あの人を好きな理由
月が綺麗でそんな夜はすごく物思いに耽る。生きることってなんだろうとか今生きてる意味とか。愛することとか、人に与えることとか。考えても答えが出ることはないし、いま行き着いている答えの中で腑に落ちるところを探して終わることもわかっている。それでも考えを巡らせる。今日はエバを許そうってそう思った。人はみんな罪人でそれがりんごを食べてしまったことから始まるのなら、みんなそうしたよって。大丈夫、あなただけじゃない、あなたが全ての根源を背負うことではない。誰かだってみんなのためにって自分を犠牲にしたじゃないかって。もうすべての繋がりを許して許してそんな自分も許して。こういう思いや考えの根源をくれた誰かに、それを社会にっていう形で返せる恩を返していこう。そんなことを延々と考えてるうち彼のことが頭に浮かんで。あぁ、だから好きなんだなってなぜだかしっくりきて。理由がひとつわかった。あの人は私がこういう風に想いに耽ったり考えまくったりしていることを知っている。聞いて知ってるとかそういう意味じゃ無くどこか自分と同じと感じあってわかってるという方が正しいか。同じことではないにせよ彼もまた何で生きるのかとかそういう壮大なことに考えを巡らせたり頭を悩ませたり時にはそれで辛くなったりする時間があって。そうだからこそそれがシンパシーとなる。わたしの心を掴んでくるんだって。心の扉を開けるのは難しいからねっていう誰かの言葉がいま響く。何か目的があって開こうとする人の心の扉はたしかに開けるのは難しいけれど、扉そのものを魔法のようにすり抜けられる力があったらどうだろう。彼はそれを持っていてわたしの心にいとも簡単に入ってきてしまう。わたしはそれを許すし受け入れる。そんなのはやっぱり表面上で語れる好きとは違うし理由もないって説明もつかないって思ってたけれどこれこそが彼を好きな理由なんだなってフィーリングってこういうことなんだなってひとつの理屈にたどり着く。満月の夜は物思いに耽ることが多いけど今日はもやもやしたままじゃなくすっきりと眠れそう。彼と手を繋いで(今日は一緒にはいないので正確には彼の手を知ってる自分の手を繋ぐのだけれど)寝て幸せ感じながら眠りにつきます。