「対話」の先にあるものは
「学習する組織」についてのセミナーで、おすすめの本としてアダム・カヘンの「敵とのコラボレーション」が紹介されました。同僚に貸していたのが、ちょうど戻ってきたところだったので、再読することにしました。
アダム・カヘンの「敵とのコラボレーション」
副題が「賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と、協働する方法」とあります。いったいどうやったら、彼らと協働することができるのでしょう。
アダム・カヘンは、従来のコラボレーションではなく、「ストレッチ・コラボレーション」という方法を提案しています。従来のコラボレーションの概念を引き伸ばし、根本的に取り組み方を変えることが求められます。
ストレッチ・コラボレーションの3つのストレッチ
①1つの支配的な全体、を考えるのではなく多様性を考え、対立とつながりを受容する。
②1つの解決策にとらわれず、多数の創発的な可能性に関心を向ける。
③他者の行動を変えようとするのではなく、自分も変わることを意識する。
4つの話し方と聞き方
①自分の話が唯一の真実として話す「ダウンローディング」
②事実に基づいて、正しいか正しくないかを判断しながら聞いたり話したりする「討論(ディベート)」
③共感的に主観的に相手の話を聴く「対話(ダイアログ)」
④個として聞くのではなくより大きなシステムの視点から聞く「プレゼンシング」
私たちはふだん、どのモードの話し方、聞き方をしているでしょうか。
いくつかのメタファー
本書には、たとえ話がいろいろ登場します。例えば・・・
「私たちは川底の石を探りながら川を渡っている」
「息を吸うか、吐くかどちらか一方を選べない」(力と愛を交互に使う)
「サイドラインの外からゲーム・フィールドに足を踏み入れる」
「ニワトリではなくブタになれ」(ハムオムレツを作るとき、ニワトリは卵を提供することで関与しているが、ブタは身を捧げて尽くしている)
「敵は最大の師になるのだ」
この本に書いてあることは、すぐにはできないなあ、と思いながら読み進めていくと、最後の章に6週間の訓練プログラムが載っています。自分に足りないものは何か、振り返りをしながら練習をしていくこと、仲間からフィードバックをもらうことが勧められています。
この本の最後は「敵は最大の師になるのだ。」という一文で締めくくられています。この言葉を胸に、敵と立ち向かうのではなく、自分を変えることに取り組んでいきます。