高橋 恭介 Takahashi Kyosuke

20歳、写真家。フランス。

高橋 恭介 Takahashi Kyosuke

20歳、写真家。フランス。

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最近の記事

ホモソーシャルの崩壊

 突然なのだけど、僕には最近よく電話をする男友達がいる。音楽や街や恋愛や色々な話をする。彼とは高校時代からの仲で、卒業までは学校ではほぼ毎日隣にいた。彼はいま東京、僕はフランスに居る。そんな彼と最近話したのが「なんか今の俺らの関係気持ち悪くね?」ということだった。  彼と出会ったのは15歳の終わりで、それから3年間コミュニケーションが頻繁あった。高校時代には同じ学校に通っていた上、同じ寮に住んでいたので、ある意味家族よりも距離が近い存在だった。距離が近いというのは一番良いと

    • フランス退屈日記♯7: 恋

      日本に帰るまであと2ヶ月と少しとなった。ずっと更新しようと思っていたこの日記の存在も宇宙の向こうに置いてきてしまっていた。それでも書きたいことは山のように。 3ヶ月間仏語学習にのめり込んだ僕は疲れ切って、南へ行った。憧れの南仏。電車を乗り継いで意外と簡単に着いてしまったそこには、静けさと、嬉しさと、哀しさと、太陽と、大きな川に、海になんでもあった。 アルルのローヌ川、写真祭、大きな船なんかに泊まったりして。横のフランス人に安保をフランス語で説明しようとしかけど無理だった。

      • #01 : 『よすが』(カネコアヤノ)レビュー

        このほとんど誰も見ていないと言って差し支えないnoteにレビューを書くというのもどうかと思うし、思われそうだけども俺は書くぞ。兎にも角にも数日前、友達といろんな音楽の話をしていて、説明するときに自分が何回も繰り返し聞いているのに自分の中にそれらを完全に落とし込めていない感覚があったからというのが一つ目の理由。最近自分の作品を作っている中で、自分が影響を受けた物の中から自分の根っこを見つけ出そうとするのだけど、意外とそれ自体を理解しきれていない(もちろん他人の作品なので100パ

        • フランス退屈日記♯6: Une vie rangée

          あー、夢かな。「まって、”夢”って漢字の形って面白くね?それだったらさ”〇〇”もさー」。新宿駅南口に腰掛ける派手な赤いドレスの女とスーツ姿の木偶の坊。何も起きずに目が覚めたら何か無駄にした気がする。足がついてしまうと、もうそこには一人だけの暮らしが広がる。寂しくはない。 みんなが夢中になって暮らしていれば、それでいい。誰にも見つけられることはなくとも、みんなが夢中になって。そんな社会主義的ユートピア。「そうなれば、」なんて思ってもそこまで自分は強くなく、7歳の自分はボールを

        ホモソーシャルの崩壊

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          スペイン、道の途中⓵

           僕は今スペイン北部の小さな村でこれを書いている。というのもカミーノ・デ・サンティアゴという32日間かけてスペイン北部を横断する巡礼の最中だからだ。これから週ごとの旅の記録をここに残しておくことにする。  この巡礼のことについては高校時代から耳にしていた。知人がこの道を歩いた経験があり、また「とても素晴らしいものだった」と聞かされていた。その知人はオランダに住んでおり、昨年の冬に訪れたときに再度この話題になった。僕は今フランスに住んでいて、「行こう」と思えばいつでも行ける状態

          スペイン、道の途中⓵

          優しくなりたい

          「そういうの嫌いだ」と吐き捨てるように言ったあの時の君が、「ありがとう、また会おう」と言ってくれて僕は嬉しくなったりする、なんていうような誰にも分からない気持ちが一つの場所に留まり続ける、そうやっていつか死んでいく。そこには時間がある、時間があるんだよ。 実体のない、掴みようのないものが鼻先を掠め続ける、押すと引っ込みそうな、流動する。「きっとどこにも行けない」そんな気持ちになる。 どうにもならない世界があって、戦争があって、今もあることに気づこうとしない僕はとんだろくで

          フランス退屈日記♯5: 春だったね

          ノルマンディーの陰鬱な空気が変わりつつある。街中を歩けば桜なのかは分からないが、桃色の花があの子の笑顔みたいに見える。フランスにも春が〜! ここ1ヶ月の素晴らしい暮らしをどう説明しようか悩む。それほどにいい暮らしをさせてもらっていると思うし、堂々と「好きだ!」と言えるはずだ。二月には日本の友人たちと一緒に東欧に旅に出たが、旅を終えてから1週間後に僕のホームタウン(と言っていいのか)であるルーアンに彼らが来た。本当に楽しかったのだけれど、この半年でお互いが「日本とフランスにい

          フランス退屈日記♯5: 春だったね

          フランス退屈日記♯4: ボン・ボヤージュ

           #4、今回はフランスはあまり関係ない。今回休みの達人であるフランス人に倣って2週間のバカンス(休暇)を取った。最初にオーストリア、次にチェコとポーランド。なぜこんな変なタイミングかというと、ちょうど日本から数人の友人がヨーロッパ旅行に来ていたからで、「どうせなら会いたい」という話になったからだ。 ・・・  パリから夜行バスに乗ってドイツを経由(遂に経由だけで国を踏む)し、オーストリアの西、ザルツブルクという街で一日を過ごした。モーツァルトの出身地や映画「サウンド・オブ・

          フランス退屈日記♯4: ボン・ボヤージュ

          DJを吊るせ

          今はバカンスの途中、これが終わったら意気揚々と幸せそうな文章を書いてやろう。 しかしながら今日、卑屈で卑怯で臆病な僕はまた逃げてしまった。ので。 何かこの2月が全てを救ってくれる存在だと思っていたのに、 まただ。 酒を垂れ流して、飲み込んでもだめ。 夜の箱に行ってもだめ。 何も変わらず、この気持ちを整理しようとここに逃げてくる。 そんな尖り方いらないよ。 一緒にいった女友達がナンパされているのを見ながら、その子達が他人から女に見られていること、そして人は変わっ

          写真をやめる

          写真をやめた、写真を撮るのをやめた。 やめたやめたやめたやめたやめたやめた。 少しだけ。 何を撮るべきか、自分が何を言いたいのか分からなくなった。 僕にとって写真は、自分自身の表現ツールであると同時に句読点みたいな役割があって、それが自分の中でとても心地よいものだった、 からずっと撮ってた。 でも去年の9月に人生で初めて日本を出て、この地で暮らし始めた時から感じていた少しの違和感に、ここにきて目が離せなくなってしまった。自分の立ち位置、習慣、言葉、視界の変化に置き

          海峡、その先。

          自由を望んでいた、縛られたくなかった。 自由になった、その先には何があったのか。 君がいた、それ以外は何もなかった。 君以外はなにも。 過ぎた日々がベッドの上で僕と共に横たわる。 見つめ続け、求め続け、それだけなのか? あいつもそうだったのか? それとも留まるに値するものを見つけたのか? 更衣室、冬の朝、コンクリート、東京の空、 鶯町、平田、小田原、夜の首都高、パリ、 山手線、東武東上線、西武新宿駅。 最低、最高、最低、目線が交わる、呼んでる。 寂しい

          フランス退屈日記♯3: 元日パリ、晴れのち曇り、のち雨。

           今年は日本より遅れること8時間。有名な凱旋門×シャンゼリゼ通りから少し外れたところで高校時代の友人と年明けした。  前々日までオランダへ行っており、島に住んでいたときの知人の家に泊まりながら、現代写真の聖地で写真たくさん見てきた。ー色んな意味で素晴らしい国だった、死にかけたけどー。(含みが気になる人は会ったときに聞いてほしい)。  そしてオランダからホームのルーアンに帰る手前、パリの年明けを体験していこうという魂胆だった。が、結論から言うと、もう一生しない。多分。いや、年

          フランス退屈日記♯3: 元日パリ、晴れのち曇り、のち雨。

          なぜか今年も十二月になってしまった

           「12月になってしまった〜」と、さも重大なことかのように心の中で何回も呟いてみる。毎週、オンエア2日後の朝に聞いている『星野源のオールナイトニッポン』、源さんも年末になると何もやっていないように思えるそうなので、「そんなもんだよな」と心を落ち着かせた。  サンタさんの正体を知ってから「クリスマス」というイベントの存在感がどんどん弱まっていっていて、それに伴って12月のイメージも赤色から灰色に変化しつつありまして、今日も僕は生きるための抗体を求めて彼と対峙しました。今年一番

          なぜか今年も十二月になってしまった

          フランス退屈日記♯2: 一渦抜けたな、と。

           最近のSNSは1年前に一体自分が何の渦中にいて、どんなことを思っていたのかということをご丁寧にも教えてくれる。そんなことがある度に「あぁ1年というのは短いようで意外と長いものだな」と不本意にも考えてしまうのだから成長というものがなくて困る。時間というのは本当はとても良い加減なものなんだろう。これはそう考えた方が楽だからという話で、地球がコーヒーテーブルのように平らであると村上春樹が便宜的に説明してくれたのと同じことだ。進化しないな人間は。  この国に来てから2ヶ月半。もう

          フランス退屈日記♯2: 一渦抜けたな、と。

          フランス退屈日記♯1: ちゃんと人間か

           フランスに渡ってとうとう1ヶ月が経った。「早かったようで長かったなぁ」というのが正直な感想だと思う。1ヶ月もいると街の雰囲気や買い物、フランス語にも少しだけ!慣れるものだったりする。毎日朝早く起きて学校へ行き、休み時間は散歩したり、パン屋さんに行ったり、本を読んだりする。なんだか高校生に戻ったみたいだなと感じた瞬間、半年前の卒業式がやけに遠く感じられたりもした。あの日はどんよりした曇りの日だったっけ。          そういうことを学校の横にある植物園の誰もいないドーム

          フランス退屈日記♯1: ちゃんと人間か

          エスプレッソ 又は 紅茶

          日本を離れるまであと5日。今年は秋口の心地よさをあまり感じることなくそのまま冬とこんにちはしそうである。ノルマンディーの寒さはいかほどか。まぁ悪くはないのか?昔から秋はそんな好きではない気候は好きだけど。秋は時間に閉じ込められた感覚になる。宙ぶらりんというか、自分がこのままどこにも逃げ出せないのではないかという気持ちだ。毎年ある。ということで今日から9月病と名付けることとした。ちなみに5月病にはかかったことがない。9月病の症状を主に2つ。1つ目は現実をこなす気が皆無になる。2

          エスプレッソ 又は 紅茶