映画『ブータン 山の教室』が、本当に伝えたかったこと
新聞広告を見て、これは絶対に見に行かなければ!と強く思わせた映画。
ブータン映画『ブータン 山の教室』を見に行って来た。
ブータンは、私が興味を持っている国の一つ。ただ、今まで「メイド・イン・ブータン」の映画は見たことなし。ウキウキ+わくわくしながら映画館へ。
首都ティンプーに住む青年教師のウゲンは、ある日、標高4800mにある村ルナナに赴任するように言われる。険しい山道を一週間週間余りかけて、やっとルナナへ。ここは、電気や携帯電話もない秘境の地。学校には、黒板さえもない。最初は、全くやる気がなかったウゲンも、学ぶ意欲に満ちあふれた子どもたちと接するうちに、教えることのすばらしさに目覚める。
まず、印象的だったのは子どもたちだ。どの子も、とても澄んだキラキラ輝く目をしている。まっすぐに視線を向けられると、力強くて思わず目をそらしそう。それに純真素朴で子どもらしい。日本では、こんな子どもたちは、おそらく・・・いない。
次に、ブータンの美しい自然だ。まさに自然と共に、生きている感じ。1年を通じて撮影されているが、突き抜けそうな青空に、7000mを超える山々が立ち並ぶ。その荘厳な美しさに息をのまずにはいられない。そこに、家族同然の動物「ヤク」のための、「ヤクに捧げる歌」の哀愁に満ちたメロディーが重なり、本当に素晴らしい。
そして、ウゲンに将来の夢を聞かれてある子どもが、「先生は未来に触れることができるから、将来は先生になるのが夢」との言葉。思わず涙が出た。ここに住む子どもたちは、村から出たことがない。「車」が、どんなものかもわからない。でも、学ぶことで自分の将来を大きく変え、未来にも触れられることを知っている。
そして私も、教えることで、学習者の未来に触れているのだ。学習者だけではない。自分の未来にも触れていると思う。
僻地ゆえに先生がいつもいない学校。学びたくても大変な苦労がある。でも学ぶことは、教えることは、「未来に触れる」ことができるのだ。だから、子どもたちは、懸命に学ぶ。
出演した子どもたちは、ほとんどが、このルナナに住んでいる。こんな環境の中でも、だれもが「未来に触れたい」と願っているに違いない。自分たちの人生を切り開くためにも。
ウゲンも子どもたちも、そのほかの出演者も、本当に笑顔が美しく、ハッとさせられた。人間が生きているエネルギーを感じた。これこそが、本当の幸せと言えるものなのかもしれない。
映画館を出てから現実に否応なしに引き戻され、光の洪水、雑踏の騒音に、めまいと頭痛を感じずにはいられなかった。そして、「今、幸せ?」と心の中で自問する。
この映画は、ぜひ多くの人々に見てもらいたい映画だ。便利さと引き換えに、失われてしまった「人の心」を取り戻すために。
(画像は、映画HPから引用)
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