”アートセラピー”に期待すること
さいきん日本でも耳にする機会が増えた
この《アートセラピー》という言葉。
研究の進むフランスでは、
実は好んで使われることはありません。
代わりに使われるのは、
『Art Thérapeutique(療法的芸術) 』だったり、
『Médiateur artistique(芸術的な仲介者)』だったりします。
これらの表現には、
直接的な癒しとしての芸術という意味はほぼ含まれません。
それはネガティブな意味合いではなく、
むしろ相容れないものや見知らぬものを繋ぐ役割がある、というようなポジティブな意味合いです。
芸術活動で出会う五感からの刺激などを契機として、
心の無意識の層にあることが表れ出ることが期待されるものです。
この役割を果たす、芸術活動の刺激とは、
絵や粘土に現れるような表現やダンス、詩など多岐に渡ります。
それは、ほんのワンアクションのこともあれば、
いわゆるゾーンに入って得られるようなカタルシス状態で得られるものも。
そのどちらも、場の設定や立ち会う人が重要です。
教育論にも通じることですが、
空気感と読ぶことができそうな見えない間合いは創造性や生産性を支える重要な要素です。
このような点から考えて、
いわゆる《アートセラピー》とよばれるような
仲介者としてのアーティストと行う芸術的な活動は、
精神分析に使われるテストとは、本質的に異なるタイプだといえます。
この《Médiateur artistique》という重大な役割について、
日本で最適化できるよう研究を進め、
伝えるべき場所で伝えていきたいという想いをもってnoteを始めました。
今後も思考の整理と伝達にこの場をお借りし、
仲介者としてのアーティストとして
活動の場をつくり続けていきたいと思います。
どうぞ宜しくお願いいたします。