保健師時代を振り返る⑨
大切な皆さま、こんにちは。
地域包括支援センターにいると
高齢者の方と関わることが
多いのですが、
その中で沢山の経験、
学びをいただけたことは
保健師として、
そして、
一人の人間として
これからを生きていく一人として
大切な時間であったと感じます。
さて、今回も
私にとって大切な時間達を
文字に残せたらと思います。
前回の記事はコチラ
↓
続き…
16.記憶
年齢を重ねる中で、
沢山の方が不安に思っていること。
それは何だと思いますか?
足腰が痛くなる。
転んで骨折。
車が運転できなくなったら困る。
自分のことが自分でできなくなったら困る。
など。
そして、
「認知症になったら困る」
です。
この後、
認知症についてお話ししていきますが、
ほんの一例であること、
全ての人に当てはまるモノではないことを
ご承知おきください。
そして、
どんな人も素晴らしく、
一生懸命に生きている
ということを
覚えていていただけたら嬉しいです。
ちなみに認知症とは・・・
このように定義されています。
「認知症」そのものは、
病名ではなく、
"日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した『状態』"
のことを言います。
その状態が何によって
起こっているのか、
アルツハイマー病や
脳血管疾患(脳梗塞、脳出血等)など
の原因疾患により、
「アルツハイマー型認知症」
といった病名が付きます。
頭、つまり、
「脳」は、
私達が生きていくために
大切な場所であるため、
何らかの原因で
脳の機能が障害されることで
生活に支障が出てきてしまいます。
脳の大切な役割の一つとして、
「記憶」があります。
それが障害されることで、
生活のしづらさが出てきます。
認知症の種類によって、
症状、特徴は様々ですが、
記憶に関連したことは
どの認知症でも少なからず
共通してあります。
日々何気なく行っていたことが
出来なくなったり、
大切なことを忘れてしまう。
この「忘れる」ということが
多くの方が心配されていること
だと思います。
認知症のお話をしていると
「最近もの忘れが増えてきて心配」
という声もよく聞きます。
うっかり忘れてしまった
単なるもの忘れなのか
認知症によるもの忘れなのか、
一概には言えませんが、
例をあげるとすると
今日の朝食を思い出してください。
「今日の朝ごはんは、何を食べましたか?」
と聞かれた時、
「ご飯とお味噌汁。あともう一品何だっけなぁ?」
とか
「パンとサラダ。と今日は、コーヒー飲んだっけ?」
といったように、
朝食を食べてはきたが、
一品思い出せない。
飲み物を忘れた。など
出来事の一部分を忘れてしまうのは
単なるもの忘れです。
しかし、
「今日の朝ごはんは、何を食べましたか?」
と聞かれて
「朝ご飯は食べてない」
「(朝ごはんを)出してもらえなかった」
など
実際には
しっかりと食べているにもかかわらず
食べたこと自体を忘れている。
出来事があったこと自体を忘れているのは
認知症によるもの忘れ。
といったことがあります。
もちろん、
認知症なのか、
そうでないのかは、
医師の診断が必要となります。
普段と違ってきたことがあれば
その「あれ?」と思う感覚が
大切ですので、
かかりつけのお医者さんに
相談していただくのも
とても大切です。
自分の記憶が曖昧になる、
忘れてしまう、
という何とも得体のしれない感覚が
人を不安にさせるのかもしれません。
17.知らない世界
認知症の方が話していることを
嘘をついているのでは?
と思ってしまうことも
あるかもしれませんが、
食事の例で言えば
ご本人にとっては、
「食べていない」ということが
真実なため、
例えば
「さっき食べたでしょ。」
「忘れちゃったの?」
などと
言ったことを否定されたり、
疑われたり、
自分が忘れていることを指摘されることで
不安になったり、
怒りが出て来ることもあります。
一例ではありますが、
コレが朝食ではなく、
自分がいる場所がわからなくなったり、
家族のことがわからなくなったり、
というように、
自分の周りが
「知らないモノ」で
溢れていったら
どんな気持ちでしょうか。
そして、
家族と一緒に暮らしている場合、
最愛の妻・夫、
大切な子ども、孫が
わからなくなり、
「あなたは誰ですか?」
と聞かれた家族は
どんな気持ちでしょうか。
お互いにとって、
つらく、悲しい気持ちに
なると思います。
記憶は、
長年生きてきた中で
自分の中に溜めてきた
大切な宝物です。
人生経験が宝物と
お話してきましたが、
記憶は、
その大切な一つです。
自分の中で大切に育てたり、
誰にも見られたくなくて
そっとしまっていたモノだったり、
人によって様々です。
家族、時間、場所、思い出、
時には、お金だったりすることも。
色んな記憶、宝物が
自分の中から
ポロポロと零れ落ちていく。
それが止められないことに
本人も家族も
悲しみや不安、
もどかしさや苛立ちを
覚えてしまうのだと感じます。
それは、
決して悪いことではありません。
自分は、
今この感情を抱えている。
苦しい。
それを認識すること、
話すことで先の道が開けることも
あります。
一人で抱え込み、
涙を流さないでください。
認知症そのものが
消えてしまうわけではありませんが、
「誰か」いれば
ハンカチを差し出してくれるかもしれません。
一緒にご飯を食べてくれるかもしれません。
ほんのひと時でも「自分の時間」を
取ることも出来ます。
自分で抱えきれない荷物を一緒に
運んでくれる人、
支えてくれる人は必ずいます。
自分が手を離してしまうのではなく、
「共に」支えることで
一人一人の力が大きな力になり、
また、
新たな人へと繋がることもあります。
それは、
本人やご家族、
大切な「あなた」が居てくれるから
出来ることです。
この場所に居てくれるから、
力を使える人がいます。
支えて下さる方にとっても
大切な自分の場所、
役割を活かすことにも繋がります。
扉はいつも目の前に開いています。
いつでも一歩進んでみてください。
そして、
もし扉から声を掛けてくれる人が
居たら、
耳を傾けてみてください。
手を取り、
一緒に進んでくれる人がいたら
頼ってみてください。
何かがきっと変わると信じています。
その一人として、
もし私で力になれることがあれば
お話を聴くことは出来ます。
解決策は、きっと沢山あります。
「話す」ことが
「何か」に繋がったり、
溜めていたモノを外に出すことで
心に「余白」が生まれることで
沢山新鮮な空氣を吸うことが出来ます。
そのお手伝いが出来たら私も嬉しいです。
世界は、
いつもどこまでも広がっています。
そこには、
沢山の人がいます。
大切な人と人が繋がり合うことを
私は願っています。
続く…
長くなってしまいましたが、
読んでいただき、
ありがとうございます。
現在私は、
地域包括支援センターから
離れていますが、
大切な方のお役に立てたら
嬉しいなと思っています。
今回、
私が過去を振り返ることで
「大切なあなた」の力になれたり、
知るきっかけになれば
嬉しいです。
それではまた、次回。
いつもありがとうございます。
❀普段は、詩を書く活動をしております❀
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