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「恋シタイヨウ系」読書感想。
雪舟えまさんの「恋シタイヨウ系」という本の感想です。
九章からなる小説で、各章ごとに舞台となる星がちがうのですが、わたし達のいる太陽系とは少し違う「タイヨウ系」の話。目次はこんな感じ。
月 ナチュラルシティー
水星 あたらしい先生
金星 流星と見まごう船で
火星・太陽 僕らは愛の気流のなか
木星 おやすみ猫たち
土星 友好銀河にあこがれて
天王星 あなたが見えます
海王星 生まれ変わる僕ら
冥王星 王妃の愛
新しい星へ行くたびに、やさしい色で満たされるような気持ちにさせてくれる。読みながら、その星の雰囲気を想像するのがとても楽しくなる。
そして、やっぱりこの人の文章は落ち着きが良い。文章の着地するときの音のようなものが、わたしの好みなのだ。
表現するのが難しいけどアニメのドラゴンボールで悟空が飛んできたとき、ゆっくりホバリングしてから、着地のときはちゃんとパタッと足音がしているのが気持ちいいような、そんな感じ。(絶対、伝わらないな)
そんな訳の分からないことを言ったついでに、わたしが雪舟えまさんの小説を読む際の楽しみ方をひとつ。
小説だと気負って読まないことにしている。
さらさらと流れる水の中に手を入れて少しだけすくい上げ、水の温度と抵抗を両手で愉しむように、読んでもらいたい。なんとなく気に入った文字の集まりを感じ取れるまで流して、気になるところをみつけたら掬ってよく見てほしい。その時の気分で、何度でも楽しめる本を書く作家さんだと思う。
ということで、今回わたしが気に入ったところを紹介します。
「なんだか安心する」
と、俺は目尻の涙が枕に吸われるのを感じながらいう。
「ならうれしい。眠いなら寝て」
この安心感が伝わってくるふたりのやり取りが、素敵だなと思いました。
装丁もとても素敵なイラストと色合いで、いいですね。
もし気に入ったら是非、読んでみてください。
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