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二十四節気の養生法【2022 寒露】

 秋の5番目の節気。10月8日から今年は10月22日(霜降の前日)までの2週間が「寒露」です。
 旧暦の10月8日というと今年のカレンダーでは11月1日になります。
寒露になると太陽の高度はかなり低くなるので太陽の光の入射角が小さくなり、さらに東北からの季節風が吹き始め徐々に秋が深まってきます。古い書物にも、「九月節、露気寒冷、将凝結也」と書かれており、寒露の節気になると気温はどんどん低く冷気となり、結露が霜に変わっていきます。冷たい露の結ぶ頃で、菊の花が咲き始め、木々の葉は紅葉しはじめます。

今月の癒しの庭園 等持院「庭園」

 今回のお庭は、当店からほど近い等持院というお寺のお庭をご紹介しましょう。
等持院は、足利尊氏が天龍寺の夢窓国師を開山にお迎えして、衣笠山の南麓に創建され、足利将軍家歴代の菩提所となりました。
有名なお寺ですが、お参りしたことがあるという方は、なかなかのツウですね。

等持院山門

 山門をくぐると白い芙蓉の花と怖い顔の鬼瓦が出迎えてくれました。

建物に入った廊下の突き当りには「だるまさん」がギョロリと睨んでいます

 だるまさんに威圧されながら廊下を回ると方丈(本堂)があり、縁側の先には良く手入れの行き届いた白砂の枯山水のお庭「南庭」が広がります。
長い広縁を歩いていくと、キュッキュッと鴬張りの音が心地良く響きます。

 白砂に綺麗に砂紋が描かれ禅寺の枯山水らしい侘び寂びの雰囲気が漂っています。日当たりの良い縁側に座って、景色を見ているだけで心が穏やかに落ち着いてきます。

 正面の門の横には、立派なモミジの木が植えてありもう少し秋が深まると真っ赤に紅葉して見応えがあるでしょうね。
縁側を突きあたると「霊光殿」という建物が続きますが、ここは足利尊氏公が毎日信仰されたという弘法大師の作った御地蔵尊が祀られ、その両側に足利歴代の将軍や徳川家康公の木像が安置されていて荘厳です。
 霊光殿を出て方丈の北側に廻ると夢窓国師作と伝わる庭園が広がります。
「心」という字を模った心字池があり、池の周りには半夏生や皐月がありましたので咲く頃はまた違った美しさでしょうね。

 書院から望む西の庭には「芙蓉池」と呼ばれる池があり、絶え間なく水の流れ落ちる音が心地良く響き、悠然と泳ぎ回る錦鯉たちに癒されます。

 芙蓉池の奥の小高い上に茶室「清蓮亭」がひっそりと落ち着いた姿で建っています。清蓮亭が建てられたころには窓を開けると衣笠山のすそ野の伸びやかな姿が眺められたそうです。

 清蓮亭から反対側に芙蓉池の周りを巡ると、あちこちに秋の気配を感じられるます。ススキの穂が秋風に揺られ、モミジの葉も先が少し色づき始めています。

 木漏れ日の中の苔の上に枯葉が落ち、周りにドングリなどの木の実が転がっています。

 赤く染まれば見応えのある紅葉になるでしょうね。心字池の淵の葉先には赤とんぼが羽を休めています。

 赤い芙蓉が綺麗に咲くそばに、足利尊氏公の宝筐印塔がひっそりと建っています。

 書院の出口にかかっていた額は「日々是好日」。映画の題名にも使われた禅問答の有名な言葉ですね。言ったのは唐代の禅僧雲門文偃(うんもんぶんえん)という人だそうで、意味は、これまたさまざまな解釈の仕方が出ていますのでネット検索して参考にして見てください。

 「毎日、良い日が過ごせればいいなぁ」とか、「日々、穏やかに過ごせればいいなぁ」といった感じでしょうかね。実際には、生きていれば、辛いことやしんどいことの方が多い毎日だとは思うのですが、それも思いようで、
お釈迦様などは四苦八苦から逃れるには、死ぬことや病気でさえ楽しいと思えば苦しいことはないと、…なかなか凡人にはそこまで達観できません。
せいぜい、「毎日を楽しく過ごすよう頑張ろう!」って感じですかね。

 等持院さんは、そんなに広い大きなお寺ではありませんが、枯山水のお庭と池泉回遊式庭園の両方をゆったりと味わうことが出来、また四季折々の草花に季節の移ろいを感じさせてもらえるとても素敵なお寺です。足利将軍により250年余りも続いた室町時代に想いを馳せ、風雅な公家の文化と中国から伝わった禅の侘び寂びが融合した室町文化に触れると、物ごとの奥深さや簡素な中の豊かさに意識を向けることが出来ます。
 秋が深まってゆきますね。まだまだ日中は温かいというより暑いぐらいですが、皆さまもぜひ季節の移ろいを感じにお出掛けください。
私たちも自然界の一員として、少しずつ季節の「気」に調和して、秋冬の気に慣らしていくことが大切です。ココロやカラダも冬支度に備えて少しずつ衣替えって感じです。
いつまでも半袖Tシャツに短パンでウロウロしていると寒邪や風邪、燥邪など季節の邪気に傷められます。夜の寝具などもその日の気候や気温によって調整したり、窓を開けたまま寝ると朝方冷え込むこともありますので、十分気をつけてお過ごしください。

寒露の養生法

 秋の5番目の節気。10月8日から今年は10月22日(霜降の前日)までの2週間が寒露です。
 暦便覧には「陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也」とあり、古い書物には「斗が寒甲を指すと、寒露になり、この日は露が寒くて冷たく、凝結したようになり、ゆえに寒露と言われる」と記載され、「露は気が寒くて、凝結する」とあります。
 中医学では、寒露が到来する頃には、自然界の気は少しずつ陰気が旺盛になってゆき、日暮れが早くなり寒気が旺盛になるにつれて、感情面でも次第にもの寂しさを感じるようになります。昼と夜の長さが同じだった秋分を過ぎ、冬至に向けて、自然界では、陽の気が徐々に退き、入れ替わるように陰の気が次第に旺盛になっていくので、私たち人間の生命活動も、体内の陰陽バランスを調えるために、自然界の変化に適応していかなけなければならないと考えられています。

五行の「金」も属す気質

 昔から金秋と言い、五行の中の「金」に属します。五臓のも同じ金に属するので、肺気は金秋の気と呼応し「金秋になると空気は冷え、乾燥の気が盛んになる」、この時期には燥邪、風邪が人体を侵しやすく、肺の陰精を傷つけやすくなり、しっかり養生出来なければ、ノドが渇き、鼻の粘膜カラカラに乾き、皮膚も乾燥するなど燥邪による秋の症状が起こりやすくなります。

  残暑厳しい「温燥」から、すこしずつ「涼燥」に変わり、冷たく乾いた空気になっていきます。自然界の陰陽の気は変化し、陽気が次第に減少して、陰気が旺盛になりますので、私たちのカラダも自然界に適応して変化させ、体内の陰陽を平衡に保つことが大切です。
 中医学的では、四季の養生法で「春夏は陽を養い、秋冬は陰を養う」と教えています。これから秋が深まっていくにつれ、大切な陽気を外に漏らさないように体内に収め、陰精を養う保養が大切です。この季節の養生法は「滋陰潤肺、養陰防燥(じいんじゅんはい、よういんぼうそう)」になります。陰を養い乾燥を防ぎ、肺を潤して津液(水分)を補うということです。
秋の養生を怠ると、冬になって寒さに傷められ下痢などになると考えます。

春悟秋凍

 季節の変わり目の衣服などの調整についての昔からの言い伝えです。
春になったからと言って早くから薄着になると三寒四温など寒の戻りで寒邪が侵入して体調を壊しやすくなりますよ。一方、秋が来たからと言って早くから厚着になると日中の暑さで汗をかいてそのままでいると今度は冷えて邪気が侵入し体調を壊しますよ。というような感じです。
 どちらも少しずつ季節の気の移ろいに合わせて、体を慣らしていくことが大切なのです。秋は、猛暑で激しかった夏の陽気を納め、陰気が増えて来るのに従って、カラダの中にも陰を養いながら、冷たい空気に皮膚を慣らしていきましょう。

 その日その日の気候やお天気に合わせて、小まめに対応することが秋には大切です。気温が低い予報の日は、首やお腹、腰、脚などは冷えないよう準備や対策が必要です。特に帰りが遅くなる日などはマフラーやスカーフ、お腹や腰を守る腹巻などを準備して出かけましょう。

滋陰潤肺、免疫力を上げる旬の食べ物

 寒露を過ぎる晩秋の食養生は、陰を滋養し肺を乾燥から防ぎ潤すことが大切です。は、喜潤悪燥と言って潤っている状態では調子良く働き健やかな状態を保てますが、肺が乾燥してくると肺の働きが低下してさまざまな症状が起こります。
 季節の旬の食べ物で、肺を潤し陰を養って陰陽調和を図り、ココロとカラダのバランスを調えましょう。

甘くて酸っぱい食べ物
ザクロ、杏(あんず)、ぶどう、みかん、レモン、サンザシなど
肺を潤す食べ物
杏(あんず)、大根、やま芋、白きくらげ、百合根、梨、銀杏、はちみつなど
白い食べ物
白きくらげ、れんこん、大根、百合根、やま芋など
陰を補う食べ物
鶏肉、豚肉、うずらの卵、すっぽん、牡蠣、牛乳、黒豆、黒ゴマ、黒米、やま芋、枸杞の実など
カラダを温める食べ物
唐辛子、生姜、ねぎ、ニンニクなど
(※但し、辛いものを食べ過ぎると陰精を傷めやすいため、辛いものは少なめに。秋は少辛多酸がオススメです。特に便秘気味や炎症がある陰虚体質の人は温熱性や刺激性の食べ物は要注意です。)
 脾胃を補うお粥に肺を潤す百合根や白きくらげ、蓮の実などを加えるのがオススメです。
家族の誰かが「ゴホンッ!」と言えば「はい、梨!」と言われるぐらい、梨は秋の常備菜。梨と白きくらげを炊いたスィーツ(高級な中華料理店のデザートにある「雪耳氷糖」や「銀耳雪梨湯」など)もオススメです。(※梨の性味は甘涼なので、下痢や冷える人は控えめに)
 金柑が出回ったらはちみつ漬けにしておいて、のどがイガイガしたり咳が出たら水やお湯で薄めて飲んだり、大根はちみつも手軽に作れて効果的ですね。(※大根くさいのが子どもには厳しいかもね)

 秋は、特に悲しみ憂い(不安)という感情によりを傷めやすいです。 精神的な養生法としては、「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、日の暮れるのがすごく早くなり、まただんだん寒くなり、そして冷たい風に落ち葉が舞うと、なんだか物寂しく感じ、感傷的になってしまいます。
あまり悲しい気持ちになり過ぎたり憂い(不安や心配し過ぎること)が強いとを傷めるのです。あまり憂鬱にならず、意識的に元気になる音楽を聴いたり、楽しい映画やお笑い番組などで大笑いしたりして、あえて楽観的で明るい気分で過ごすこともこの季節のココロの養生法です。

 そして、秋の夜長ですが夜更かしも陰を損傷しますよ!
 いつも言っていますが、女性は生理の時は特に早寝が大切です。中医学では、生命エネルギーの気は、血と津液(水)をとします。
血は陰で、夜寝ている間に補われます。この時間に遅くまで起きていると、血を補えなくなって血虚体質になります。出来るだけ早く寝るように心掛け、陰血を補うようにしましょう。

京都伝統中医学研究所の"秋分におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

 「滋陰潤肺」陰を養い肺を潤すおすすめの食べ物

 この季節のオススメは何といっても 白きくらげ! 楊貴妃や西太后も美肌を求めて食したとか!
食べる美容液とも言われ、ネバネバが出るまで炊くと皮膜を保護する成分が出て肌に潤いを与え、コラーゲン含有量はツバメの巣に匹敵!弾力や張りを保ちます。さらに血管を若返らせ、血をサラサラにし血流を調える!薬効を知ったら食べずにいられない!10分茹でてコリコリ食感で食べるか、2時間茹でてトロトロ食感(でも食用重曹を使うとすぐにトロトロに)か!?
どちらも美味しいのでお好みで♪ 和え物、吸い物、酢の物、味噌汁、鍋物、おうどん、パスタなんでもOK♪シロップや氷砂糖でデザートに。
美肌・美白や咳止め、便秘、抗がん、高血圧、免疫などにも。 
 ■白きくらげのスィーツセットがおすすめ! ラ・フランスや梨を入れるとめっちゃ美味しい薬膳スィーツ♪
台湾や香港などでは、「竜眼と白きくらげと梨のスィーツ」や「百合と蓮の実と白きくらげのスィーツ」など柑橘類を加えたり自分の体質に合わせていろいろとアレンジして楽しまれていますよ♪ 
■百合根でしっとり肌に♪ 百合根は百合(びゃくごう)という漢方薬として使われ、陰を補い肌に潤いを与え、精神の緊張をほぐします。ストレスを解消しイライラや動悸を抑え、精神不安や不眠にも。 白きくらげと組み合わせて肌荒れや、なつめと一緒に不安やマイナス思考の改善などに。
 ■前の公園を散歩してると金木犀の良い香り♪ 生花ほどの強烈な香りはしませんが、桂花を浮かべた「桂花茶」にほっと癒されます。「桂花」や 
桂花をブレンドした「水巡茶」などもほんのり甘い香りが漂います。
 

陰を養い肺を潤すオススメの薬膳茶&薬膳食材は、

薬膳茶では、
なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「増血美肌茶」、「美顔茶」、「カラダ潤し茶」、清熱解毒は「五望茶」など
薬膳食材は、
白きくらげ」、「百合」、「蓮の実」、「枸杞の実」、「松の実」、「山査子」、「金針菜」、「菊花」、「はと麦」など。 
陰血を補うものは「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「金針菜」、「黒きくらげ」、血を巡らせるのは「紅花」などがオススメです。
(※食材にも温熱性や寒涼性がありますので、自分の体質に合ったものを食べるようにしましょう。)
 
薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

 中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

次回は、10月23日「霜降」ですね。 
もう秋の最後の節気です。 どんどん秋が深まり空気が冷たく乾燥してきます。
※10月20日からは秋土用に入りますので「脾」の養生もお忘れなく!
 

 


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