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FRBのインフレ目標「2%」が定められた経緯や効果と課題(5分でわかる)


 FRBは、雇用の最大化と物価の安定を目指して金融政策を行っており、特にインフレ率を平均で2%に抑えることに注力しています。このインフレ目標は、2012年に公式に採用され、物価の安定に対する道筋を提供して来ました。
 一方で、COVID-19後のインフレの高まり等により、この目標を再考すべしとの声も上がっています。特に、インフレ目標に偏りすぎて労働市場が軽視されているという批判の声も高まっています。

 ここでは、世界の主要な中央銀行が採用している2%というインフレ目標が、いつどのように定まり、どのような経緯で今に至っているのか、またその効用や課題について、Yahoo Financeが提供する5分でわかるコンテンツを分解して紹介したいと思います。ご参考下さい。



(1)コンテンツ


 FRBには、2つの使命があります。雇用の最大化と物価の安定を維持することです。物価の安定化に際して、中央銀行が目標とするのは2%のインフレ率です。

 経済は、FRB(連邦準備制度)が目標とする2%のインフレ率に向けて大きな進展を遂げています。

ジェローム・パウエル FRB議長(2024年7月9日)

 FRBは、インフレが低く安定していると、経済が効率的に運営されると考えています。しかし、なぜ2%なのでしょうか?
この投稿では、2%がFRBのインフレ基準になった経緯とその数字を見直すべきという見解を紹介します。

 2%のインフレ目標は、現在では主要な中央銀行すべてが採用していますが、最初にこの考えを提案したのは1988年のニュージーランド準備銀行でした。当時の財務大臣は、長年にわたる2桁インフレの後、強いプレッシャーに直面していました。

ロジャー・ダグラス(ニュージーランド財務大臣:1984年~1988年)

 インフレ率が10%を下回り始めた頃に彼がインタビューを受けた際、インタビュアーが「最終的な目標は何%にすべきか」と質問しました。彼はとっさに答えただけで、政策を設定するつもりではなかったのですが、それが実際には政策の基準となってしまったのです。

ベン・ウェルシュクル(Yahooファイナンス ワシントン特派員)

 ニュージーランドは最初の目標範囲を0%から2%に設定しました。他の中央銀行もすぐにこれに倣いましたが、FRBが正式にインフレ目標を採用したのは2012年のことです。

 長期的なインフレ目標を2%に設定することで、物価の安定を促進し、長期金利を適度に抑えることが期待されています。

ベン・バーナンキ FRB議長(2006年~2014年)

 かつてFRBの政策立案者たちは、発言を曖昧にし、神秘性を保とうとした時代がありました。しかし、その考え方を大きく変えたのが、元FRB議長のベン・バーナンキ氏です。
 彼は、目標を明確にし、金融市場の参加者や一般の家庭、企業に対して、何をしているのか、そしてその理由をはっきりと伝えることが、金融政策の目的を達成するために役立つという新しい考え方を推進しました。
 このように明確にコミュニケーションをとることが、金融政策をより効果的にするのです。

デビッド・ウィルコックス(ピーターソン国際経済研究所、Bloombergエコノミスト)

 このインフラ目標の考え方の目的は、予測可能性と確実性を生み出すことです。消費者や企業がFRBの目指すインフレ率を知ることで、将来の計画を立てやすくなります。また、物価の動向について適度な安心感を得ることができます。

 発言と行動を一致させ、計画に基づいて実行することで、信頼性が築かれます。そして、この信頼性には2つの重要な効果があります。
 まず、インフレが上昇したとき、金融市場の参加者や家庭、企業は、FRBがインフレを目標まで引き下げると信頼できることです。次に、経済が弱まり、不況に陥り、人々が仕事を失っているとき、FRBはそれに対抗するための自由度を持つことができるというものです。

デビッド・ウィルコックス

 経済学者たちは、インフレ目標を2%に固定することで、FRBの担当者がその政策ツールを最大限に活用する柔軟性を持てると指摘しています。

 不況に対抗するためのFRBの主要な手段は金利の引き下げです。そのため、通常時に金利を引き下げる余地を確保するために、バッファーが必要になります。それによって、経済が不況に傾いたときに、FRBが対策を講じる余地が生まれるのです。

デビッド・ウィルコックス

 その方法が常にうまくいったわけではありません。持続的な低インフレが続いたため、FRBは2020年に「平均インフレ目標」という新しい政策手法を導入して、大幅に方針を見直しました。

「平均インフレ目標」

 この新しい方針では、正確に2%を達成する必要はなく、平均で約2%を目指すというものです。つまり、ある時期にインフレ率が低ければ、他の時期には少し高めのインフレを許容することができるという考え方です。

ベン・ウェルシュクル(Yahooファイナンス ワシントン特派員)

 そして今、COVID後の頑固なインフレにより、2%という目標値を巡る議論が再燃しています。

 2%よりも少し高いインフレ目標を設定したほうが、経済にとって効果的であるという主張する経済分析はあるのでしょうか?

ブラッド・シャーマン下院議員(カリフォルニア州 民主党)(2024年3月6日)

 2%は世界的な基準となっており、非常に安定した基準です。2%のインフレ率を米国の目標とすることが問題だとは思っていません。

ジェローム・パウエル FRB議長(2024年3月6日)

 左派からの批判としては、この2%の目標に重点を置きすぎているという点があげられます。例えば、物価目標に対してバランスを取るための失業率の目標がないことが問題視されています。

ベン・ウェルシュクル

 共和党は概ね2%の目標を支持しています。FRBは、5年ごとに金融政策の枠組みを見直しており、2024年には政策戦略、ツール、コミュニケーションの方法について、徹底的なパブリック・レビューを行うことを約束していますが、経済学者たちはすぐに大きな変更が行われるとは期待していません。 

 インフレ目標を設定することの利点、つまり予測可能性、信頼性、説明責任を重視した金融政策のアプローチは、大きな成果をもたらしました。
 COVID時代のインフレは痛みを伴うものでしたが、もしインフレを抑えるために、さらに高いインフレ率や深刻な不況の代償を払わなければならなかったとしたら、その影響はさらに甚大だったでしょう。

デビッド・ウィルコックス


(参考)



(2)オリジナル

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Yahoo finance より
(Original Published date : 2024/08/14 EST)



以上です。


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だうじょん


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