8/2発表の雇用統計:労働長官代理へのインタビュー
8月2日に発表された7月の雇用統計は予想より弱い結果となり、この結果に株式市場は反応し、主要3指数ともに大きく下落。特に景気後退に弱いとされる小型株があつまるRussell 2000(IWM)は、昨日と同様、▲3.54と大きめに沈みました。
この発表後に行われた米国労働省の労働長官代理のジュリー・スー氏へのインタビューを共有します。彼女が示した労働省の見解について、そのトピックスは以下の通りです。
<トピックス>
・直近の報告は、雇用市場全体の下降を示唆する可能性がある
・全体的に力強く、GDPも高水準でレイオフも少なく、経済は好調
・COVIDや低い失業率から、サーム・ルールは意味をなさない可能性がある
いかにも行政側と思える発言ですが、先読みの投資家との視点の時間軸については、決して揃っている訳ではないように感じるところもあります。
ご参考としての一助になればと思います。
(1)インタビュー
[ブラッド・スミス](Yahoo Finance)
7月の雇用情勢に戻ります。予想よりも弱い雇用統計は、労働市場の減速を示しています。
Yahoo Financeのジェニファー・シェーンバーガーが、特別ゲストである労働長官代理のジュリー・スーさんと待機しています。ジェニファーさん、どうぞよろしくお願いします。
[ジェニファー・シェーンバーガー](Yahoo Finance)
スー長官、今日はご参加いただきありがとうございます。雇用統計の発表日にお会いできるのはいつも嬉しいです。
今朝の雇用報告は予想よりもかなり弱いものでしたが、これは労働市場の急激な悪化を暗示しているのでしょうか?
[ジュリー・スー](労働省 労働長官代理)
注視していきますが、そうは思いません。私たちは1か月だけでなく、トレンドを見ています。過去3か月の平均では17万件の雇用が創出されており、依然として強い経済と雇用の成長を示しています。高いGDPや低い解雇率といった他の指標も、景気後退を示していません。労働参加率も高く、特に働き盛りの男女の参加率は新記録を達成しています。
この数字は冷めていますが、人々は市場にとどまり、仕事を探しています。私たちは引き続いてコミュニティへの投資を行い、道路の整備、インターネットアクセスの拡大、製造施設の建設などに取り組み、そのすべてが将来の数字に影響を与えると考えています。
[ジェニファー・シェーンバーガー]
失業率が4.3%に上昇し、歴史的に景気後退を予測する「サームルール」が発動されました。この雇用報告から、現在の経済状況について何がわかりますか?
[ジュリー・スー]
バイデン大統領が就任して以来、多くのことが予想を裏切ってきました。サームルールは、これほど長期間低い失業率が続く状況では適用されたことがありません。今月の上昇にもかかわらず、労働参加率は依然として高いです。この独特な状況では、サームルールが適用されるかどうかは疑問が残ります。
[ジェニファー・シェーンバーガー]
もし労働市場がさらに減速した場合、バイデン政権はどのような対策を講じるのでしょうか?
[ジュリー・スー]
私たちは1か月のデータに過度に依存しませんが、良い仕事を創出することに専念しています。今月の報告でも実質賃金は成長しており、インフレ率を上回る賃金が家計により多くの資金をもたらしています。
引き続き、良い仕事を創出する投資を行い、労働者が公平な報酬を得られるよう支援し、経営側と現場の労働者の給与格差を縮めるために取り組んでいきます。これらは長期的なトレンドであり、私たちは大きな進展を遂げています。
[ジェニファー・シェーンバーガー]
賃金の成長率は前月の3.9%から3.6%に減少しましたが、これはインフレについて何を示しているのでしょうか?
[ジュリー・スー]
インフレ対策は引き続き重要な課題です。企業のCEOの給与は過去最高レベルに達していますが、インフレは避けられないものではありません。
私たちは、より公平な経済がより強く、より多くの成長を促すと考えています。私たちは平等のために闘い続け、実際に前進を遂げてきました。例えば、新しい組合契約は労働者と使用者の双方に利益をもたらしています。
[ジェニファー・シェーンバーガー]
労働参加率がわずかに上昇しましたが、雇用市場の冷え込みは、より多くの人が労働力に参加しようとしていることと、雇用が減少していることのどちらに起因しているのでしょうか?
[ジュリー・スー]
労働参加率は経済の強さを示す別の指標です。先月、働き盛りの男女の参加率が数十年ぶりに最高を記録しました。労働者が労働市場に長くとどまっていることは、失業率と関連しています。
[ジェニファー・シェーンバーガー]
スー長官、このあたりで会話を終えさせていただきます。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
[ジュリー・スー]
ありがとうございました。
[ジェニファー・シェーンバーガー]
ニューヨークのスタジオにお返しします。
(2)オリジナル・コンテンツ
Yahoo financeより
(Original Published date : 2024/08/02)
(3)8月2日発表の雇用統計データ
失業率(7月)
実績値 4.3% / 予想値 4.1% / 前回 4.1%
非農業部門雇用者数(7月)
実績値 114K / 予想値 175K / 修正値 179K
週平均労働時間(7月)
実績値 34.2 / 予想値 34.3 / 前回 34.3
平均時給(前月比)(7月)
実績値 0.2% / 予想値 0.3% / 前回 0.3%
平均時給(前年比)(7月)
実績値 3.6% / 予想値 3.7% / 修正値 3.8%
民間非農業部門雇用者数(7月)
実績値 97K / 予想値 148K / 前回 136K
労働参加率(7月)
実績値 62.7% / 前回 62.6%
U-6失業率(7月)
実績値 7.8% / 前回 7.4%
政府雇用者数(7月)
実績値 17K / 修正値 43K
製造業給与(7月)
実績値 1K / 予想値 -1K / 修正値 -9K
以上です。
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だうじょん
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