【毎日読書感想⑫】92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て
以前、Yahooの記事でこの本の著書である大川繁子さんのことを知り、ずっと気になっていた1冊です。
92歳の保育士さんが今までの経験を綴った本というだけでも、子育て中の身にとって興味がありましたが、モンテッソーリ教育とアドラー心理学の考え方を保育に取り入れていると知り、これは必ず読んだほうがいいと思い、購入しました。
本書は大川先生がお話された内容を、別の方がまとめられているので、耳元で大川先生が実際に話しかけてくださっているようなやさしい言葉で書かれています。ごくごくと文章を飲むがごとく、するすると内容が頭の中に入ってきて、一気に読めてしまいました。
先生が勤める保育園のテーマは、「自由と責任」だそうです。
卒園するときには、自分のやりたいことに没頭し、自分の頭で考え、自分の能力を発揮できる力(自由に生きる力)とそれに伴う責任を持てる子になっていてほしい。(P.4)
本書では、モンテッソーリ教育とアドラー心理学の考え方をどのように保育の現場で応用しているのか、わかりやすく書かれており、大変勉強になりました。
なかでも、私が印象に残っているのは、オムツがなかなか外れないという相談についての回答とあるエピソードです。
さて、まずお伝えしたいのは、「おむつ外しは『しつけ』ではない」ということです。じゃあなにかって、子どもが自立するための「お手伝い」なのね。(P.147)
そんな私が、たくさんの子どもを見てきて確実に言えることが一つあります。それは親がトイレの失敗に対して過剰に反応すると、オムツはなかなか外れないってこと。親が焦るほど、怒るほど、オムツ外しは長引きます。(P.148)
先生の園でも4歳になってもオムツが外れなかった子がおり、お母さんは大変焦っていました。よその保育園では、時間を区切って一斉にトイレに行くのがオムツ外しの主流なので、そのようにして一刻も早くお母さんはオムツを外したいと思っていたようです。
しかし、先生の園では、トイレをしたいと感じるタイミングはひとりひとり違うはず、自分の身体で感じてほしいと考えていて、集団でのトイレトレーニングは行っていません。失敗しても怒ることはなし。
結局その子は、お母さんの仕事の勤務時間が長くなり忙しくなったことをきっかけに、子どもに怒ることが減ったことで、オムツがすんなりはずれたそうです。
私もちょうどトイレトレーニングをしている2歳の子がいるので、この部分はお母さんの気持ちが痛いほどわかりました。上の子は1歳前から保育園に通っていたせいか、すんなりトイレができるようになったのですが、保育園に通っていない2歳の子はなかなか一人でトイレができず、オムツがはずれません。
これはあきらかに、私のやり方がまずいに違いない......。
そう思って、1日パンツで過ごしてみたり、頻繁にトイレに誘うのですが、まったくうまくいきません。トレーニング用のパンツが濡れていても平気で遊んでいますし、思い切って普通のパンツにしてみると水たまりをつくって、「びちょびちょ」と笑っています。
そんなときにこの相談と回答を読んで、はっと気づきました。私は自分がうまくオムツをはずすことに異様にこだわっているだけではないかと。きっと、この子はまだトイレをすることにさほど敏感になっていない、ただ時期が来ていないだけなのかもしれないと、感じるようになりました。
私の焦りとプレッシャーも感じているのでしょう。勝手にストレスをかけてしまっていたかもしれないことに反省しました。この子が自分でトイレに行きたいと思えるよう、もう少し気長に見守ってあげようと固く誓いました。