5月の読書記録とか
5月は本を買いすぎている。10万円の給付金が手に入らないうちから、それを皮算用にして先行投資?をしている。もちろん本屋を助けたいという気持ちもある。だから渦高く積読されている本も多いが、記録を残しておく。
うたうおばけ
表紙の絵が、青葉市子さんみたいだ。うたうおばけは、詩人のれいんさんのエッセイ。特別な日々を送っているわけではない、その毎日を歌うように軽やかに描き上げる言葉の柔らかさがいいなぁと思う。
マーキュリー・シティ
読んでいるだけで、かっこいいなあ、と思えるお洒落ライフスタイル感を醸し出す素敵な文章だ。こうした先人の功績が、いまもサブカルチャー・チルアウトカルチャーに受け継がれているのだろうか。
ことばと vol.1
いま、文藝誌は意外とたくさん生まれている。細々と文学は生き残って、大きな雑誌は潰れていっても小さなプレスがたくさん生まれている。「ことばと」も豊かな言葉を持った書き手が集まった、素敵な冊子になっている。
dondon fuwafuwa guruguru
タイムトラベル専門店utoutoの出しているリトルプレス。好きなことをしている感じが直球で伝わってくる楽しい感じがいいなぁ、と思う。本をこんなふうに皆に楽しんでほしい、と思う。
秋田デ、
秋田で、藤本智士さんが『のんびり』というフリーペーパーというには贅沢すぎる冊子を何年もかけて発行していた。あるいは、ハイコーフェスというこれまた、コアないい音楽を集めたフェスが何年も続いていた。そうしたカルチャーの影響は秋田のデザイン界にも大きく、優れたデザインが秋田でたくさん生まれている。その一端が見える一冊。
てくてく青空登山
安西水丸先生の登山日記。編集は若菜晃子さん。登山本の独特の雰囲気が好きだ。黙々と歩くことが多いからだろうか、登山をしている人のそこで考えたことや見たことは、日々の喧騒のなかでのそれらよりずっと研ぎ澄まされているように思う。だから、登山はしたことないけど、登山の本は読む。
バスラーの白い空から
「セバスチャン」という犬との生活、少し古めかしい文体での海外生活の記述が素敵なエッセイ。セバスチャンがそこに生きているかのような、リアルさで脳裏に焼き付いてしまう。今後、大きな犬を見たら「セバスチャン」と呼びたくなる。
つくるたべるよむ
食べ物と料理にまつわる本について語る本だ。食べ物の本、とレシピ本はまたちょっと違う。レシピ本も古いものを読むとまた味わいがある。土井善晴さんのお父さんの本、読みたくなった。
うもれる日々
本を読む日々。仕事はほどほどに、そして本を読む。それって幸せなことだよね、という共感ができれば本好きのあいだではそれで十分なのだ。そんなリトルプレスを出してくれたことに感謝。
風景のある図鑑
apartmentという不思議なウェブサイトがある。そこでイラストやエッセイを書いている古河さんの本。ずいぶん前から出ている本だけど、改めて続巻含めて購入し、不思議な風景の世界に入り込んでいる。楽しい。
街灯りとしての本屋
「双子のライオン堂」という小さな本屋の店主が監修、いろんな地域で、灯りをつけている本屋さんを紹介し、まとめている。本屋さんは大変な仕事で、なかなか続かないことも多い。けっして儲かる仕事でもない。それでも、やりたいという気持ちを持って起ち上げた本屋さんたちを、こうして形にして残してくれることは、とても嬉しい。
めんどくさい本屋
その「双子のライオン堂」の店主が書いた単著がこちら。アルバイトをしながら本屋をする、家族の力を借りて本屋をする、そんな「めんどくさい」ことをしつつも本屋を続けていく信念は本当にすごい。読書会を続け、さらに「しししし」という文芸誌も起ち上げて、確実に本の世界の新しい道を拓いている。ゆるい表紙の裏にすごい熱量が隠されている。
旅に倦むことなし
詩の本をときどき買う。音に乗せて流れる歌を、文字で読む行為は少し不思議だ。全然印象が違ってみえ、言葉の強さが際立つ。だからこそ、少し過激なことも音に乗せてしまうと自然と聞き取れるのかもしれない。それをじっくりと読むのもたまには良い。
パサージュ論1~5巻
大学のころに、ずっと鞄の中に入れていて、手放してしまったことをずっと後悔していた本。まさか絶版になるとは思っていなかった。改めてまとめて、メルカリで購入。その当時のパリのこと、詩や本の一節、メモ書きを断片的に集めた点描画のような論考。ときどきパラパラと眺めて、どことなく憂鬱な空気の漂うその世界をのぞき込む。
ランスへの帰郷
同じくフランスのリアルな労働者階級について語られている一冊。パリ以外のフランス、その情緒的な風景は語られることはあれど、そこで暮らす人々や都市と地方といった固有の問題については、知らないことばかりだ。じっくりと腰を据えて読む。
舌を抜かれる女たち
私は男性だから、少なくとも知識を持って、こうしたことを知っておかないといけない。体験の共有はできないからこそ、それらをリアルに描いてくれる、教えてくれる本に多く触れておきたい。
直しながら住む家
家の本。中古住宅をうまく自分たちに馴染ませていく過程の楽しさが描かれている。家は人生で、買うもののなかで一番高いおもちゃだと思う。だから、直したり、作ったりするのが楽しい。すごくわかる、私も直しながら住んでいきたい。
CONTE Magazine
沖縄のレストラン、CONTEのマガジン。もともと編集の仕事をしていたという店主、沖縄という場所と物語が融合して、とても素晴らしい雑誌になっている。いつか行ってみたい場所。
四月と十月
毎年4月と10月に出る、というミニ文芸誌。いまも続くリトルプレスのなかでも、歴史の古いものに入ると思う。画と文のバランスの良さ、ちょうどいい感じの力が抜けた作りが素敵。
まだ温かい鍋を抱いておやすみ
優しいスープを飲みたくなる読後感。彩瀬さんの書いたもののなかでも食べ物にまつわるお話を集めた一冊。じわじわと、なにか食べたくなる夜中に読んではいけない本。
不肖の娘でも
食に関する精緻なインタビューと筆致がいつも素敵な井川直子さんが、娘として認知症の母と向き合い書き記したエッセイ。「忘れる」ことの怖さと悲しさと、それでも記憶を辿ってなにかを残そうとしていることのひたむきさと。私的なことだからこそ響く強い気持ちが込められた一冊。
ジョン
大手の文藝誌はほとんど読まないので、こちらの単行本でおそらく初めて著者のことを知った。渋い小説だ。生活の地べたの感触と、不安の影と、社会への小さな抵抗とが、静かに流れている。
手のひら 1
ましかくの、手のひらよりは一回り大きい(と思うんだけど)ちょっと実験的なにおいのする本。「マンションポエム東京論」や「わたしが『「僕ら」の「女の子写真」からわたしたちのガーリーフォトへ」を書いたのは」あたりが読みたくて。いまの時代を捉えるのに、さまざまな面白い視点を与えてくれる一冊。
ほかにも、購入した本はあるけれど、とりあえず。
ほとんどの本は下記の記事にある本屋さんで購入した。どの本屋さんも、必ず手書きのメッセージを添えてくれたのが印象的だった。「こんなときだからこそ、本が助けになれば幸いです」と。本当にそう思う。
本が助けになりますように。