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熱帯のボルネオ島で過ごすクリスマス
マレーシアには、首都クアラルンプールのあるマレー半島の一方で、ボルネオ島部にはサバとサラワクと呼ばれる2つの州がある。サバ州はキリスト教徒の人口が多く、マレーシアの中でもサバ州のみクリスマスイブは祝日となっている(25日は全土が祝日)。
ボルネオ島に留学していた頃、毎年のクリスマスは、お世話になっている先住民ドゥスン人の家族と過ごしていた。彼らはボルネオ島の山奥にある村の出身であるが、お母さんは村で暮らし、息子たちの中には村で暮らす者もいれば、町で働いている者もいた。そのため、クリスマスの2日間は祝日だが26日からはまた仕事なので、村に帰らず町で過ごす者もいて、みんなそれぞれにクリスマスの日を過ごしていた。私自身は、留学中、クリスマスの日は町にいることが多く、町にいる息子チームやその親戚と過ごしていた。
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ドゥスン人の家族は、キリスト教徒である。そのため、クリスマスは一年の中でも大切な日だった。12月24日のクリスマスイブの夜は、教会でミサが行われるので、私は家族に付いて必ずそれに参加していた。この日の教会は毎年混雑して、駐車場や座席がなくなるので、ミサの始まる1時間半前から教会で待機する。教会はいつもと違ってクリスマスの装飾が施され、参拝者はおしゃれを楽しんでいた。そして、ミサが終わり、神父さんが退場する際には、みんなでクリスマスの聖歌を合唱。
Joy To The World(もろびとこぞりて)
Angels We Have Heard On High(荒野の果てに)
The First Noel(まきびとひつじを)
O Come, All Ye Faithful(神の御子は今宵しも)
私は毎年、ミサに出席したみんなでクリスマスソングを大合唱するこの時間が楽しくて好きだった。
12月24日のクリスマスイブは、ミサが終わると帰宅し、その日の夜は静かに過ごした。そして25日、翌朝にもミサが行われるので、クリスマスは2日間ミサに参加するというのが毎年の恒例であった。
12月25日のミサが終わると・・・ここからがパーティーのはじまり!家族や親戚と集まりお祝いする。そのため、クリスマスの日が近づいて来ると、「今年のクリスマスはどこで過ごすか」「何をするか」「誰の家で集まるか」などをあらかじめ話し合っていた。
さてパーティーで何をやるのかというと・・・たいていはバーベキューとカラオケだ。家族や親戚がそれぞれ役割を持って準備をする。チキンウィングを買ってくる担当、お魚を買ってくる人、お酒を持ってくる人、ミサが終わるとそれぞれ持ち寄り昼間からパーティの準備を始める。
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この年は、私はBBQ用のチキンウィングを持っていった。他の年は、炭やお酒を持って行ったりした。家族の中には溶接ができる息子がいるので、彼が製作したバーベキュー用の台も持参。土台は一輪車で代用。
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ドゥスン人のキリスト教徒の人々は飲酒を嗜む方が多いので、村ではタピオカや米でできた伝統酒を楽しみ、町ではビールと氷を買って、たらいで冷やしている光景をよく見ていた。
ボルネオ島生活。私の周りのキリスト教徒の人々は、24日の夜は教会のミサに参加し、その夜は静かに過ごす。そして、25日の朝のミサが終わると家族や親戚で集まり、バーベキューやお酒、カラオケを楽しむ。そんなクリスマスを過ごしていた。