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退屈を脱ぎ捨てます。

午前六時。
自分の体温で暖まった布団の中で、休暇をウダウダ始める。
昨日の夜からボンヤリと考えたToDoリストは、我ながら地味だなと思う内容だった。
掃除や洗濯は当然として、そのあとに「食べたいものを食べる」と銘打った項目に並ぶのは、「朝マック グラコロ」「カップ焼きそば」「どん兵衛」。これでも足したり引いたりした結果なのだ。でも、スマホのメモに保存して意気込んで買いに行くようなものでは無いよなと思う。反面、ウキウキ感も確実にある。

食べ歩きが趣味で、グルメ情報を調べる所から食欲の発散が始まっていた三十代が懐かしい。
いま見ている安上がりなご褒美リストには、「遠慮」がトッピングされている。

ふと、真昼の月を見てみたくなった。
まだ開けていないカーテンの先に、太陽があるのだろうか。
「天気予報と冬だという常識を頼りに生活するのは知恵とはいわない」と、よくわからない反骨心が湧き上がる。
布団から出ない開拓者も、心は若く、喉が渇いたなら当然、水を探しに駆け出していくのだ。
囚われてはいけない。
常識などという不鮮明な道標より、内なる導きに耳を傾けろ。
欲望に自ら括り付けた重りを外すときが来た。さあ、声を上げろ。
毛布の裾からハミ出した足がヒンヤリする気持ちよさが好きなら、何度も繰り返せ。覚えたてのサルのように、何度も何度も繰り返せ。今日から休暇の始まりだ。
遠慮が多少あったっていい。それでも、繰り返せ。やりたいことは逃げていくぞ。音も無く去っていくんだから。
哀しい季節にはワガママを着せて、無理矢理、手を引いて連れ出そう。それでも動き出せないときは、ネコやイヌを思い出そう。彼ら彼女らが、どうして毛むくじゃらなのかを。

ワガママを着ているからだ。
いつでもお出かけできるように。
足元の石ころを避けるより玩具にしていた頃、僕らもイヌでネコだった。
今日はどうだろう。


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雨音ムッツ
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