かいごの基本 水分摂取しやすい仕組み作り
高齢者施設のお年寄りは水分をなかなか摂らない方がおり、脱水、便秘、発熱となり、病院受診。脱水と診断され点滴となるケースが以前は多かったと思います。
職員の言い分としては、
・本人がいらないと言っている
・声かけしても飲まない
・たくさん飲むと食事を残される
等です。
だからといって、放っておくと
▶脱水、尿路感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、敗血症。脳梗塞、心筋梗塞、高血圧となり心不全の可能性もある。
▶発熱、受診、点滴、入院となると
そして、認知症進行、老化、活力減少、日常動作低下、廃用症候群、褥瘡や拘縮が進む。
介護職員は諦めて良いのでしょうか?
私のやってみた事を参考に、職場でも取り組んでみてください。
■お年寄りに水分をとってもらうために
ユニットリーダーとして異動してきた時に、利用者皆さんは、湯呑みでお茶を飲んでいました。
何もおかしいところは、ありませんね。
でも私は、変えました。
マグカップを購入し、食事。おやつのときに水分をとってもらいました。
▶なぜかというと、
湯呑みのお茶の入る量は、約100ccから150ccしか入りません。マグカップは200cc入ります。
同じ一杯でも量が違います。ここに水分をとるチャンスがあると考えたからです。
施設のお年寄りは、ほとんど車椅子です。認知症です。高齢者です。
心理として、世話になりたくない。トイレに行きたくない。水分をとらない事を考える。
喉が乾いても、自分で取りにいけない。 職員の都合でしか、飲めないからです。
湯呑みもマグカップも一杯は一杯で、「もう結構です」と成ります。
遠慮もあります。もう一杯下さい、とは言われません。言える方ももちろんおられます。
マグカップは取っ手がついているので飲みやすいのです。湯呑みの形は、お年寄りにはつかみにくいのです。特に熱いものを飲むには、かなり困難です。なのでよく、こぼすシーンを何度も見ました。
マグカップに変えた結果は、いつもの2倍以上飲めるようになりました。
職員が勝手に。飲める量を決めつけていたのです。
▶次に、お茶ゼリーを2種類、砂糖入りと無糖です。
お茶は嫌いでも、ゼリーは好きな方がおられました。砂糖のとりすぎはお年寄りの既往にとって別の病気を誘発するので、砂糖入りと無糖を半分ずつを、器に入れました。高齢になると味覚が鈍感で、濃い味に傾き始めます。少なくで甘い事に満足できるには、濃い甘さを感じてもらう方が良いので、そうしました。健康のリスクも考えながらの水分摂取です。
次に、お部屋にストローマグカップを設置し、職員が訪室する際に声をかけて、一口でも飲んでいただけるように、話しかけたり、口にそっ〜と持っていきます。
ほとんどの職員が、夕食後から、朝食まで水分をすすめません。
約12時間ですよ〜。
私は。夜勤中や巡回中にも機会があれば、たったの一口でも排泄介助のタイミングで進めていました。
何でもない。一口がお年寄りの翌日の健康に影響すると思いながらに行動していました。
もし複数人発熱したらどうしよう、尿路感染症になったらどうしようなど、考えていました。
だって、誰一人私と同じ不安を声に出して相談してきた職員がいないのです。会議で伝えてもしないからです。
▶3番目に、食事介助の必用な方には、三角食べ方式での介助を行っていました。
小学校で言われる、あれです。主食。副食を偏って食べず、色々なものを順番に食べていくあれです。
そうすることで、残しても栄養は色々取れているということです。でも、一品だけ食べて、あとの品を残すと栄養も偏っているということです。
私はその三角食べの順番に水分を入れました。
そうすることで、水分摂取がいつもよりたくさんとれる様になりました。
お年寄りの水分摂取量が1食あたり200ccから300ccとれました。
湯呑み一杯とは大違いです。
▶四番目には、テレビを見ているお年寄りの目の前にはお茶の入ったマグカップを常に出しておきました。すると、勝手に手が出て、飲まれます。自分からはなかなか言われないからです。
これでもまた、水分摂取量が増えました。
お年寄りの施設生活の場面に、水分摂取の仕組みを仕掛けていくのが、介護職の楽しみです。
何より、お年寄りの健康維持が大切です。
口腔内も乾燥しますし、菌も増殖します。水分の意味は喉を潤すだけでないことを理解してみると、自分の行動が意味あることに気づくでしょう。
介護は奥が深く、人間の健康維持は季節、温度などの快適要因と自分自身の健康状態、性格なども関係します。
何より施設職員の気付きも大切です。