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【Sottoサポーターインタビュー#1】葛野洋明さん(龍谷大学)「寄付者ではなく、私もSottoの一員のつもりです」
このnoteでは、Sottoに寄付してくださっている方々を尋ね、どういった想いを持って活動を応援してくれているのかを伺います。
今回はSotto立ち上げ当初より応援してくれている浄土真宗本願寺派の僧侶で、龍谷大学実践真宗学研究科特任教授の葛野洋明さんにお話をお聞きしました。
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インタビュアー:葛野さんは龍谷大学の大学院で教鞭をとられていますが、どんなことを教えてらっしゃるのですか?
葛野さん:私が所属する龍谷大学実践真宗学研究科は、浄土真宗の教えに基づき、現代における様々な社会的な問題に応答できる宗教的実践者を育てることを目的としています。
なるほど、実践者を育てるのが大きな特徴なのですね。具体的には、どのような実践があるのですか?
生命倫理に関すること・ビハーラ活動・臨床宗教師や、宗教儀礼・宗教教育などそれぞれの実践がありますが、私は布教伝道 (法話) や寺院活動をメインに研究指導しています。
様々な問題が複雑に絡み合う社会のなかで宗教者の活動を模索するにあたって幅広い見聞は大切な気がします。葛野さんが大学院生を指導するさいに大切にしていることはありますか?
本人の興味関心について伸び伸びと探求できる環境をつくることを心がけています。主体はあくまでも大学院生自身です。私はそれぞれのテーマについて仏教や浄土真宗の視点からのフィードバック・情報提供をして、大学院生自身が課題に気づくような声がけに努めています。
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大学院生の関心事やテーマとして自死・自殺が挙がることはありますか?
もう少し広い範囲になってしまいますが「生きづらさ」をテーマに探求する大学院生は増えている印象です。仏教の教えのなかでいかに捉えることができるのか、あるいは僧侶として何ができるのかを自問自答しながら、苦悩に向き合う現場で実践し、その経験や考察を論文にまとめてくれています。
大学院生の興味関心や問題意識も、社会の出来事やトピックによって変化もありそうですね。葛野さんのゼミ生が毎年Sottoの研修を受講してくれています。ご紹介いただいているのでしょうか?
はい、送り込んでいます (笑) !自死・自殺に限らず、ビハーラや臨床宗教師など対人支援に関心をもってる大学院生にはSottoの研修を受けてみたらとオススメしています。実践者養成の場として心強く思っています。
いつもありがとうございます。Sottoの研修を受講した大学院生に変化はありますか?
Sottoの研修は自殺のロールプレイ (模擬相談) が中心ですよね。大学院生は必ずと言っていいほど、最初の方は凹んで帰ってきます。「聴く」という実力不足もそうだと思いますが、支援者としての在り方や心構えを考え直すきっかけになっているように感じています。
実は、それは私自身の経験でもありますね。Sotto立ち上げのさいに、私もロールプレイを受講したことがあります。絶望の淵にある人に対して、安易な励ましをしてしまっている自らの在りようを突きつけられました。自分のそういった一面に気づいてしまったことはショックでしたが、大切な気づきでした。
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葛野さんには立ち上げ前にプロトタイプの研修を受講いただきましたね。あの頃よりはだいぶと内容も良くなり私たちも腕を上げたので研修の受講をお待ちしております。
竹本さんを始め、前職 (浄土真宗本願寺派総合研究所) の同僚や仲間がSottoの発足に大きく関わっていたので、当時からのご苦労をお聞きしています。活動や取り組みに直接参加することはできませんでしたが、少しでも応援できればと思い、寄付させていただいています。
寄付はもちろんですが、励ましの言葉や助言など、立ち上げ当初からご支援いただいて本当に支えられました。
実は、Sottoを頼りにするようになった一番大きな出来事は知人の自死でした。
そうだったんですね。もう少しお聞かせいただけますか。
ご遺族の方は、私と同じ宗教でしたので、僧侶として宗教的な救いに関しての心配はないことをお話ししました。
しかし、ご家族の皆さまの気持ちを聞かせていただくことは難しかったです。 もともとお互いを知っている間柄だからこそ、かえって胸の内をさらけ出すことは難しいのだなと痛感しました。
その時にSottoのことを思い出して、幾つかのリーフレットをお渡ししました。お奨めというほど強い言い方はせずに、「こんな情報もあるよ」 とお伝えしただけです。匿名性が担保され、守秘義務も遵守されているから、知人よりもお話しやすい場面もあるのかなと期待したことでした。
その後、Sottoに相談されたり、活動に参加されたかどうかは解りません。知人であるから話しやすい場面と、匿名性が守られているからお話しやすい場面の両方があることは大事なことだと思いました。
それ以後、 Sottoの活動が継続されていくことを、ますます強く思うようになりました。私ができないことをSottoがしてくれている。なにかあったときの頼みの綱として心強く思っています。
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そんな風に葛野さんがSottoを頼りにしてくださっていることはとても嬉しいです。活動を続ける意義を再認識しています。先生はマンスリーサポーターとしてSottoに寄付してくださっていますが、マンスリーサポーターになってみて良かったことはありますか?
大きな寄付を一時的にすることも重要だと思いますが、 経済的に厳しいこともあります。 一時的なサポートだけではなく、持続的に関わりを持ち続けたいと思いました。 そのため、毎月の寄付は微々たる金額ですが、マンスリーサポーターとして寄付させていただいています。
クレジットカードの毎月の明細を確認するとSottoの名前が記載されています。Sottoの名前をみると応援してる、関わりをもってることが再認識されます。リマインダーのような機能になっていることも良いことですね。
マンスリーサポーターの手続きも、WEBで簡単に出来て良かったです。
定期的な寄付は団体の基盤となるので、Sottoを持続させるための一番心強い支援です。
他人からはもしかすると「自己満足だけじゃないか」 とか 「直接的に支援できてないことの言い訳だろ」 などの声が聞こえるような気がします。 それでも良いのです。少しだけでも、間接的にでも、継続して何かさせてもらえていることの方を大事にしたいです。
直接的には関われていませんが、間接的にでも関われることで、おこがましいことで申し訳ありませんが、私もSottoの一員のつもりにならせてもらっています。
もちろん、ご寄付で一緒に活動に参画してくださる方もSottoのメンバーです。最後に、これからのSottoに期待することがあれば教えてください。
毎月メールで会報をいただき、活動の様子を拝見しています。活動報告の件数を見ながら、 大事な活動を実践してくださっているんだと誇らしく思います。
自死・自殺に関わる活動は、種々様々あると聞いています。それぞれの団体や組織が、特色ある活動を展開することが大事なように感じています。
Sottoは、SottoとしてSottoらしいSottoな活動を実践してくださることを期待しています。Sottoが全てを担えるわけじゃない。独自の色を出して、Sottoらしい活動を続けてほしいです。
葛野さん、このたびは貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。ご期待に添えるようSottoらしい活動に励みますので、引き続き、宜しくお願いいたします。
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Sottoは、自死・自殺にまつわる孤独感を抱える方の心の居場所づくりを行なっています。マンスリーサポーターとして一緒に取り組んでいただける方を募集しています。あなたの寄付や支援が、いままさに死にたいほどの苦悩を抱える方の、その苦悩を和らげることにつながります。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
Sottoは、京都市の認定を受けた「認定NPO法人」です。認定NPO法人へのご寄付は、税控除の対象となります。
参考:内閣府NPOホームページ「個人が認定・特例認定NPO法人に寄附した場合」
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Sotto寄付ページ
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Interview 竹本了悟
Writing 霍野廣由
Photo 中川結幾