1 はじめに
弁護士Kです。
予告通り、
司法試験論文式試験対策における
「問題提起の仕方」について
全ての科目に共通する部分を説明していきます。
2 「問題提起」の仕方
(1)司法試験で過去に出された問題の問題文を見てみよう。
これが実際に司法試験論文式試験で出される2時間以内に8枚の解答用紙を用いて解答しなければいけない問題文です。
皆さんであれば、この問題で出されている3つの問いについてどのような形で解答するか考えてみましょう。
(2)「問題提起」とはなにか
「問題提起」とは、問題文で問われていることが
①問題文中の事実のうちのどの部分と関係し、
②その部分がどの条文や判例等と関係しているのか
を明示する作業を指すと私は考えます。
「問題提起」の作業は「問われている内容」に対してきちんと理解していることを採点者に示すことにもなります。
司法試験論文式試験の答案は最終的には採点者がいて、その採点者が手動で何百枚の答案を見て、点数をつけています。
問題提起の部分できちんと問題の所在を示せていれば、採点者も安心して、採点を続けることができます。逆に言えば、例えば、なんの前触れもなく事前に覚えてきた論証をそのまま答案用紙に記載する等、問われている内容との関係で自らが論じている内容がどのような関係があるのかについてうまく答案上反映されていない状況ですと、採点者も安心して採点することができません。
そのような意味でも、的確な問題提起ができれば、その分採点者を安心させることができ、合格答案として採点してもらえる可能性が高まります。
本投稿においては各設問の書き出しをどう書きだせばいいのかについて考得ていきたいと思います。(別の投稿において、論述中に現れる「問題提起」についてご説明します。)
それでは、先ほどの長文の問題文の問いかけについて、どのように各設問を書きだしていけばいいのかについて一つづつ見ていきましょう。
(3)各設問における「問題提起の仕方」
「〇の×に対する罪責について論じなさい」という形の問いは刑法の問題の中ではよく出ます。
本問では、「甲のAに対する罪責」が問われているので、問題文中の「甲がAに対して行った行為」を抽出して、それらの行為のうち、刑法上罪として問われうる行為を再抽出し、その再抽出した行為が刑法上何罪になるのかを問題提起の段階で示すことになります。
例としては、
甲のAに対する○○○○の行為につき◆◆罪(刑法●条)が成立する。以下理由を述べる。
という形で問題提起をすることになります。その後「○○○○の行為」が如何に「◆◆」罪に該当するのかについて論じていくことになります。
では、以上の説明を踏まえて、本問において「○○○○」「◆◆」「●」の部分に何を埋めればいいのか、実際にご自身で考えて書いてみましょう。
設問1と比べて問いが長くなっていますが、本質的な部分は設問1と同じです。端的に言えば何が問われているでしょうか。