アフターコロナの働き方改革と終身雇用の弊害

改めて、私は中小上場企業で人事を担当しています。

新型コロナウィルスによる自粛期間に、在宅ワークを行い
いつでも家にいたいという気持ちと、会社員を辞めたいという気持ち
やりたい事しかやりたくない
それらに徹底的に向き合い
いろんな記事や動画を見漁りました。

ここで、私なりにまとめたこれからの働き方について(たぶん)3回の記事に分けて人事としての実体験を交えレポート形式で皆様にお伝えしたいと思います。

そもそも働き方改革とは?

厚生労働省のHPには次のように書かれています。

「働き方改革」は、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を
自分で「選択」できるようにするための改革です。

目的の大きくは
①労働人材の確保
(日本は移民を受け入れたがらないという側面もありますね)
②長時間労働の是正 
というところでしょうか。

①については、人口減と少子高齢化が挙げられます。
一応GDP世界第3位の経済規模の国ですので、労働力が低下することは大きな懸念事項です。
そこで「一億総活躍」と銘打ち、女性や一度リタイアした高齢者も働きましょう!と政府はのろしを上げました。
労働人口が増えるという事は、公共交通機関の利用や仕事の際の身だしなみ(スーツや化粧品)、外食、託児など副次的に経済を波及させるという効果も期待できます。

しかしながら一億総活躍してたら今度は育児が難しくなってきます。
託児所はあれども保育士さんにもプライベートがありますから、
何時まででも預かれる訳ではないですし、
肝心な親と子供とが過ごす時間が無くなってしまいます。

そこで今度は②長時間労働の是正が必要になってきます。
日本は世界的に見ても働きすぎな国と言われています。
労働時間は標準なのに...世界的に見て、日本はなぜ『残業』が多いのか
残業が常態化しているようでは、子育てやプライベートが充実しません。

子供を持つ女性がパートタイマーという雇用形態を選ぶのもこの理由かと思います(責任を取りたくない・出世したくないという側面もありますね)。

一億総活躍を掲げる国としては、パートタイマーであっては都合が悪い。
世界的に見ても日本は非正規と正規雇用の賃金格差が大きいのが現実です。
(よって同一労働同一賃金の話題が出てきますがここでは割愛)

ここで「効率よく働く」という事が強く求められるようになります。
同じ仕事量を残業をせずに行う。
これは素晴らしい!生産性の向上だ!仕事のやり方を工夫するだけでプライベートの時間も保てるようになるなんて!
と思った矢先、別の問題が登場します。

残業の減少による収入減です。
同じ仕事量をこなしているのに、会社に拘束されている時間が減るから収入が減る…なんでこんなことになるねん 笑
会社側は人件費の削減になるのでメリット大なのですが…
じゃあ、その分基本給を上げればいいじゃない!と素直に思うのですが
そうは問屋が卸さない
それは日本において年功序列と終身雇用があるからです。

年功序列と終身雇用のもたらす弊害

wikipediaによりますと

終身雇用(しゅうしんこよう)は、同一企業で業績悪化による企業倒産が発生しないかぎり定年まで雇用され続けるという、日本の正社員雇用においての慣行である。

何となく新卒で良い会社入れば安心^^
って思えるのはこの終身雇用の慣習のお陰です。
逆に言うと辞めにくい。
企業側もよっぽどの懲戒でもない限り解雇ができない制度です。
別れたくても別れられない夫婦のよう…

この終身雇用の中では、給与は年功序列で上がっていきます。
が、なんせ高齢者が多い世の中なので、年功序列で行くと若手の賃金はそう簡単には上がりません。
(これは私も如実に感じている)

また、終身雇用は労働者の成長が止まるという側面もあります。

前述の「新卒で良い会社入れば安心^^」という考え方は、そう簡単に解雇もされないので、特にスキルを身につけなくても会社に居続けることができます。
資本主義国家なのにとても社会主義的なのです。

結果その会社でなければ働けない、
またはその会社でしか役立たないスキルしか持たない労働者が誕生します。
また激しい競争も起きにくい。
その会社でしか使わないエクセルデータの作成…とか 笑

そしてスキルを持たないまま定年を迎えてリタイヤするとどうなるか。

使い勝手の悪いシニア労働者の誕生です。

そもそもシニア労働者に求めるスキルは、経験以外の何者でもないと思います。
どうしても年齢が上がると新しいことを身に着けるのは若者よりも遅いし、考え方が凝り固まってきます。
極めつけが定年まで勤めていた会社での栄光を捨てられずプライドが高くなりがちです。(私の父もそうでした)
年功序列という事は定年まで会社に勤務していればそれなりの役職=栄光についている可能性が高いです。
その栄光が実は自分の勤めていた会社でしか役に立たなかったら
プライドだけ高く使い勝手・物覚えの悪い労働者になってしまう可能性が高いのです。

これらのように、今まで日本がとってきた終身雇用の弊害が大きくなってきてしまっています。

あの典型的な日本企業とも思われるトヨタ自動車の社長ですら「終身雇用難しい」と口にしたのです。

働き方改革の面からも、終身雇用はゆっくりと衰退するでしょう。

終身雇用が衰退すると、年功序列も崩れます。
加えてAIの登場で、単純作業は徐々にロボットに奪われていきます。

よって、できる人・できない人の差が大きくなってきます。
おそらくこのまま日本もジョブ型の雇用形態に変わっていきます。(ジョブ型については別なところで)
ここで私たち働き手は自分を高めていく必要が出てきます。
自分が持っている技能分の仕事しか入ってこない世の中になるからです。


これからの労働者がとるべき道

えーじゃちょっと待って、これから何をすれば良いの??
となったら、ズバリこれです

副業・兼業です。

長くなってしまったので、次回は労働者側から見た新しい働き方の話をしたいと思います。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?