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【詩】駅
きりきりと寒い朝の日、電車を待っている女子高校生がいた。
音楽を聴いている若者がいた。
電車の時間に間に合って嬉しそうなおじちゃんがいた。
手作りの毛糸のマフラーを巻いたおばあちゃんがいた。
ムスッとしているお兄さんがいた。
ぬいぐるみを抱えた子どもがいた。
これからお父さんになる男の人がいた。
どこか寂しそうな女の人がいた。
上品なコートを纏った会社員がいた。
荷物一つ持っていない老人がいた。
みな、一人だった。
僕はベンチに座って、自分もそのうちの一人であることを、喜ぶでもなく、悲しむでもなく、ただ噛みしめて、温かいお茶をすすり、白い息を吐いた。