凛と咲く _ 詩

君は咲かない方がいい
煌めく露の朝なんて迎えなくていい
花びらが疼いても我慢してほしい
未完成な君を一人占めしたいわけじゃない
咲いてしまえばきっと怖くなる
咲いてしまえば二度と戻れない
散る時がきっと怖くなる
怖くなる前には二度と戻れない
咲かなければ散らない
君は咲かない方がいい

僕は咲いてしまったんだ
花びらの上に蜜蜂が休むあの感触を
全面に陽があたる心地良いあの温暖を
誰かの指で一枚だけ千切られるあの痛みを
春の風に自分の香りを乗せるあの悦びを
そして鼻を近づけ確かめようとするあの一瞬を
大雨の中雄蕊も雌蕊も隠さずにいるあの純粋を
僕は知ってしまったんだ
知らないふりはもうできない
だからいつか、散らなくてはならない
咲かなければ散らない
でも僕は咲いてしまったんだ
そう、こんなにも強く、
咲いてしまったんだ

了