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AI競争が完全に変わったことにまだ気づいていない人がいる : 中国製AIに強い警戒を示す大手AIプレイヤーたち
2025年1月、Databricksが過去最大級となる150億ドルの資金調達を発表しました。この資金調達には、オープンソースAIを支持するMetaを含む戦略投資家の関与が特徴となっています。これにより、同社の企業評価額は、セカンダリ・マーケットで650億ドルに達しており、市場からは、2025年中のIPOについての期待があがっています。
まず「1. オープンソースAI事情の変化について」では、Databricksのアリ・ゴドシCEOからは、オープンソースAIとクローズドソースAIの競争が激化している状況、また、急速な技術革新によって推論モデルの開発コストが急落し、AI業界でのプレイヤーの戦い方が大きく変化しつつある状況についての共有がありました。また今後、推論モデルに即した新たなハードウェアが必要になるであろうとの彼の考えも示されています。
AIの進化も道なりではないことを再認識する次第ですが、現地1月22日に公開されたCNBCのコンテンツを参考下さい。
[主なサブテーマ]
Databricksの150億ドルの資金調達について
オープンソースAIとクローズドソースAIの競争
AI開発の新たな潮流と低コストモデルの台頭
データセンター投資とAI分野の成長圧力
これに加えて、続く「2. 中華モデルに警戒する米国AIプレイヤー」では、1月23日に公開されたCNBCの別のコンテンツから、中国製の生成AIモデル群の脅威を伝えるコンテンツを共有します。
これら中国製の生成AIモデルは、昨年の年末から今年にかけて相次いで発表されたもので、OpenAIのo1モデルに匹敵する性能を持つとしながらも、驚異的なのはその開発コストにあり、これらからは、電力やGPU/カスタムASICの将来受給にも大きな変化をもたらす可能性が示唆されています。
1. オープンソースAI事情の変化について
[ケリー・エヴァンス](CNBC)
Databricksは、これまでの歴史で最大規模のプライベート資金調達のひとつを正式に終了しました。
今回の調達額は、株式による100億ドルと債務による50億ドルで構成されており、AI競争の中で新たな連携が形成される中、意外な戦略的投資家が発表されました。本日のTech Checkでは、ディアドレがCEOに独占インタビューを行いました。
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
ケリー、今年はクローズドソースAIとオープンソースAIの競争がさらに激化しています。Stargateプロジェクトは、OpenAIがより大規模で高度な大規模言語モデルを開発するための野心を加速させるものです。
一方で、効率性や適応性に優れた新たなオープンソース派も台頭しています。メタが今回のDatabricksの大型資金調達に戦略的投資を行ったことで、オープンソース派における主要プレーヤー同士の連携が見られます。以下は、DatabricksのCEOであるアリ・ゴドシ氏のコメントです。
[Databricks アリ・ゴディCEOインタビュー]
[ディアドレ・ボザ](CNBC)
アリさん、本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、メタの投資についてお伺いしたいと思います。これは、DatabricksがオープンソースAIに注力していることを象徴しているように思います。
Llamaの採用や、中国の研究所であるDeepSeekのような画期的な成果を考えると、クローズドソースAIの時代は終わりを迎えつつあるのでしょうか?またそれは、OpenAIのような企業にとってどのような意味を持つのでしょうか?
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[アリ・ゴドシ](Databricks)
そうですね。両方のアプローチが共存するとは思いますが、オープンソースモデルの爆発的な広がりは明らかです。特に市場を大きく変えたのは、メタがLlamaをリリースしたことです。それによって、何千もの顧客がすぐにLlamaのオープンソースモデルを活用し始めました。
オープンソースであることの大きなメリットは、モデルを企業独自の用途に合わせてカスタマイズできる点です。そして特に驚いたのは、小規模なモデル、例えば80億パラメータのような小さいモデルが多く利用されていることです。我々はその点でメタと密に連携し、企業がどのようにモデルを活用しているかフィードバックを提供してきました。こうした経緯からパートナーシップが始まり、今回の投資に至るのも自然な流れでした。
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
Databricksがオープンソースに注力している中で、それが業界全体にどのような影響を及ぼすと思われますか?また、OpenAIや大手AIスタートアップ、クローズドソースのAIを開発している企業にとって、投資の観点からはどのような意味を持つのでしょうか?
[アリ・ゴドシ](Databricks)
レースは続いています。クローズドソースの分野では、最近では、推論ベースのモデルと呼ばれる新しいタイプのモデルが登場しています。これは、即座に即答するようなモデルではなく、少し思考する時間のあるモデルです。ただ、オープンソースの分野でも同様のモデルが登場し始めていて、非常にスピード感を持って追いついてきています。
この分野の進展は昨年と比べてもさらに加速しています。特に、AIが推論や思考の段階に移行したことで、非常にエキサイティングな時期に突入していると思います。
[ディアドレ・ボザ](CNBC)
最近のスケーリング則や事前トレーニング段階での進展がこの2年間ほど停滞気味だったことを考えると、この急速な進化は従来のやり方を脅かすことになるのでしょうか?オープンAIがこれほど急速に進化することでで、業界全体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
[アリ・ゴドシ](Databricks)
AIの分野では、大きな変化が起きていると思います。多くの人が、ここ1年ほどの間に起きたAIの進展に驚き、その全貌を理解しようとしている段階かもしれません。しかし、ゲームそのものが完全に変わったことに気づいていない方もいるのではないでしょうか。
これまでのAIは、非常に時間のかかる大規模なモデルを作ること、つまり、事前学習とスケーリング則に基づいていました。しかし、現在では、非常に少ないコストで推論型モデルを構築できるようになっています。たとえば、先週、バークレーの研究者たちが450ドル程度で推論型モデルを構築できることを実証しました。このように、思考や推論を行うモデルが、これまでほど巨額の予算を必要とせずに作れるようになったのです。
この変化により、必要なハードウェアの種類も変わる可能性があり、研究の方向性そのものも変化しています。これによってゲームのルールが変わり、競争の場が均等化されてきています。もはや3つの巨大研究機関だけが独占しているわけではなく、大学などの研究機関も再び重要な役割を果たし始めています。この新しい時代に、多くの人々が大きな期待を寄せています。
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
それが事実だとしたら、昨日発表された巨大プロジェクト「プロジェクト・スターゲート」と少し矛盾しているように感じます。OpenAIがデータセンター建設に向けて50兆円規模の投資を行うという話ですが、これは何を示唆しているのでしょうか? OpenAIが重要なブレイクスルーの直前にいるということなのか、それともAI分野にバブルの兆しが見えているということなのでしょうか?
[アリ・ゴドシ](Databricks)
データセンターへの投資は更に必要ですので、実際には良いことだと思います。多くの投資家がパートナーになっていて、今回のラウンドにはソフトバンクも参加しましたし、私たちはオラクルとも非常に密接に協力しています。特に、GPUが不足した際にはオラクルがいち早く対応し、GPUを提供するデータセンターを用意してくれました。これは米国にとっても良いことだと考えています。データセンターの建設にはとても時間がかかるので、こういった投資をするのは理にかなっています。
ただし、金額が大きいので最終的な成果がどうなるかは見守る必要があります。それでも、全体としてはポジティブな動きだと思います。ただ、変化があまりに早いので、この新しいパラダイムにどう適応するのかはまだわかりません。必要とされるハードウェアの種類も変わってくると思います。過去に使っていたものではなく、これからの推論モデルに合った新しいタイプのハードウェアが必要になると考えています。
[インタビューここまで]
[ディアドレ・ボザ](CNBC)
アリ氏の発言、つまり、この変化は競争環境を実質的に均等化していると言えます。
「これまでのAIは、非常に時間のかかる大規模なモデルを作ること、つまり事前学習とスケーリング則に基づいていました。しかし、現在では、非常に少ないコストで推論型モデルを構築できるようになっています。たとえば、先週、バークレーの研究者たちが450ドル程度で推論型モデルを構築できることを実証しました。このように、思考や推論を行うモデルが、これまでほど巨額の予算を必要とせずに作れるようになったのです。」
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
一方で、中国の研究所Deep Seekによるブレークスルー(DeepSeek-R1のこと)は、クローズドソースの開発にとって最大の脅威となる可能性があります。このことは、「AIモデルの構築は依然として良い投資対象なのか?」という疑問を引き起こします。「Project Stargate」の動向を見る限り、この問いへの答えは肯定的ですが、新たな大規模な進展への期待とプレッシャーが高まっているのも事実です。
また、Databricksは、未上場企業であることから、株式を購入する唯一の手段がセカンダリ・マーケットとなっており、投資家たちの間でさらに関心を集めています。Forge Globalのデータによると、Databricksの株式は昨年12月中旬以降プレミアム価格で取引されており、同社が620億ドルの評価額で資金調達を発表した際、その評価額がさらに650億ドルに上昇しています。このプレミアム価格は、需要が非常に強いことを示しています。アリ氏によれば、Databricksが今年中にIPOを実施する可能性もあるとのことです。
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[ケリー・エヴァンス](CNBC)
つまり、IPOの可能性は依然として残されているということです。もちろん、公的市場の投資家たちはもう少し早い段階で参入したいと考えるかもしれませんが、そう遠くないうちにそのチャンスが訪れるかもしれません。
[ディアドレ・ボザ](CNBC)
そうですね。今年中にIPOが実現すれば非常に注目されるでしょうし、そもそも100億ドルのベンチャー投資と50億ドルの債務調達が行われたという事実だけでも、その可能性が高いことを示しているように思えます。この資金調達は特定の投資家グループによるものであり、セカンダリ・マーケットの動向を見ると、そこには規模の小さな投資家やリテール投資家、あるいは小規模なファミリーファンドが関心を寄せていることがわかります。もし今年IPOが実現すれば、非常に大規模で興味深いAI関連のIPOとなるでしょう。
[ケリー・エヴァンス](CNBC)
引き続き、この動向を注視していきます。ディアドレ、ありがとうございました。
2. 中華モデルに警戒する米国AIプレイヤー
[ケリー・エヴァンス](CNBC)
中国のAIスタートアップであるDeep Seekの成功に驚かされたばかりですが、TikTokの親会社であるByteDanceが本格的にAIレースに参入し、米中間の競争がさらに激化しています。本日のTech Checkでディアドレ・ボザが詳しくお伝えします。
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
今週は同じ話題を繰り返している気もしますが、中国のAIプレイヤーたちの勢いは本当に止まりません。お話のとおり、ByteDanceは「Doubao-1.5-pro」というモデルがOpenAIの最新の推論モデル製品を上回ると主張しています。
そしてその数日前、中国のAIラボDeep Seekがオープンソースのモデル(DeepSeek-R1)をリリースしました。このモデルは、第三者による性能ベンチマークでOpenAI o1に匹敵する結果を示しています。ただ、性能だけでなく、これらがアメリカのものと大きく異なる点がもう一つあります。それはコストです。開発コストが非常に低く、利用コストも大幅に安いのです。そのため、開発者たちはこれらのモデルに非常に注目しています。アメリカの大手企業も、ダボス会議でこれを見逃してはいません。
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1月20日: DeepSeekがR1推論モデルをリリース
1月22日: ByteDanceがDoubao-1.5 Proを発表
中国でのこうした進展は、非常に真剣に受け止める必要があります。
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Deep Seekが中国を代表するAIラボであり、そのモデルはアメリカのトップモデルと肩を並べる、またはそれ以上の性能を持つことが分かっています。
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もしアメリカがこの技術分野でリーダーシップを取れなければ、地政学的に非常に厳しい立場に追い込まれるでしょう。
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
AI業界の影響力の大きいCEOたちは、それぞれDeep Seekの名を挙げています。そのため、私たちはこの謎めいたラボと、その革新が注目されている理由を深掘りしています。明日の朝には、この意味について詳しく分析したTech Checkの特集記事を公開しますので、ぜひご覧ください。
[ケリー・エヴァンス](CNBC)
では、TikTokが行っていることについて戻りますが、最も重要な点は何だと思いますか?
[ディアドレ・ボザ](CNBC)
コストについてです。中国から登場しているこれらのモデルは、非常に低コストで開発されています。OpenAIが年間で約50億ドルを費やし、何十億ドルもの資金を消耗している一方で、たとえば、Deep Seekというモデルは、わずか600万ドル以下で開発されたと言われています。また、ByteDanceのモデルも同様に、はるかに低いコストで利用可能であることを示しています。これにより、過去数年間私たちが考えてきた生成AIに関する常識が覆されつつあります。つまり、より大きく、より優れたモデルを開発するには、数億ドルもの資金が必要だ、という認識です。しかし、中国の研究機関や企業は、すでに存在するインフラやアメリカの企業やスタートアップが構築した成果を活用し、それを改良しながら、最前線に立つモデルを開発しています。そして、それらのモデルは、場合によっては同等の性能を発揮しながら、はるかに低コストで生産されています。
[ケリー・エヴァンス](CNBC)
つまり、原子力発電の関連株を買う必要はないかもしれませんね。それに、何百万ものGPUを投入する必要もないかもしれませんね。
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[ディアドレ・ボザ](CNBC)
興味深い指摘ですね。そして、これがStargateプロジェクトにも疑問を投げかけています。私たちが構築しているインフラは、この2年間のような事前学習のためなのか、それとも推論のためなのか、というコスト構造の違いにも影響する話です。
[ケリー・エヴァンス](CNBC)
そうですね。こうした変化の中で、MicrosoftがOpenAIとのパートナーシップをどのように進化させているのかも気になるところです。ディアドレありがとうございました。
3. 関連コンテンツ
4. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
1. オープンソースAI事情の変化について
CNBCより
(Original Published date : 2025/01/22 EST)
CNBCより
(Original Published date : 2025/01/23 EST)
[出演]
Databricks
アリ・ゴドシ(Ali Ghodsi)
CEO
CNBC
ディアドレ・ボザ(Deirdre Bosa)
ケリー・エヴァンス(Kelly Evans)
2. 中華モデルに警戒する米国AIプレイヤー
CNBCより
(Original Published date : 2025/01/23 EST)
[出演]
CNBC
ディアドレ・ボザ(Deirdre Bosa)
ケリー・エヴァンス(Kelly Evans)
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だうじょん
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