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怪談篇|現実と物語の差 【新人読書日記/毎日20頁を】(26)

「ブッシュマンの民話」、201-220頁、読了です。

怪談篇には、殺人などを含む怪談六話が載っています。これらのお話は残忍な殺人にいろいろ触れていますので、カラハリは殺人が横行する怖い世界のように見えますが、実は現実の世界では、真逆だそうです。田中二郎先生の解説によりますと、人殺しはほぼないといっても良いくらいです。ナイフや槍を他人に向けて持つことすらしてはならないとのこと。子どもでもナイフを構えたりする遊びは禁止です。

おそらく、狩猟採集民として槍やナイフなどの武器で動物を殺したり、解体したり、血まみれのことに毎日関わっているのもあり、その危険や生命の脆さがよくわかっているからでしょう。

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今日もお読みいただきありがとうございます。
同じ狩猟採集民も、舞台がアフリカの砂漠から、マレー半島の熱帯林に変わったら、どう違うでしょう。次の一冊にはその一つの答えがあります。

マレー半島の狩猟採集民バテッ。縦横無尽にひろがる支流を全て記憶し、川の名を子に授け、自分の川で死ぬのを理想とする彼らは、地図上の領域で世界を区切る我々とはまったく別の風景をみていた。しかしいま、陸路とプランテーションの開発が迫るなかで世代がくだるごとに空間認識は変化しはじめている。川と陸路の風景のせめぎあいが私たちに問いかけるものとは。


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