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シニアPMに聞く!3000件の新規事業立上げ経験から学ぶ、プロジェクトの始め方

気になったらすぐに相談できる。そんな心理的安全性をPMみずから作っていくんです――そう語るのは、これまで多くの新規事業を立ち上げてきた株式会社Relicの北川さん。

今回は、これまで3,000社を超える企業、そして15,000以上の事業を支援してきた株式会社Relicを招き、「PMがプロジェクトを立ち上げるときに、何を考えて、何を大切にしているのか」をテーマにLTイベントを開催。

トークでは、新記事業開発のPMに求められることや、プロジェクトを成功に導くためのコミュニケーション、仕組みなどが語られました。

「プロジェクトメンバー同士のコミュニケーションがうまくいかない」
「リリース予定日にプロダクトが完成しない」

そんな疑問に対して、エルボーズから小笠原 智さん、株式会社Relic(レリック)から成宮 吉将さんと北川 祐希さんの3人のPMが集まり、お話を聞かせてくださいました。

フルフレックス・フルリモートの開発を成立させる“仕組み化”とは

椿原:
―― まずは、小笠原さんからエルボーズがプロジェクト管理で取り組んでいることをお伺いできますか?

小笠原:
私からは、プロジェクトを立ち上げる際の“仕組み化”についてお伝えしますね。

弊社エルボーズはフルリモート・フルフレックスの組織なので、メンバーが非同期でコミュニケーションを行う――つまり、一般的な会社のような「同じ場所で、同じ時間に、同じ量のコミュニケーション」が取れません。

そんな開発環境下で、プロダクトの品質を高める施策が必須と考え、プロジェクト立ち上げの“仕組み化”に力を入れています。

特にプロジェクトのスタート時に重要視していることが、メンバー間のコミュニケーションや役割分担、情報共有のしやすさです。

Notionを使って、クライアントの相談内容などを含めた初期情報の共有やドキュメント文化の構築、情報をまとめたプラットフォームの設置など、プロジェクトのデータを集約するところから始めました。

プロジェクトの概要や議事録など情報を見やすくして、誰が・いつ・どのタイミングで入っても同じ情報を得られるテンプレートをNotionで作成。

弊社ではこれを「プロジェクトキット」と呼んでいます。

商談に出席したBizDev(ビズデブ)チームがまず、プロジェクトキットに商談の内容やクライアントの温度感などを記載します。

プロジェクトサマリや議事録など、必須の項目はどのプロジェクトでも共通して使いますが、その他の項目については各プロジェクトメンバーに委ね、案件ごとに柔軟に対応できるようにしています。

弊社のPMやエンジニアからは「ドキュメントを置く場所が指定されていると情報整理で考えることが減る」「他のプロジェクトでも同じフォーマットなので見やすい」と、プロジェクトキットは好評です。

メンバーの声をもとにプロジェクトキットを改良

キャプション:メンバーの声をもとにプロジェクトキットを作成

共通フォーマットがあるだけでも開発環境の改善になり、社内でもプロジェクトの立ち上げ 段階で一定の評価を得られています。

エルボーズがこれだけ仕組み化を進めているのには、理由があります。それがエルボーズで大切にしている「As One Team」というポリシーに直結しています。

クライアントの事業とともに伴走するチームとして、効率化できるところを仕組み化し、人ができること――「ユーザーにとっての価値」をつくることに注力したい。そんな理由から仕組み化に力を入れています。

椿原:
―― ありがとうございました! 少しずつアップデートして、プロジェクトキットを社外にも出していきたいですね。

小笠原 智 氏/株式会社エルボーズ プロジェクトマネージャー デザイナーからディレクター、そしてPMへ。近年は自身の経験からチームビルディングや心理的安全性に強い関心を持つように。「誰かの暮らしや営みが豊かになるようなモノを作り続けたい」がモットー。並行して絵本画家としてキャリアを積むため奮闘中。

新規事業開発における“スケジュール管理”の重要性

椿原:
―― 次は、新規事業開発に取り組んでいる株式会社Relicの成宮さんから、プロジェクトのお話を伺えますでしょうか?

成宮:
私はいま、プロダクトディスカバリー事業部に所属しており、プロダクト開発を通して「どうしたら新規事業の成功率が上がるのか」を考えて仕事をしています。

そのため、今回は「新記事業開発のPMに求められること」というテーマでお話させていただきますね。

PMの最終ゴールは「プロダクトを伸ばすこと」だと考えています。だから、大前提としてプロダクトオーナーの要望をプロダクトで形にする、そしてリリース予定日に完成させることが大切です。

しかし、リリース予定日にプロダクトができていないという経験をされた方も多いのではないでしょうか。

その原因はスケジュール管理ができていないことにあります。スケジュール管理をするうえで必要なのが、スケジュールを「作る」「常にチェックする」「共有する」の3つです。

それぞれのポイントについて、もう少し細かくお話しますね。

1.スケジュールはなるべく細分化する

まず、新規事業開発では仮説でいいので、すぐにスケジュールを作ったほうが良いです。

たとえば、要件定義が遅れたとき、細かくスケジュールを作っていないと間に合うのか・間に合わないのか、どんなリスクが想定されるのか、わかりませんよね。

要件定義・実装・テストなど大まかなスケジュールしか決まっていない場合は、商品一覧の実装やコメント表示にどのくらいかかるかなど、細かい単位でスケジュールを作ってみてください。

スケジュールを細分化することで、予定よりスケジュールが遅れてしまった場合でも「コメント編集機能を作成しなければ間に合うかも」のような具体的な施策・検討が行なえます。

2.スケジュールは「週1」で見直す

スケジュールは常に変わるので、少なくとも週に1回は見直したほうがいいです。

特に「仮で決めたスケジュールと比べて開発スピードに問題がないか」「POの要求と見積もりに差がないか」を重視しておきましょう。

当初の予定よりクライアントからの要望が多いときはスケジュールを組み直してみたり、開発スピードが遅いときは体制を強化したりと、早めに調整・検討ができます。

リリース直前に問題対応が難しくなりますが、数ヶ月前から共有できたら理解してもらえることも。定期的なスケジュールチェックでリスクを回避するのが重要です。

3.PMは“ペースメーカー”的な役割

スケジュールの共有は特に大切です。

PMだけではなくプロジェクトに関わっている全員が、開発スケジュールを間に合わせたい。でも、具体的なスケジュールが共有されていないと、どれくらいのペースで進めたらいいかわからない。それが開発現場の現実です。

そのため、PMが“ペースメーカー”の役割を担ってあげるのが大切だと思っています。マラソンのようにペース配分をすることですね。

また開発メンバーやプロダクトオーナーなど、プロジェクトの関係者にスケジュールを共有するのもおすすめです。

スケジュールが遅れていると知れば開発メンバーからアドバイスをもらえたり、プロダクトオーナーからリリース日に影響が出るような要望が減ったりします。

PMが1人で抱え込むのではなく、開発の関係者とスケジュールを共有する

この3つが満たせればプロダクトオーナーの要望を形にして、その先の“プロダクトを伸ばす”というより大事な部分に挑戦できるかなと思っています。

椿原:
―― なるほど。ありがとうございます!

成宮 吉将 氏/株式会社Relic スプリントディスカバリーグループ マネージャー
東京理科大学電気工学研究科卒業後、NECに入社。2019年よりRelicに参画し「Throttle」の要件定義やフロントエンド開発をリードして国内シェアNo.1に成長させつつ、多数の新規プロダクト開発のスクラムマスターとしてクライアントやパートナーを含めたプロジェクトマネジメントや開発を牽引。
2021年より、プロダクト開発のマネジメントにより事業家/起業家の体験の向上や、事業成功の確度向上を担うグループを新設し、現職。

プロジェクト開始時に実践するべき3つのコミュニケーション

椿原:
―― 最後に、株式会社Relicの北川さんが意識しているプロジェクトの進め方についてお話を伺います。

北川:
私からは「開発チームのコミュニケーションがうまくいくプロジェクトの始め方」についてお話させていただきます。

チームを方向づけるためには、「プロジェクトの始め」が肝心です。そのため、コミュニケーション方法などを開発初期に確立させることが重要だと考えています。

私はPMなので組織では上の立場に思われていますが、偉ぶらない・傾聴する・知らないことは素直に聞く、ということを常に意識していて。

自分から「心理的安全性が確保できるチーム」だということを、体現するようにしていますね。

また大人数が関わるプロジェクトでは、以下の3つを意識して行なっています。

  • デイリーの実践

  • 相談する文化の構築

  • 常に伝え続ける

「デイリー」でチーム意識を持たせる

まず、毎日15分ほどの短い会議を行なう「デイリー(スクラム)」は必ず実施します。

デイリーの目的は進捗報告ではなく、「誰かと一緒に作っている」ということを認識してもらうこと。だから詳細を話すのではなく、さらっと行ないます。

Slackの「ハドルミーティング」を活用

「気になったことは相談する文化」も構築しています。

プロジェクトを進める段階で、課題や疑問が生まれたら相談する。その際、Slackのハドルミーティングを活用しています。

ミーティングってURLを発行したり、メンバーの予定を確認したりと工程が多くて面倒くさいですよね。

ハドルミーティングなら「いま、ハドルいいですか?」と聞くだけで済むので、スピード感のあるコミュニケーションが可能になります

また、チーム内でハドルミーティングの利用が当たり前になると、招待したほうがいい人を途中からミーティングに入れたり、自分が関係している話題のときにいきなり参加したりと、ミーティングのハードルが下がるのもメリットですね。

“伝え続ける”ことで、PMがチームの文化をつくる

そして「気になったことは相談する」ことを、常に伝え続けることが大切だと考えています。

PMが言い続けることで、メンバーは「自分も相談していいんだ」と思えるようになって、結果的にチーム内のコミュニケーション量が大きく増えました。会話が増えると、メンバー間のプロダクト知識の格差も解消されたり、開発において同じ方向を向けたりとメリットが多い。

チーム発足時にコミュニケーションの方向性を決めることで、会話のハードルが下がり、メンバーに自立性が生まれるのです。

椿原:
―― 弊社エルボーズでもDiscordやSlack、Google meetなどミーティングを行なうツールをいろいろ使用しているのですが、Relicさんのようにシームレスに始められるのはとてもいいですね。ありがとうございました!

北川 祐希 氏/株式会社Relic プロジェクトマネージャー スクラムマスター
15年間ゲーム会社でゲームを制作。キャリアとしてはゲームプログラマーからスタートしてリードプログラマのあとはプランナーにジョブチェンジ。その後はディレクターとしていくつか世に出したあと、もっと新しいことをしたいと思い新規事業を扱うRelicに入社。得意な分野はPdM/PjM、アジャイル、スクラムなど。

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多くの副業PMがジョインしているエルボーズ、3,000件以上の新規事業開発プロジェクトに携わってきた株式会社Relic。

心理的安全性が確保されたチーム作りや、予定通りにスケジュールを進めるためには細かい気配りやコミュニケーションが欠かせません。

3人のシニアPMのお話から、PMはチームを上から俯瞰して見るのではなく、下から一緒に土台を作りあげる役割を担っていることがわかりました。


次回は、現場ドリブンなプロジェクトを行なうカミナシさんとの共催イベント。

ユーザーヒアリングや観察の始め方、プロダクト開発への活かし方など、現場ドリブンなプロジェクトを進めたい方必見です▼

株式会社Relic
創業から7年間の活動を通じて、3,000社・15,000件以上の新規事業開発に携わってきた実績も含め、新規事業やイノベーションの共創や⽀援の分野において唯⼀無⼆の価値と意義、そして業界トップクラスの規模や成⻑を実現してきたリーディングカンパニーです。
コーポレートサイト:https://relic.co.jp

エルボーズは、積極的に副業PMの採用を行なっていますが、まだまだ試行錯誤段階です。

そんな新しい「副業PM」という働き方に興味を持ってくださる方は、ぜひカジュアル面談でお話をしましょう。

▼エルボーズの副業PMの募集はこちら

 


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