《ディズニー・セラピー》で障害を乗り越えるおすすめ映画
映画《ぼくと魔法の言葉たち》は、
自閉症というハンディキャップをもつ家族のドキュメンタリーです。
描かれている時代は、
自閉症を発症した幼少期から、
自立に向かう青年期。
リアルな日常の痛みと喜びが
当事者たちの心音とともに伝わってくるような
紛れもない傑作ドキュメンタリー映画です。
『おまえでいるのはどんな気持ち?』
幼少期の息子オーウェンに、
父親がアラジンのイアーゴになりきって問いかけたこの瞬間。
これが全ての始まりでした。
オーウェンに言葉が堰を切ったように
流れ出しました。
以来、愉快で風変わり、陽気で人懐っこい
そんなディズニー映画の脇役たちのセリフに
オーウェンは、自分の気持ちを重ねて会話をします。
そして青年期には、創作さえも。
『迷子の脇役たちの国』という題名の
自叙伝をかいて、オーウェンは挫折を乗り越えました。
この映画は、まさに芸術的療法の軌跡が描かれています。
この映画の中では
見慣れたディズニーキャラクターのセリフも深みを増し、
『いつも申し上げておりますように
子どもに自由に選ばせなくては』
まるでシェイクスピアの名台詞のように心に響きます。
壮大なドキュメンタリーの結末、
オーウェンはフランス、レンヌ大学で行われた学会で
自分の言葉でスピーチを披露します。
「自閉症の人は他人との関わりを嫌うと
思われますが間違いです」
「自閉症の人も
みんなが望むことを望んでいます。」
「でも間違った導かれ方をされ
他の人との関わり方を知らずにいます」
映画の講評や宣伝文句にも、
《ディズニー・セラピー》と説明されているように、
彼のこの成長物語に、彼が心底愛するディズニー映画なくしては考えられません。
芸術的療法の研究がすすむフランス、ラボルド病院でも、
テアトル=演劇は、セラピー効果が最も期待されるものでした。
一定の枠、聖域とも呼べる場所で
芸術に没頭することのメンタルケアへの有効な働き。
その可能性の重要なエッセンスが、
《ぼくと魔法の言葉たち》には描かれているようです。