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きっかけは涙 _ 詩

膝を抱えて見上げていた
何年も何年もここで
星なんて見えない
夜明けなんて見えない
永遠の闇
だから
目もずっと閉じていた

泣いて
泣きやんで
また泣いて

ある日泣きやめず
睫毛が目に入った
痛みで目を開けたとき
空を二羽の鳥が駆け抜けた

思わず立ち上がると
森の向こうに星が一つ見えた
僕はしばらく動けなかった
次第にその星の下に
黒い闇の裾に赤い幕がせりあがって
それが夜明けだと気付いたら
右足が一歩動いていた

それは、魔法が解けた日か
それは、魔法をかけた日か

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