学校の「空気」をつくる
「みんなの学校」に飛び交っていた言葉は「空気をつくろう」でした。
開校時の始業式で当番の先生が「キヲツケ・前へならえ」と号令をかけたあと、「校長先生と朝のあいさつをします。校長先生お願いします」と迎えられました。
私は、お願いされなくても自分で出てくるし、あいさつは校長とするのか、指示や号令がないとみんなは整列できないのかと、三つ問いかけました。
その後、巻き戻しをすることになり、再度入ってきた子どもたちは先生の指示を待つのですが、「邪魔をしない」と校長から言われた先生たちはいらいらしながらも動けません。
20分待ちました。
指示や号令を待つことをあきらめた子どもたちは、互いに声をかけ合いながら整列を始めました。そのとき、講堂中の空気が一瞬ピタッと止まったのです。その瞬間に前に走り、あいさつをしました。
「みんなの学校」から号令や指示が必要なくなったのはこのときからです。
大人が指示や号令を断捨離すると、子ども同士の関係性のなかにも指示や命令がなくなりました。
「空気をつくろう」の言葉で、何のためなのかを自分なりに考え、自分の意志で行動するのです。
見えるところばかりを見てきた先生たちが、「見えないところ」を見ようとし始めたきっかけでした。
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