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琴線とか逆鱗とかに触れる
こんにちは、須恵村です。
行動範囲は自宅から半径2キロ。書き起こしの内職をしつつ、趣味で小説を書いています。
ここ「note」では、仕事をしていく中で気付いたこと、考えたことを主に書いていますが、仕事柄、言語に関係する内容も多くなっています。
今回は、タイトルから何となく察した方もおいでではないかと思いますが、ざっくり言うと、言葉の誤用についてです。
まず、「琴線」と「逆鱗」、それぞれの根本的な意味は……
きん‐せん【琴線】
1 琴の糸。
2 心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸にたとえていった語。「心の—に触れる言葉」
げき‐りん【▽逆×鱗】
《竜のあごの下にある逆さに生えたうろこに人が触れると、竜が怒ってその人を殺すという「韓非子」説難の故事から》天子の怒り。転じて、目上の人の怒り。
「何を今さら」と思われるかもしれませんが、実は「琴線」の補説として、次のような記述もありました。
詳しくはリンク先を読んでいただくとして、要するに、意味を誤って覚えている(使っている)方が3割いるとのこと。新しいほうのデータは10年前のものですから、今調査したら多少の変動もあるかもしれません。
ついでに言うと、「わざわざ聞くくらいだから、意外な答えなのかも」と、逆張り的に自分の考えの反対を回答する人もいらっしゃるでしょう。「破天荒」みたいな言葉も、その影響?で本来の意味を知ったという方が増えている印象(あくまで体感ですが)ですが、実際は積極的に使う人ほど誤用している気がします(これも体感か……)。
そこで「琴線」と「逆鱗」ですが。
多分、「相手の怒りを買ってしまう」という意味で「琴線に触れる」を使っている人は、「逆鱗に触れる」と勘違いしているんだろうなと察せられる一方で、怒らせた相手が自分よりも年下だったり、立場が下(部下など)だったりした場合、仮に「逆鱗に触れる」と言ったとしても誤用になります。
「カンドーした」「キュンとした」「なんかイイ!」や、「怒らせた・キレさせた」で言い得るところを、「すんごく難しいわけじゃないけど、なんかよさげな漢語を伴う表現があるなら使ってみたい(そうしたほうが頭よさそうだし)」的な気持ちで使うこと自体に、ああだこうだケチをつけるつもりはありません。
というか、自分自身にもそういう気持ちは当然あるし、何なら「そういうつもり」で言葉を選んでいる気持ちのほうが多分大きいので、言えた立場ではないのでした。
言葉は道具であり素材でもあるので、サビつかせたり、持て余したりするのはもったいないもの。使えるものは積極的に使ったほうがいいと思います。
ただ、「用法用量を守って」というオクスリ的な気持ちで扱う気持ちも忘れたくないものです。
例えば「あれ、自分はこの言葉をどこで覚えたんだっけ?何で知ってるんだっけ?」みたいな疑問や違和感を覚えたときはチャンスです。まずはWebでも電子辞書でもいいので、意味を調べてみましょう。調べることによって誤認に気付いたとしても、必ず新しい別の出会いがあるはずです。