【BookMemo】線は、僕を描く
「線は、僕を描く」(感想&あらすじ)
”水墨画”をテーマにした主人公の成長を瑞々しく描いた物語。”水墨画”自体あまり身近じゃなかったので、最初はどうなることかと思ったけれども、物語が進行していくにつれてどんどん引き込まれていった。
どこにでもありそうな大学の日常生活シーン(展示会セッティング準備のいアルバイトシーン)から物語は動き出す。
主人公もどこにでもいそうな大学生・青山 霜介。
ただ、霜介には交通事故によって突然両親を亡くすという”特別な事情”により自分の殻に閉じこもってしまう日々を過ごした過去を持つ。
そんな悶々とした日々を過ごす霜介の前にひょんなことをきっかけに一人の不思議な老人・篠田湖山と出会う。
篠田湖山は「霜介を自分の弟子にして、育てる」と孫の女流絵師・篠田千瑛に宣言するが、そこで実はその老人はかの有名な【水墨画の巨匠・篠田湖山】であることが判明。
いきなり巨匠に見出された霜介。自分に本当にそんな才能のかけらがあるのかどうかすら疑わしいと思いながらも次第に、水墨画の世界の奥深さやそこで出会う個性的で生き生きとしている絵師らと触れ合う中で人間として成長していく青春小説。
巨匠の孫であり抜群の容姿を備えながらも、男勝りで”血気盛ん”な筆捌きを見せる・篠田 千瑛や、その兄弟子でもの静かな佇まいで聡明な雰囲気から繰り出される正確無比な筆使いで圧倒する・斎藤 湖栖、そして斉藤とは正反対に”ガテン系の良い兄ちゃん風”で情熱的かつ直感的な筆捌きで見るものを圧倒する・西濱 湖峰。
自分の運命に戸惑う霜介を尻目に、自らの好奇心とともにテキパキと割り込んでくる闊達な同級生の女学生・川岸に変なやつで変わり者ではあるがどこか憎めない霜介の親友・古前などそのテーマに似つかわないくらいに賑やかで個性的なキャラクターが物語を彩っていく。
その物語の速度や瑞々しさに良い意味で”水墨画”に対する自分のイメージが大きく刷新されたし、自分の知らない世界を覗けた感覚が心地よかった。
「線は、僕を描く」(キャスティングイメージ)
自分が小説を読み進める上でのおすすめのキャスティングはこちら。
(登場人物をこのイメージで読むと”画”が浮かびやすく楽しめた。)
篠田 湖山(霜介の水墨画の師匠):西田 敏行
いわゆる”ひょうきんで憎めない老人”だけど”本当はメチャ凄い人”みたいな人格の幅やその両面のコントラストがイメージしやすいのは西田敏行だなと。西田敏行こそ”篠田湖山”。
藤堂 翠山(水墨画の巨匠。湖山と双璧):西岡 徳馬
湖山とは対照的な”静”のイメージを感じる巨匠。穏やかながらもその目は鋭く”何かを見通している”イメージ。
青山 霜介(自分の殻に閉じこもる主人公の大学生):山崎 賢人
霜介の”表面的には問題なさそう、だけれども中身の空洞(透明)”な感じは山崎賢人的な要素をイメージ。
篠田 千瑛(湖山の孫。女流水墨画の絵師):川口 春奈
千瑛の”絵師として勝気な鋭い目”は川口春奈の眼力を持ってして再現されると信じている。
斎藤 湖栖(湖山門下生。穏やかだが確かな腕前):山崎 育三郎
静かで物腰柔らかいが筆を取らせると天下一品という”静かなる凄み”を表現するとなると適任は山崎育三郎。着物も似合うしね。
西濱 湖峰(湖山門下生。女流水墨画の絵師):青木 崇高
斎藤湖栖と対照的な”明るく陽気なお兄ちゃん”のイメージを出せるかつ、アーティステックな面を持ち合わせるのは青木崇高。
川岸(霜介と同じゼミの女学生。しっかり物):伊藤 沙莉
好奇心旺盛でお節介上手という同級生の女学生には伊藤沙莉がハマる。
古前(霜介と同じ大学、ゼミの親友。変わり者):矢本 悠馬
変わり者で”飄々としたつかめないヤツ”を演じさせたら右に出るものはいないと思っている、矢本悠馬。
是非お試しください。
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