回答率が上がらない!? 世界のあっと驚く、従業員エンゲージメント調査のプロモーションがクリエイティブすぎる件
皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?
ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。
今日は、従業員へのアンケート調査で回答率が上がらないーそんなお悩みのあっと驚くアイデアをまとめた大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。
注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Ampの「4 creative ideas to promote your employee engagement survey」を日本の読者様向けに訳したものです。
ベテランマネージャーや経営者が「ダイエット宣言」? 人事チームの誰かがラップ(そう、あの歌のラップです)? 2つの共通点とは何か?実は、どちらも、従業員エンゲージメント調査への参加を促すために、企業が実際に行っている施策だと言われたら?
従業員エンゲージメント調査は、従業員が熱意をもって、今の組織で働き続けたいと感じているかなど、貴重な情報が得られるものです。しかし、この貴重な情報を得るには、従業員に、調査概要、参加方法、そして参加の意義を理解してもらわねばなりません。
多くの企業が高い回答率の目標を掲げていますが、現実は、1,000人以上の規模の企業の一般的な従業員エンゲージメント調査への参加率は、65~80%程度です。高い参加率を達成するには、コミュニケーションが非常に重要です。アンケート調査のプロセスの明瞭さは、従業員の高い参加率につながると言われています。このような高い参加率こそ、データを活用し、組織でより良い意思決定を行うことに活用できるのはいうまでもありません。
この記事では、従業員エンゲージメント調査を促進す、4つのクリエイティブ(斬新さも!)な方法を、経験豊富な企業の人事リーダーからのアドバイスと事例を交えてご紹介していきます。
Advance Childcare(アドバンス・チャイルドケア)社の取組事例
実施したこと:カップケーキを用意し、従業員エンゲージメント調査結果お披露目パーティの実施・最も参加者の多かったチームへの特別賞品の授与
アドバンス・チャイルドケア社では、従業員の間で回答自体をゲーム感覚で競わせたことと、魅力的なパーティーの実施が、高い参加率を達成するきっかけとなったそうです。
アドバンス・チャイルドケア社のオペレーション・マネージャー、アンナ・パパレオにお話を聞きました。
「私たちのチームは食べ物やお菓子が大好きなので、アンケートの開始を祝うパーティーにしてお祝いすることにしました。おいしいお茶と赤いベルベットのカップケーキで、スタッフ・ルームをパーティー・スペースに変えました。カルチュア・アンプとの新しい関係をアピールするために、すべてのカップケーキに、サーベイを象徴するロゴをあしらいました」。
アンナのチームでは、当初80%程度の回答率を見込んでいたが、このような取組みの結果、それを遥かに上回る90%近い回答率を得たのです。
「最も多くの参加者を獲得したチームには特別な賞品を進呈することで、参加者をゲーム感覚で競わせました。次回実施する、社内の顧客アンケートでも、コンペを計画しています!」(アンナ談)
アンナから、アンケートへの高い参加を望む他の企業へのアドバイス:
アンケートを楽しく、競争的なものにし、褒賞を用意し、あちこちに周知しています。トイレのドアの裏やメール、オフィスの随所に、参加の景品の情報や楽しいリマインダーを設置しました。私たちのチームは競争心に火がつきやすく、景品の無料のディナーやランチは大好評でした。
International Cruise Excursions(インターナショナル・クルーズ・エクスカーションズ)社の取組事例
実施したこと: すべての社内アンケート調査にテーマを設定し、2週間にわたって社内を盛り上げています
インターナショナル・クルーズ・エクスカーションズ社では、従業員エンゲージメント調査に毎回テーマを設けているようです。
同社のカルチャー&エンプロイー・エクスペリエンス(企業文化と従業員経験を担うチーム)担当のシニアマネージャーであるサラ・マーティンは
「従業員は、毎回このテーマ自体を楽しみにしています。テーマを設けることで、オフィス全体で、調査を常に意識でき、うまく機能していますね」
最近の同社の調査では、回答率90%を目標に設定し、「1990年代」をテーマに実施したそうです。
「従業員が喜ぶ、とにかく楽しく調査に参加してもらうアイデアがたくさん出ました。社内で、ヨーヨーやスラップ・ブレスレット(腕に巻きつくブレスレット)、90年代に流行したキャンディーを配りました。また、「スピリット・デー」と称し、90年代のグランジを象徴する日を設定したりと、従業員全体で大いに盛り上がりました。90年代の流行語を交えたコミュニケーションを行ったり。さらに、シニアリーダーの何人かが、回答目標を達成した暁には、「スリムになる(ダイエット宣言)」まで飛び出しました」(サラ談)
残念ながら、同社は回答目標は88%の参加率と90%に後少しのとこおで届かずに終わったそうです。しかし、サラは自信を持って来年も挑戦すると宣言しています。
「今後もテーマの設定は絶対に続けます。このテーマ設定がなければ、88%という回答率に近づくことはできなかったはずです。テーマを設定して取り組んだ2週間、テーマに根差した雰囲気が社内のいたるところに感じられました。誰もが従業員調査を実施中だと知っていたのです」
サラから、アンケートへの高い参加を望む他の企業へのアドバイス:
開始前に全員と話し合い、会社の目標達成に向けた役割について期待値を設定すること。社内のシニアマネージメント層がテーマに積極的に参加し、チームにアンケートへの参加を促すと、さらに大きな変化が起きるはずです。私たちは世界各地のオフィス間で、互いに切磋琢磨する機運があり、それがテーマを楽しいものにしてくれました。参加率が100%に達した海外オフィスもありました。ぜひ、恐れず様々なコミュニケーションに挑戦してみてください。私たちは、各種のコミュニケーションを従業員に送付した直後は、調査の参加者が急増していました。
立ち上げの前に全員に話をし、会社の目標達成のために自分の役割がどのようなものなのか、期待値を設定しましょう。リーダーがすべての楽しみに参加し、チームにアンケートに参加するよう促すことで、すべての違いが生まれます。
- サラ・マーティン文化・従業員経験担当シニアマネージャー
講演者
Nine(ナイン)社の取組事例
実施したこと:アンケート・プロモーション放送ビデオ
ナイン社では、初めて実施する従業員調査には、綿密かつ適切な情報共有を通して、安心感と説得力を持って従業員に伝えていくことが必須と考えたそうです。
ナイン社の従業員経験の責任者であるリンダル・ストラチャンは「私たちは、従業員の興味や関心を引き出し、従業員にナインについてどう考え、どう感じているかを共有できるようように、会社全体で促していかねばと話し合いました」と振り返ります。
ナイン社は、ニュース、ライフスタイル、エンターテイメント、スポーツなど、オーストラリアで最も信頼され、愛されているメディア・ブランドです。リンダルのチームでは、自社が最も得意な手法、そう、ビデオを活用することにしました。メディア企業だからこそ、ビデオを活用して調査への協力を促すことが、従業員に調査事態に目を向けてもらう最も効果的な方法だろうという思いからの決定でした。
「私たちは、従業員調査の実施を、オーストラリアの各州のニュースキャスターを活用してニュース発表という形で実施しました。当社の従業員は、毎晩自分たちが画面で見て、馴染みのあるニュースキャスターから調査の実施をニュースとして聞くことで、より強く従業員調査のニュースに心動かしてもらえたのではないかと思います。たとえば、シドニーのピーター・オーバートンやメルボルンのピーター・ヒッチェナーといったキャスター達が、従業員調査の発表を読み上げたのです」(リンダル談)
ニュースキャスター達は、ナイン社の最も重要な財産は、皆さん、従業員であるといったメッセージと共に、従業員調査を紹介していきました。その後、ナイン社のCEOヒュー・マークスが、従業員調査を実施する目的と、自社として、社内でうまくいっていることや改善のために必要な点を従業員から聞くことの重要性を語りました。ヒューのメッセージには、何人かがナイン社の一員であることの良さを語っている別の映像と共に共有されたのです。ビデオを活用した従業員調査の伝達に加え、ナイン社では、従業員のためにFAQも作成しました。アンケートが実施されている2週間にわたり、ナイン社では、毎朝、アンケートが実施されていることを知らせるスクリーンセーバーを全員のコンピュータにプッシュしたりもしました。
「私たちは、リーダーたちを集めて、なぜ調査を行うのか、その価値と今後の展開を伝える説明会を実施しました。調査の守秘義務など、デリケート対応が必要な領域に対しては、多くの時間をかけて丁寧に対応してきました」(リンダル談)
最終的な取り組みとして、全国の全拠点でお菓子のキットカットを全従業員のデスクに配布し、一息ついてからアンケートに回答してもらうようにしました。(注:キットカットのコピー「Have a break, have a kitkat (一休みに、キットカットを)」をかけた取り組み)
リンダルのチームの努力は実を結び、当初の調査回答率の目標が65%だったのに対し、73%の回答率でサーベイを終了したのです。
Culture Amp (カルチャーアンプ)社の取組事例
実施したこと:アンケート参加を促すラップ
カルチャー・アンプでは、アンケート調査は生活の一部ですが、だからといってアンケートを楽しんでいるとは限りません。直近のアンケートでは、社内カルチャー・ファーストの責任者、ジョシュ・バーマンが、アンケート期間の途中に、オリジナルのラップを披露し、調査の最後の後押しをしました。
ジョシュは、「ラップは事前に計画したものではありません。アンケートに楽しさを組み込むことは、僕らにとって重要なこと。アンケートの締め切り間近で、もちろん、高い回答率に近づいていたのも事実です。とはいえ、何か楽しいことをやって、さらに高い回答率につなげたかったのです。そこで私たちが考えたのは、ミニ・ラップ・ビデオを制作して、調査への参加を促すことでした。当社には、JD・ピーターソン(当社CGO)のように、才能の豊か(少なくとも人を笑わせられる)ラッパーが大勢いるので、ラップをやることで楽しさを増すことができると思ったのです」と話します。
カルチャーアンプでは通常、調査の回答率は90%前後で、今回のアンケートも近い回答率でした。
参加率を上げるためのジョシュのアドバイスは、調査に参加するという選択自体がフィードバックの一部であると認識することという点でした。
「アンケートに回答するようプレッシャーをかけるようなことは決してしたくありません。しかし、高い回答率を達成したいのであれば、まず、調査自体の認知度を高めることは必須です。次に、なぜ従業員一人一人ののフィードバックがどれほど重要なのか、どのように活用していくのか、ひたすら明確にし続けることも必要です。最後に、どれだけ口を酸っぱく調査への回答を促すメッセージを出したとしても、従業員の半分以上は、まだそのメッセージをしっかり聞いていないのが現実です」(ジョッシュ談)
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関連リンク
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