見出し画像

なぜ数学が得意な人は英語学習が速いのか?鍵は「筋道思考」かも。

英語力を上げるには英語の勉強だけをすればいい、というのは一見すれば正論に聞こえますが、英語は思考に作用するということを考えれば、思考力を高めてくれる数学という科目の存在は無視できないはず。


今日は英語力と数学力の関係性について考察していこうと思います。
要点を3つに抑えて書くと、

数学ができる人は式変換で、「どこ」が、もともと「なに」だったかを分かってやっている。

英語は、「どの」指示語が「なに」だったか分からないとスラスラ読めない、書けない、聞けない、話せない。

筋道を立てるとは、「どこ」が「なに」だったか分かりながら物事を進めていく能力で、数学で身につく。ゆえに数学ができる人は英語と相性がよく、習得が速くなるのではないか。


英語と数学の関連性について書こうと思ったキッカケは何も今日一日で生じたものではなく、長年英語を教えていて、数学ができる人はなぜか英語の習得が速いことに疑問を感じ、徐々になにか法則性があるのではないかと疑い始めたことにあります。

画像1


もし本稿を読んでいる方が英語の勉強に行き詰まっているのであれば、数学・算数を見直してみるのもいいかもしれません。


単に良い息抜きになるだけではなく、「時としてヒントは常識の外側にある」という言葉のどおり、英語学習の前進に役立つ何かが見つかるかもしれませんよ!


・英語と数学の共通点「筋道を立てる」

身の回りで数学ができる人の話し方を思い浮かべてみてください。普段から筋道だった話し方をしている印象はありませんか?そして、身の回りのバイリンガルの人で、英語になるとAだからB、BだからC、という話し方が目立つ人はいませんか?


数学が得意な人、英語学習が他の人より捗る人は「筋道を立てて考えることができる」人であると思います。


詳しくはすぐ下で説明しますが、英語の文を作るとき「筋道を立てて考える」ことが要求されます。それは英語がそういう言語構造をしているからです。そして数学でも筋道を立てて考えることが要求されます。それはイコールの連続で式を紡がなければならないからです。


それゆえ、数学ができる人は英語と相性が良いから、英語の習得が速いという仮説が立つわけです。

画像2


  ・英語は代名詞で筋道を作る言語

I read a book yesterday. (昨日本を読んだ)
 It was about math. (数学についてだった)
My friend had a read of that too. (友達も読んだって)

上の英語と日本語を比べてみましょう。

英語は「1文目のa book→2文目のit →3文目のthat」と、a bookが毎回変形して登場していることに気がつくはずです。a bookの延長線上にitがあり、itの延長線上にthatがあります。


つまり「このitはa bookのことだな」とか、「このthatも 最初のa book」のことだな、と繋がりを意識して、複数の文章に渡り名詞を変形していかないといけないのが英語です。

画像3

対して日本語訳では、その都度「その本は」とは書いてありませんし、無理やり「その本を」「それは」と加えることもできなくはないですが、日本語としてはなんだかぎこちないです。何の話だったかを心の中に留めるだけにして、文の中に形として出さないのが日本語です。

このように、日本語は1度登場した名詞を代名詞を使って連鎖的に変形しなくても話をすることができてしまいます。英語では代名詞などを駆使して、前に出た名詞の言い換え連鎖をしなければ話ができません。(基本的に)


このような「連鎖的な当量変形」をする力を筋道思考と呼ぶことにしましょう。

画像4


そして、


筋道思考は数学で身につく能力なので、
数学ができる人は英語の習得が速いのではないか


と考えるに至ったわけです。



  ・イコールで変換し続ける数学

1/10+1/20
=2/20 + 1/20
=0.1 + 0.05
=0.15

上の計算の2行目(2/20 + 1/20 )は単に答えを出すに限っては意味のない計算過程ですが、あえてここでは書きました。数学と英語に共通する筋道思考の説明のために。


計算をするとき、改行の意味合いでただなんとなく記号「=」を下に伸ばしているだけの方も多いかと思いますが、上の例を見ると記号「=」が出るたびに数字の言い換えをしていたことに気が付きます。



1/10は、2/20に変形され、
2/20は0.1に変形されています。


画像5


英語の例で a bookと itとthatがその意味を変えず変形されていたのと、
数学の例で1/10と2/20と0.1がその量を変えず変形されていたのは、
表現方法は違えど当量変換という点で本質的に同じであると言えます。


それが指すものを変えることなしに、順を追って、形を変えて表現していく。


これが数学にも、英語にも共通する
「当量変換力」こと、
「筋道を立てて考える力」ではないでしょうか?


・筋道思考は「どこ」が「なに」に等量変換されたか?が分かっているかが鍵

1/10 + 1/20なんていう簡単な計算を引き合いに出して数学ができる人は英語の学習が捗りやすい、と主張するのは言いすぎだと思われるかもしれませんが、1/10+1/20という問題が簡単すぎるかどうかに論点があるのではないと私は思います。


肝心なのは、
どんな簡単な算数の問題であれ、


変形をするとき「どこ」が「なに」に
・なったのか
・なっているのか
・なっていくのか
 を常に思いながら変形をしているか


にあるのだと私は考えます。

私の出会った人の中では、数学ができる人は10行、20行と計算過程が長くなっても「どこ」がもともと「なに」だったかを分かって式操作をしている傾向にあります。


英語は日本語以上に「指示語」が厳格な言語であるゆえ、
指示語が指してる言葉が迷子にならないことが肝心です。


画像6



どんな人が英語に向いているか向いていないかというのは一概には決して語れませんが、英語と相性が良いかどうかの1つの指標になるのは指示語迷子になりやすいかどうかであると思います。


一度登場した名詞を次に「どこ」で指示語化し、その指示語が「なに」であったかという筋道を頭の片隅で意識し続ける能力、努力が英会話では必要になるからです。

画像7

画像8



計算過程が長くなっても「どこ」と「なに」を追い続けなければならない数学は、そんな筋道思考を鍛える最適な科目だと思いませんか?


いやいや、結局それって記憶力でしょ?


と思うかもしれませんが、実際のところそう呼べます。

ただ、元の単語が「なに」に変形されて「どこ」にあるかというのは記憶力は記憶力でも、単に多くのランダムな数字を覚えるような記憶容量の大きさだけが問題になる記憶力ではなく、順序が体系づけられたたぐいの記憶力であると思うのです。

物事の展開の順序、つまり筋道を記憶できているかどうか、それゆえに筋道思考なのです。

筋道を記憶できるかどうかに先立つのは、
筋道を意識できるかどうかであると私は考えます。
主要5科目の中で数学ほど筋道を意識しなければならない科目はありません。数学に力を入れれば、自ずと英語と相性がよくなり、結果として英語学習が捗るのだと私は思います。


おわりに


頭の中で繰り返し、習慣的に起こっていることは、長い時間をかけて人格へと成長していきます。それゆえ、日頃から頭の中で筋道を意識している人は数学が得意になり、無意識のうちに英語と相性が良くなっているのではないのか?

これが 数学ができる人は英語の習得が速い一因だと思います。もしそうかも?と思ったらちょっと数学に寄り道してみるのもいいかもしれませんね。

この記事が皆様の糧になったことを祈って、

それではまた次の記事でお会いしましょう!

この記事が参加している募集

1言語1人格。語学だけで終わらない語学の学習を始めとして、留学・海外生活について投稿しています。フォローしていただくと、語学の勉強が楽しくなります。