを選んだりという選択をされている方はほかにもいらっしゃると思います。私もその一人です。
働き方、悩みますよね。また別の機会に、これもお話したいなと思います。

ST・サキ
次のテーマが決まりましたね(笑)
そうなんです。単元によっては配慮や支援が必要無くてもよい場合もあるので、できるだけ勉強をみようにしています。そのときの様子やどこに苦手さやつまづきを感じているか、家での取り組みの様子を伝えています。
医療機関を受診した際にも報告もするようにしています。

OT・みねこ
家庭の様子を学校伝えるというのは、本当に大切だと私も思っています。
「家ではこのようにやっています」「学校で○○のやり方が良かったと本人が言ってました」など 、些細なことでも積極的に伝えていくと、先生も気にかけてくれて情報をくださるんですよね。

ST・サキ
わが家でも娘から聞いた、学校で先生が個別に配慮してくれたことへの感謝を連絡帳にはこまめに書くようにしています。
ときどき、「ん?」と思う配慮もありますが、トライ・アンド・エラーですからね。そのときは「こういう方法はどうでしょうか?」と家での様子や取り組みを伝えつつ、おうかがいする対話を大切にしています。

OT・みねこ
うまくいった・いかないは置いといて、気にかけて行動してくださったことへの感謝の気持ちを伝えるのはすごく大事だと思います。

ST・サキ
感謝って、大事ですよね。娘には、配慮・支援してもらえるのは当たり前のことではなく、自分の努力も必要なことを伝えています。

例えば、漢字の宿題の目的は漢字を覚えることであって「書く」は漢字を覚えるためのひとつの手段です。
ですが、漢字をノートに書き写すが目的になってしまっているときがあります。娘はまだわかりきっていませんが、自分にとって学習が身につきやすい方法を考えることや、みんなと同じ学び方が必ずしも正しい方法ではないことを伝えるようにしています。

OT・みねこ
今取り組んでいる宿題が、どのような目的で行っているのかを娘さんにも丁寧にお伝えしているということですね。すばらしいですね。

息子は漢字ノートを1ページ 埋めるとシールがもらえるので、シール欲しさに書いていました。
ただ、漢字ドリルの文をそのまま写すのではなく、漢字ドリルに載っている漢字を使って自分で文章を考えて書くというルールにアレンジして(笑)
でもその方が、自分にとって身近なできごとを漢字を使って考えられるし、何より本人が楽しそうに取り組んでいるんですよね。すごくよい宿題だなと思いました。

ST・サキ
「楽しさ」「おもしろさ」は、勉強する上で大切な動機づけになりますよね。
娘が1年生のときに、先生が「覚えるための宿題、身につくための宿題」を出してくれました。正直、宿題の量も多かったし、娘以外の子も泣きながら宿題をやっていて、母たちみんなで励まし合いながら頑張っていました。

でも「この宿題は何のためにやってるんだろう?」という疑問はひとつも出てこなかったんですね。子どもたちが考えた算数の文章題が宿題に出るんです。娘は問題を考えるのも解くのも好きでした。
3行日記の宿題は、最初の頃は私が考えた文を書き写すだけでしたが、段々と自分で文章を言えるようになり、最後は自分で書けるようになりました。

OT・みねこ
サキさんが娘さんに合わせて段階的に取り組みやすく進められていたのもよくわかります。
学校とのやり取り、先生と一緒に子どもが学びやすい環境を整えていきたいですよね。

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